細野 |
これがやり直したやつ? |
慶一 |
昨日、焼いたやつ。 |
細野 |
すごいよね。
ミヨーとかプーランクとかのようでね。 |
慶一 |
うん。そうね。 |
細野 |
すごい、すごい。 |
竹松 |
ええ。きれいですねー!
当時の音源に比べると、ほんとに。 |
|
── |
僕らが知っている鶏郎先生とは
随分違う鶏郎先生がいたので、
びっくりしましたね。 |
竹松 |
そうですね。 |
細野 |
なんか共通点を感じるよね。
われわれもこういう面があるからね。
陰でやってたりするじゃない。
自分も、こういうのは一杯持っているからね。 |
慶一 |
ええ。私も‥‥陰で‥‥。 |
細野 |
やっているんでしょ? 聴いてみたいよ。 |
一同 |
フフフフ |
細野 |
死んでからじゃないと、
そういうのは出てこないのかな(笑)。 |
慶一 |
死んでからじゃないと、出ませんなぁー!(笑)
‥‥細野さんは、じつは交響曲とか
作っているんじゃないの? |
細野 |
交響曲‥‥!(笑)
うちにベートーベンの彫像があるんだけど、
怒られちゃうから。 |
一同 |
アッハハハ! |
細野 |
にらまれてるから。 |
慶一 |
眼光鋭いしね、あの彫像は(笑)。 |
細野 |
うん。一回、そのベートーベンの霊が降りてきて
シンセが勝手に演奏しだした、
ということがあるんだよね。 |
竹松 |
エーッ!? |
細野 |
ほんとに。慌ててDATに録ったの。
あるよ、それ。
‥‥死んでから発表しますから(笑)。 |
一同 |
アッハハハハ!! |
竹松 |
すごい! |
慶一 |
それって、自分のものじゃなくて
ベートーベンのもの‥‥(笑)??? |
細野 |
ベートーベンをスタジオに置いてあるわけよ。
石膏をね。お祖父さんの形見なんですけどね。
で、それにいつも睨まれながらやっていたのよね。
「なんか、誰か見ているなぁー」と思ったら、
あるとき、勝手にシンセが鳴りだしちゃったの。
終わらないのよ、それが。 |
一同 |
エーッ! |
細野 |
延々とやっているんだよ。
何と言ったらいいかな‥‥
シェーンベルグとか‥‥
そこまで行かないか‥‥
シュトックハウゼンぐらいかな‥‥
そんなような感じ。 |
慶一 |
ヘぇー。 |
細野 |
ワァーン、ワァーンと高音が鳴っているかと思ったら、
急に、ダッダダーン、といったり。
ああいうのは初めてなんだよね。 |
慶一 |
MIDI暴走じゃないの? |
細野 |
MIDI暴走って、もっと滅茶苦茶でしょ?
そうじゃないの。ちゃんと秩序があるの。 |
慶一 |
秩序があるって!(笑) すごいね。 |
細野 |
間があって‥‥
ドキドキしちゃうような間があるわけよ。
‥‥ま、鶏郎先生のこの音楽は、
そういうような音楽に、ちょっと、近い(笑)。 |