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上大岡トメの、タネがいっぱい。
トメのタネ その7 自分がやってることだから、堂々と言えるんだよ。
すてきな大将のいる「喜久寿司」をあとにして、
ふたたび車に乗り、
トメさんおすすめの
おいしいケーキ屋さんに移動です。



── トメさんは、いろんなところから
いい刺激を受けるんですね。
トメ 単純バカなんですよ。
信頼している人の言葉は、すぐ信じちゃう。
── それは、素直ということなんでしょうか。
トメ バカ素直です。
── その結果、黒帯と108万部。
トメ 108万部はほんとにびっくりです。
ずっとあきらめる人生をくり返してきたから、
よかったと思うんですよ。
20代とか30代のアタマで
こんな、本が売れちゃうようなことを
経験していたら
ぜったい舞い上がってたと思う。
いまだから、すっごいクールになれている。
いいことも悪いことも長くは続かないよ。
── すごく冷静ですね。
トメ うん、着実に。
慎重に、冷静に、クールにね。
あ、ほらほら、ここは
幼稚園に毎朝通って
園児といっしょに歌を唄う
ペリカンのカッタ君で有名な
常盤公園です。

── ニュースで見たことがあります。
へええ、ここだったんですね。
あっ、遊園地だ。すてきな場所だなあ。

トメ すごく気持ちいいですよ。
私は試合前にこのまわりを走り込みました。
── 「走り込み」。
お母さんでいらっしゃる方の
セリフだとは思えないですね。
子どもがふたりいて、
次のステージにどんどん行く、
怪物級の、お母さん。
トメ 私は、子どもがふたりとも
いちばん手のかかる小さな時期に
ダンスをはじめたんですよ。
大会前、夜にダンスの練習をしていた
時期があったんですが、
保育園に迎えに行って、
夕飯用のお弁当を作って、
それからスタジオにふたりを連れて
出かけました。
そして、子どもたちは
母の踊るスタジオのはしっこで
お弁当を食べていました。
そんな光景をふつうのお母さんが見たら
「ギャ〜〜〜!!」って、なりますよ。
すっっっっごいほこりだらけのスタジオで
夕飯むりやり弁当箱に詰められて。
── 「かーちゃんは踊ってるから、
 ここで食ってて!」
トメ はい、ふたりでもりもり食ってました。
そうこうするうちに
仕事を終えた夫がスタジオまで
子どもたちを迎えに来る。
私が帰宅すると3人とも疲れ果てて
寝てるんですよ、ハハハ。

── 周囲は「もうやめなよ」とか
言わないんですか?
トメ 言わないですね。
だいいち、いちばんうるさいであろう親は
遠くに暮らしているし。
── ‥‥ラッキー。
トメ あっ! 本音が出たな?
夫は呆れてるけど、
反対してエネルギーを使うことに比べると
協力したほうがエネルギーが少なくて済むから
そのままにしてくれています。
── 反対した際の妻との口論に使う
エネルギーがすごいから(笑)。
トメ ええ。ですから夫は
「できるところは手伝うよ」という態度です。
なんたって、技術者だからね。
いつもどうすればいちばんうまくいくかを
考えるタイプ。
── それは、恵まれていましたよ。
ツッコミがいないというのは。
トメ そう! ほんとにね。
夫の両親には、柔道をやっていることは
最後まで内緒にしてました、
ハハハハハ!!
初段取ったときに、はじめて告白。
── 周囲には感謝しますけれども、
まあ、あたりまえですが
「子どもがかわいそう」
と言われたらおしまいです‥‥。
トメ はい。まずはそれを言われますよね。
半端な気持ちじゃ、なんだって
続けてはいけません。
でもだから、私は逆に、ぜったい
子どもには
「あきらめるな!」
って、堂々と言えます。
── おおおおお。
トメ 泣いてんの!
── それは、自分があきらめてないから、ですね。
トメ うん、
夢を持てよ、とも
堂々と言えるし。

── あ"〜〜〜!!!
トメ 泣いていいよ、泣いていいよ!!
ケーキ屋さんに着いたよ!!

(次回につづく!)

2005-05-06-FRI
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