転機のとき。
第1回 恋愛の転機


「あなたの転機は、何ですか?」
メールマガジン「ほぼ日デリバリー版」紙上で
こんな質問をしたところ、びっくりしたのが、
女性の方の、恋愛関係についてのメールの多さと、
凝縮されているのに長く続く体験談の数々‥‥。

「友情は多くは見せかけであり、
 恋は多くの愚かさにすぎない(シェイクスピア)」

「20代の恋は幻想、30代の恋は浮気、人は40代に達して、
 はじめて真のプラトニックな恋愛を知る(ゲーテ)」


昔から、恋愛関係については、
よく知りつくしよく描写した人ほど、
非常にきびしい言葉を残していると言われています。

そんな考えもあって、
「ほぼ日デリバリー版」上では、恋関係については、
ほどほど、ご紹介するという程度につとめているんですよ。
ま、あまりわかった風な特集をしちゃまずい、と。

ただ、次から次へと届いているものですから、
恋愛上の「王様の耳はロバの耳」と叫ぶ穴のようなものを、
たくさんの人が求めていらっしゃるんじゃないかなぁ、
ということを、割と強く感じるようになったんです。

そこで‥‥このページの第1回目は、
さまざまな人の転機のなかでも「恋愛の転機」の、
ごく一部を、紹介していきたいなぁと考えました。

さまざまな局面、判断材料さえ見失うほどの事件‥‥。
よかったら、じっくり、お読みくださいませ。

もしよかったら、読んだあとの、あなたの感想も教えてね!







・私は中学生の頃からメイクアップアーティストに憧れ、
 その夢を叶えるべく
 某アーティスト系化粧品メーカーに勤めながら
 メイクアップの勉強をしていました。
 何年か過ぎ、ようやく独り立ちするチャンスが
 訪れた時と、付き合って5年目になる彼との
 結婚を考える時期とが、重なってしまいました。
 仕事を取れば彼とは離れて暮らさなければならず
 悩みに悩みぬいて、彼を選びました。

 夢を捨てた私には彼が全てでした。
 夢を捨てたのだから、
 当然彼と一緒になれると考えていました。

 半年ほど経った頃、彼は突然別れを切り出しました。
 「大好きな仕事をしているときの
  キラキラした顔が大好きだった」
 「お前を家庭に閉じ込めることなんか俺には出来ない」
 と。何が起こったのか全く理解できませんでした。
 毎日毎日泣いて過ごしていました。

 それからずいぶん経った今、
 一番懐かしい思い出かもしれません。

 彼のおかげで真剣に悩み苦しんだ分、
 少しは人の気持ちも考えられるようになったし
 自分らしく生きられるようになったと思います。
 今私はネイルサロンを開くことを目標にして
 生きています。
 ダンナや子供たちにも愛情を注ぐことも忘れずに。
 (時間は短いと思いますが)
 息抜きもしっかりと。
 夢を追いかけながらでも
 誰かを愛することはできるんですよね。
 (k)




・今私は24歳で、
 先日、4年間、恋していた人と別れました。
 理由は単純、もともと不倫だったので
 世間的によくあるような
 「奥さんが出てきての三角関係」として
 私が捨てられた結果です。
 私は彼のことが大好きでした。
 もちろん、奥さんがいることも、
 子どもがいることも知っていました。でも好きでした。
 彼も私を好きだといいました。
 付き合った当初は、あまり先のことまで考えませんでした。
 そのころ私は21でした。
 しかし、だんだん将来を考えるようになると、
 どうしても私たちの関係に矛盾がおきます。
 彼は奥さんと別れると言っていましたが、
 結局、何も変わらず、
 彼の奥さんにも私の存在がバレ、
 いままだ決着はついていませんが
 すでにドロ沼の状態です。
 彼はまだ、私のことが好きだといいます。
 しかし
 「好きというものの意味が変わってしまった」
 と言います。
 彼は奥さんではなく、私でもなく、
 自分の子どもを選んだと言います。
 私には正直、よくわかりません。
 彼が私を好きなら、私が彼を好きで
 彼の子どもを受け入れる意志があるのなら、
 なぜいままでのままではいけないのでしょうか。
 私はいまだに彼のことが好きです。
 忘れられない。
 前にデリバリー版に載った
 「はち」さんのおっしゃるような
 “若いときと違って恋愛がただ単純に
  好きってだけじゃすまなくなってく”
 ということなんでしょうか。
 好きだけじゃいけないんでしょうか。
 好き以外に、それ以上に純粋な恋があるんでしょうか。
 私の彼を思う気持ちは限りなく純粋で
 好き以外の何者でもない。
 
 近々、彼の奥さんと会わなければなりません。
 彼と付き合ってたことに対し、謝罪をする。
 もうこのまま、時が止まればいいのに。
 (こまごま)




・結婚して4年半、
 旦那とお別れすることに決めました。
 かれこれ10年以上も付き合って、山あり谷ありの日々。
 でも、毎日の忙しさに甘えて、
 本当に大切な未来に向き合うことをせず、
 お互い見て見ぬふりをして、
 問題を先送りにしてきてしまいました。
 そのうち時間が解決してくれるだろうと、
 タカを括っていたのかもしれません。
 初めは冗談みたいな小さなすれ違いだったのに、
 4年半の間に、
 気づいたらもう取り返しのつかないほど
 大きな溝になっていました。

 どんなに忙しくっても、時間がなくっても、
 もっと話をすればよかった。
 もっと一緒にいればよかった。
 もっともっと、できることはたくさんあったのに。

 「いろんな分岐点があって、今がある。
  どうやってここまで来たのかなぁ、
  って思い出していたんだ」
 擦り切れた畳を指でなぞりながら呟いた彼の言葉に、
 夫婦は、毎日の積み重ねなんだってことに、
 改めて気付かされました。

