トメ |
ふっふっふ、ひっかかりましたね、
洗脳に! |
── |
かなり丸顔のイメージがありましたが。
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トメ |
それは願望なんですよ。ふふふ。
じゃ、さっそく、おすし屋さんに
ごはんを食べに行きましょうか。
宇部の「喜久寿司」でお昼を食べます。
「喜久寿司」の大将です。どうも! |
── |
トメさんは「ほぼ日」グッズを
ご愛用くださっていると聞きましたが、
ほんとうですか? |
トメ |
はい。Tシャツは「育T」から持ってるし、
タオルも手帳もハラマキも愛用してて、
「ほぼ日」には、ずーっと前から
お世話になっているんですよ。
「ほらほら、今も巻いてるよ、ハラマキ。」
というのも、10年くらい前ね、
イラストの仕事が
軌道に乗ったときに、
夫が地方に転勤になっちゃんたんです。
1冊目の『ほげほげ』という本を書いたころに、
まずは半年ほど、大阪に行きました。
大阪にいたときは、まだ大きな仕事もあって、
ルポものの仕事も、もっていたんですよ。
それが、次は、山口へ来てしまった。
当時はインターネットが
普及していなかったから、
地方に行くということが、私の仕事にとって
とぉぉぉっても
マイナス要因になってしまったんですよ。 |
── |
それはそうでしょうね。
イラストのお仕事で、
インターネットがなかったら。 |
トメ |
ええ。大阪までなら
編集者も来てくれたんですけど、
山口は、さすがにね。
だから結局、連載も全部なくなっちゃって、
ほんとうに「挿しカット」の
仕事だけになっちゃった。
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── |
宅配便でやりとりのできるもの、
ということですね。 |
トメ |
そう。挿しカットの仕事をこなす、
しめきりに追われる忙しい毎日がそこにあって、
子どもも小さい。
どんどんどんどん、
日常に流されてしまう時期でした。
それが、6〜7年前で、
「ほぼ日」を見はじめたときです。
「ほぼ日」には、
いろんな情報が載っているでしょう。
たとえば「△○でこんな展覧会をやってます」
とかね。それを見て、ハッと我に返ったんです。 |
── |
「ほぼ日」で? |
トメ |
そう。「ほぼ日」を見たりしていないと
そういうことって、意外とわからないんですよ。
我に返らしてくれてよかった、「ほぼ日」! |
── |
「いかんいかん!!」と? |
トメ |
はい。去年の秋にダーリンが、
"今日のダーリン"のなかで
「『ほぼ日』を読んで
食べていけるようになった人がいるといいなあ」
と、書いていらっしゃったことがあったんです。
そこで、すぐに「ほぼ日」にメールしました。
「私は食べていけるようになりました!
『ほぼ日』を読んでいて
ほんとに食べれるようになりました」って!
ほんとに、感謝しています。
いちばん身近なメディアだったんですよ。 |
── |
なんといったらいいのか、
頭に血がのぼってきました。
もう、ありがとうございます。 |
トメ |
だから、「支持してる」ということを
どうにかあらわしたくって、
「か、買えばいいんだよね」
ということを思い立ち、
いっぱいグッズを買って、
そしてハマりました。ハハハハ。
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── |
トメさんは、旦那さまのお仕事の都合で
左右される人生ですよね。 |
トメ |
はい。どこに住むかは、選べないです。 |
── |
それに対するストレスのようなものは、
なかったんですか? |
トメ |
夫からは、最初に
「オレは転勤がある仕事だよ」と
言われていました。
それでもいいよ、と、結婚したんです。
そう思ったこと自体は、自分の選択だと
思っています。
転勤が決まったとき、
イラストの仕事が軌道に乗っていたから、
子どもといっしょに
横浜の実家に残るという選択もあったんですよ。
だけど、私は夫についていきたかったから。 |
── |
‥‥おお、それは、 |
トメ |
えらいやろ? |
── |
えらい!! |
トメ |
仕事って、選ばなければ、
東京にいると、たくさんあるんです。
でも、宇部にいることで、落ち着いてできた。
「こなし仕事」ばかりになっちゃったときは、
どうしようと思ったけど
今から思うと、かえってよかった。
イラストの仕事は回転が速いから、
東京にいると、
使われて捨てられるでしょう。 |
── |
ここにいることで、
トメさんでなくてはできない
はるばるやってくる仕事がわかるし、
ほんとうにやりたい仕事が
なんだったのか、
自分で判別できていくんですね。 |
トメ |
はい。
そこにある仕事にもみくちゃ
になってたら、
わかんなくなる。
あとはね、今日「ほぼ日」さんも、
宇部まで来てくださいましたけど、
宇部まで来て、
いっしょになにかをやろうとしてくれる人は、
本気なんですよ。
踏み絵なんです、飛行機に乗るか乗らないかは! |
── |
踏み絵‥‥。
『キッパリ!』を出してからは
取材の量が半端じゃない状況でしょう。 |
トメ |
整理しても整理しても、
自分の仕事ができなくなるくらい、
いまも絶え間なくあります。
東京にいたら
もっと混乱していたでしょうね。
でも、遠くにいるということだけで
いろんなことが順序よく整頓される。 |
── |
知らず知らずのうちに環境に埋もれてしまうと
身動きがとれなくなってしまいますね。
自分がなにをどうやりたかったかを
確認できる環境を
自分で作ることができるといいなあ。 |
トメ |
引っ越しちゃうと、早いよ。 |
── |
ほんとに。
宇部、いいなあ。おすしもおいしそうだし。 |
大将 |
はい、じゃ、まずは
まぐろとかんぱちね。
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トメ |
このへんは、ほんとうに
お魚がおいしいんですよ。
関東とは、ネタがちがうんです。
とくに、白身の魚がおいしい。 |
── |
‥‥大将、まぐろはなんだか、
ベルトみたいに細く長くなっちゃってますよ。
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大将 |
まだ伸びてないんですわ、ハッハッ。 |
トメ |
「伸びて」? |
大将 |
東京ではみなさん、まぐろがお好きですけど
こっちの人はそれほど食べないんです。
だもんで、細く長くなっててもええんです、
ほかの魚がようけありますから。
あっ、白身の魚のお寿司は、
そのまま食べてくださいね。
もう塩がついているんです(なぜか得意気)。 |
── |
おすしを塩で。
白身に関しては、やはり大将、
自信満々のようですね。 |
トメ |
うん、ほんとにおいしいから。
さあ、食べよう! |