慶一 |
細野さんは私より4歳年上なんだけれど、
その歳の差が大きいわけだ。
細野さんがやっているのを聴いて、私は、
「あっ、これ、聞いたことがあるな」
と思うわけですよ。
「あっ、これが、あれか!」と。 |
── |
僕(武井)は昭和41年生まれなんですけど、
細野さんの“東京、京都、大阪〜♪”が
最初に触れた鶏郎さんでした。
ずっとあとから、
「あれが、鶏郎さんだったんだな!」と。 |
細野 |
ああ、そうか。 |
佐藤 |
今の人はみんな、そうじゃないですか。
ティン・パンでフレーズがちょっと入ってくるのが、
鶏郎さんとの最初の出会いですよ。 |
竹松 |
ホームページに来られるかたでも、
「ここの鶏郎さんを知って、
ティン・パン・アレーのあの
“CHOO CHOO GATTA GOT '75”は
鶏郎さんがオリジナルだってことを
初めて知りました」
とお手紙をいただいたことがあります。
そういうふうに、オリジナルを他のかたで聴いて、
こっちに戻って来るということがよくありますね。 |
細野 |
そうか、そうか。そういうことはよくある。 |
慶一 |
しかも、断片だよね。 |
細野 |
断片だよ。 |
佐藤 |
そうか、断片だったんだ。
「CHOO CHOO GATTA GOT '75」は、
曲自体はロックンローラーの旅の歌じゃないですか。
旅の歌なんですよ。そこにクロスして、
「僕は特急の機関士で」が出てくるから、
僕はあれを聴いたとき、びっくりしたんですよ。
だから、ちゃんと「TOKKYU ROCK」に
なっているんですよね。 |
慶一 |
私はその特急に乗り合わせているから。
‥‥やっているところを見ているからね。 |
細野 |
そうか。リアルなのね。
ああ‥‥じゃ、やっておいて良かったなぁ。 |
慶一 |
大体、カバンを台にしてやっていたんじゃないかな。 |
佐藤 |
ギャンブルをしているんですね。 |
細野 |
いや、お金はかかっていないと思うんだよね。 |
佐藤 |
お金、かかっていないのか!(笑) |
細野 |
すごく子供っぽいから。酒も飲めないし(笑)。 |
竹松 |
「僕は特急の機関士で」って、
ある意味で初の鉄道のコマーシャルソングでも
あったということで、最初に東海道だけ作ったら、
他のところからも「作ってくれ」
というリクエストがあって、
147番までくっついてきた、と。 |
細野 |
なるほど、ご当地ソングだ。‥‥147番まであるの! |
竹松 |
そうなんです。こちらの統計では147番まで(笑)。 |
── |
すごいことですね。
鶏郎先生は取材して書いていたんですか。 |
竹松 |
あちこちに旅はしているので、
行ったことのない所はないと思いますけど。 |
|
細野 |
先生はアメリカには行かれたんですか。 |
竹松 |
はい。マックを買ったのもサンフランシスコですし。
旅行で行って、たまたま入った楽器屋さんで、
スターウォーズの楽譜が
そこのコンピューターのプリンターから
流れてくるのを見て、
「これは何だ!」ということで‥‥。 |
細野 |
当時、先生が買っていたレコードの
コレクションはまだ残っているんですか。 |
竹松 |
はい。このへんと、
後ろのほうにもずらーっと‥‥ |
細野 |
何を聴いていたかとか、すごく興味があるんです。 |
── |
見に行きましょうか。 |
竹松 |
このへんは、ハワイアンとかロックとか。
映画は、こういう‥‥ |
|
細野 |
あぁーっ! なんだ、これは!!
ベータマックスだ。
‥‥これは、どうするんだ、この後! |
竹松 |
あのー‥‥ここで驚いては、いけません(笑)。
奥に‥‥ |
細野 |
あるのね。わかるよ(笑)。
僕もそうだもの。同じようなものだ。 |
竹松 |
この下がLPなんですけど。 |
細野 |
ちゃんとファイルしてくれているのは、
いいよねぇ! |
── |
マーティン・デニーもありますよ。 |
細野 |
あった、あった。 |
── |
そこは、ハワイアン。 |
竹松 |
ハワイアンは好きでしたね。 |
慶一 |
友達んちに遊びに行くと、
まず、レコードを見るよね。 |
細野 |
見る、見る! |
── |
いやだなぁ‥‥(笑)。 |
細野 |
でも、それで会話が
できるようになるんだからね。 |
慶一 |
そう、そう(笑)。 |
竹松 |
このへんは、ムードとかロック。 |
細野 |
なるほど。‥‥SP版は? |
竹松 |
SPはですね‥‥こちらに‥‥ |
細野 |
さすがにSP版は横にしなきゃいけないね。 |
竹松 |
ここがクラシックですね。
‥‥これが、
ウォルトディズニーの仕事をしたときに
向こうから来た版です。 |
細野 |
そう! 貴重な資料だ。
‥‥クラシックが多いんだ。
クラシックを勉強していたんだものね。
‥‥25センチ版じゃないとね‥‥ |
竹松 |
このリストづくりは、鶏郎先生の仕事ですね。 |
細野 |
なるほど‥‥あっ! 持ってる!
同じのを持ってる。 |
一同 |
エーッ! |
細野 |
‥‥このへんが一番、知りたかった。 |
竹松 |
これが、趣味のリストです。 |
── |
リストがあるんですか! |
竹松 |
これは私が作りました(笑)。 |
細野 |
これは大変な‥‥!
自分じゃ出来ないよな、こんなこと。すごいなぁー。 |
竹松 |
SPに関しては全部は仕切れていないんですが‥‥。
日本版はまだリストにはしていないですね。
このへんは、ほんとに好きなものばかりを
買ったという感じですね。 |
細野 |
ほぉー。スマックのSPなんて、あるんだ。
すごいなぁー。SPは大事だからね、今は。 |
竹松 |
その当時、いろんな国の音楽を集めることに
かなり意欲的だったんですね。 |
慶一 |
どうやって買えたんだろうね。 |
竹松 |
ふつうにお店で買われていたようです。
いろんなものを聴いている、
というのがすごくわかると思います。 |
── |
細野さんは、先生がどんなSPを
持っていたかに興味があるのは、どういう心で? |
細野 |
音楽をやる人は、聴く人だから‥‥
最初は。何を聴いて何を受け取って、
それをどうやって自分で消化していくか、
ということなので。
好きで聴いていたのが何かというのがわかれば、
なにか共通点があるんじゃないか‥‥と。 |
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