 そして、彼は言いました。
 「俺たちの場所はここで終わりだけど、
  お互い新しい場所へ行こう。
  そして、そこでまた新しく一から始めるんだ」
 同じ間違いを繰り返さないように。
 心に誓った夜でした。
 (ゆ)




・いつも楽しく拝読しております。
 わたくし、「ここ」と申します。
 デリ版427号のメール、ぐっときてしまいました。
 というのも、私も
 国籍の違う人とお付き合いしているからです。
 「ま」さんとは逆で、
 彼が日本に留学しているときに知り合った
 私たちですが、今では彼は自分の国へ帰ってしまい、
 以降、とても遠い遠い遠距離恋愛を続けています。
 今でもどうしようもないくらい彼のことが好きです。
 彼はもういい年で、大学4年生の私より9つも上ですが、
 今働きながら大学に通っています。
 卒業まであと1年あります。
 彼は卒業後、日本に戻って来たいと言っていますが、
 どうなるかはわかりません。
 最低一年、そしてもしかしたらもうずっと、
 日本で一緒に過ごすことは出来ない可能性も高い。
 離れ離れになってからのこの3ヶ月、
 未来があるのかどうかなんて、
 考えないようにしてきました。
 私が彼のことを好きで、彼も私のことを
 大切に思ってくれている間は
 それでいいんじゃないか、と。

 でも私も卒業が近付き、自分の将来について
 真剣に考えなければならない時期です。
 (就職はまだ決まっていません)
 自分の将来を考えるとき、
 彼のことを抜きにできない私がいます。
 もし彼が日本に戻ってくるなら
 そのときはすぐに会えるところにいたい。
 でも、戻ってこれるかどうかなんてわからない。
 そして何の約束もありません。
 彼は、
 「自分のやりたいこと見つけて、
  それに向かって努力しなさい」
 「なんでもやってみていいんだよ」と言っています。
 至極大人の意見だ、なんて思ってしまうんですが
 こんなこと言われると
 「この人と私は同じ未来を見ていないんだろうか」
 とも思います。

 お互い贅沢なお金の使い方はできません。
 専らメールやチャットでの、
 インターネットに頼りきりのコミュニケーションです。
 時差もかなりあるし、
 お互いに忙しい合間を縫ってパソコンに向かっているので
 途切れ途切れのコミュニケーション。
 それでもこの3ヶ月彼はほぼ毎日メールをくれました。

 今が転機のときなのかどうか、私にはわかりません。
 でも、彼からのメールを見て
 自然に顔がほころぶ自分の気持ちは
 大事にしたいんです。
 二人が幸せになる方法って何なんでしょう?
 そしてその方法が、
 「お互い大きく傷つくかも
  知れないことを覚悟して前へ進む」
 ことだったら、私はどうしたらいいんだろう?
 (あ)




・カナダに住んでいる者です。
 はじめてメールさせていただきます。
 まさに今日、あらたな転機の訪れがあったもので。
 私の最初の転機は今からちょうど三年ほど前、
 まだ付き合い出してホヤホヤの彼氏に
 カナダ転勤の話が、決まった時のことでした。
 当時の私は、ちょうど
 仕事も面白くなり始めていた時期で、
 「この道で生きていってもいいかな」
 なんて思っていた頃でもあり、
 また付き合い出して日が浅かったので、
 お互い「結婚」なんて口にしたら引かれちゃいそう…と
 余計なことを気にして、なんとなく本音で
 向き合えないまま3、4日を過ごしたでしょうか。
 でも、その転勤話を聞いた時、
 私が一番最初に抱いたのが
 「もし、一緒についてきて欲しいと
  彼が思っていてくれたら嬉しいかも」
 という気持ちでした。
 結局この自分の気持ちを彼に素直に伝えたことが、
 逆プロポースのような形になり、
 2人で新しい土地で新しい生活を
 はじめることになったのです。
 そして、そのオットに今度は
 ドイツへ駐在しないかという打診があったそうなのです。
 まだ行くのか行かないのかも全くわからない状況ですが、
 もしかすると早ければ三月には
 フランクフルトにいるかもしれません。
 そんな話を今日聞かされたばっかりで、
 一日何も手につかず、フワフワとした心持のまま、
 インターネットでドイツのことを
 調べちゃったりしていたのですが、
 先のことがわからないこんな状況が
 実はちょっと楽しかったりもします。
 もう
 「こうなったら
  どこへでも行っちゃうからどーんと来い!」
 みたいな(笑)。
 学生時代のテスト直前、とかマラソン大会の
 朝のドキドキをちょっと思い出しています。
 そう言えば最初にカナダにやってきた時も、
 身の回りのことすべてが新鮮で、毎日全身を
 アンテナみたいにして生活していたんだったっけ。
 自分ではあまり変わっていないつもりでいたけれど、
 知らず知らずのうちに慣れてきて、
 色んな感覚が鈍っていたことにも気がつかずにいました。
 久しぶりにそんなことに思いをめぐらせていたら、
 すごく不安なはずの新しい生活も
 なんだかミョーにexcitingなものに思えてきちゃいます。
 例えこれでドイツ行きの話がなくなったとしても、
 ここでこうして一旦立ち止まれたことだけでも、
 今後の大きな転機になるかもしれませんね。

 日本で私達の帰りを待っている両親のことを考えると、
 ちょっと心が痛むような気がしないでもないのですが、
 彼らが健康で仲良く暮らしていてくれるからこそ、
 私も安心して海外で生活できているわけで、
 もうちょっと待っていてほしいな、なんて思っています。
 半年後の私、どこで何をしているかなぁ。
 (電信柱)


2003-01-29-WED

 

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