個人的なユニクロ主義。
柳井社長に至近距離でインタビュー。

第6回 小さいところにこだわりすぎですよね。


糸井 今度「ほぼ日ブックス」というものを
作ろうと思っているんです。
ペイパーバックスのようなかたちで、
表紙からすでに内容表示をしちゃいまして、
「いちばんナマに近い情報を、
 ナマに近いかたちでみんなにばらまくから、
 どんどん読み捨ててほしい」
とでも言うようなシリーズにしようと
考えて、朝日出版と組んでいます。

そこでぜひ、第1回のラインナップに、
ユニクロの話を柳井さんご本人からうかがう、
ということをやりたかったんですね。

柳井さんご存知かもしれませんけど、
出版っていうのは、聞いてみると
原価率が7割みたいなものを
みんなでぶんどりあっているっていう
かなりおそろしい世界の商売で(笑)。
柳井 あははは(笑)。
糸井 なりたちっこないところで
何とかやっているという
珍しい種類の商売なんです。

ただ、誰も得していない業界っていうのは、
もしかしたら、何か変わるチャンスが
あるんじゃないかと思って。

ここまで誰も得していないのに
みんなが知っている商売って、ないですもん。
だから、ジタバタしてみようと
思っていますけど。
柳井 本はね、再販制度というものとか、
やっぱり、手間がかかりますよね。
人の手間をかけなければいけないんで。
その割に売価が限られていますよね。
いい本だからって、高価にできないでしょ?
糸井 はい、できないです。
柳井 それがいちばん問題なんじゃないですかね。
糸井 ちょうどこのシリーズでも、
どこに手間をかけるかという部分を
変えていこうというのが、
テーマになっているんです。

最低限の手間なんですけれども、
中身のおもしろさがあれば、
言いまわしが少し変だというようなものも
そのまま出してしまっていいんだ、と、
テレビの放送だったら、そのまま流れるから、
テレビとかラジオの方法論で、
活字をもう一度とらえなおしたら、
何か新しいことができるかなあと考えています。
そこで原価率を多少下げているんですけれども。
柳井 そうですね。
インターネットっていうのは、
そういうものじゃないでしょうか。
その瞬間その瞬間ですから。

いま言われたように、
本って、小さいところにこだわりすぎですよね。
糸井 (笑)ですよね。
柳井 純文学とかならわかりますけど、
そうではないものでも、
極論したらたいした違いを生まないところで
手間をかけすぎているように見えます。
それが評価できればいいんですけど、
評価できない点まで来ているというのが、
あるんじゃないですか。
糸井 そうですね。
従来の本の市場には、
フェティシズムというか、
「本って、大事なものだ」
という幻想を前提にしている人たちが
集まってきていますから。
(つづきます)

2001-10-24-WED

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