「ほぼ日」はワールドカップに |
<指令塔とキャプテンって何が違うの? 鈴木慶一さんのワールドカップ観戦記> 今日の味方は明日の敵。 ふだんはイングランドでプレーしているべーロンさんも きょうは祖国のチームで対決だ! 所属チームでは、ベッカムと同僚なのに こんなところで戦うとは?! 今日は、鈴木慶一さんの観戦インタビューもあるよ〜。
オレも酔っぱらっちゃって モォ、べーロンベロン。 べーロンさんは 新橋あたりでよく使われる方になりそうです。 ファン・セバスチャン・ベロン アルゼンチン代表MF 1975年3月9日 身長180センチ 体重72キロ イングランド マンチェスターユナイテッド所属
よくテレビで司令塔、司令塔と聞きますが、 キャプテンとはちがうのですか? 背番号「10」をつけてるエースでも 出番がないってことあるのかしら? (f.h.さん) キャプテンと指令塔は、ちがいます。 かんたんに言ってみますと、 チームが必要とするのはキャプテンで、 ゲームが必要とするのは司令塔です。 キッパリ。 キャプテンは、チームの精神的な柱となる人。 試合では左腕に腕章をつけますので 選手の左腕をよ〜くよ〜く見てくださいね。 今回の日本代表では、ディフェンス以外のメンバーが なかなか固定することがなかったので ディフェンスの宮本選手や森岡選手が キャプテンマークを腕につけていることが多かったですね。 本番では誰がキャプテンマークをつけるんでしょうか? 一方、司令塔は 攻撃の際にゲームを組み立てる人であります。 日本代表でいえば中田英寿選手。 司令塔はゲーム中にうまくパスを出したり、 ときには自らシュートを打つなどして 攻撃の流れを組み立てます。 それから、エースナンバー10を 背番号にしている選手でも、 出番がないことはありますよ。 今回の日本代表の10番中山選手なども おそらく全試合フル出場ってことはないでしょうし、 フランス代表の10番ジダンも初戦のセネガル戦は 負傷のためベンチで観戦でした。
ムーンライダーズの鈴木慶一さんが ベッカム・ヘアになったぞ、 という噂を聞きつけた、 われら「ほぼ日」ワールドカップチーム。 ベッカム・ヘアって、どんなやねん? TOTAL Workoutでトレーニングをするため 明るいビルにやって来た慶一さんに ちょっと話をうかがうことにしました。 さ、ベッカム頭はどうでしょう。公開です。 じゃじゃじゃじゃーん。 ニヤリ さらにアップ、じゃじゃじゃじゃーん。 ソフトモヒカン、というらしい イングランドのユニフォーム(昔のだけどネ)まで お召しになって、トレーニングです。 ジャパーン・ベッカム!! さて、そんな日本のベッカム・慶一さん、 先日おこなわれたイングランドvsスウェーデン戦に 行ってきたそう。わあ、うらやましい。 どうでしたか、試合は。 ビビったよォー。 ・・・ビビった? ちょっとぉ、くわしく聞かせてくださいよー。 いやぁ、行く前からとにかくいろんな人に 注意されてたんだよ、まわりの観客に気をつけろって。 英国の友達にもね。無事を祈るって。 だからこの髪型も、帽子かぶって、隠して行ったんだ。 ──せっかくベッカム・ヘアにしたのに。 それじゃ、何にもならないんじゃあ・・・。 いや、ほんとにこわいんだってば。 もう、イングランドファンを 刺激しないよーに、刺激しないよーに。 おれの後ろにね、最初2人、キックオフ直前に2人、 4人並んじゃったのよ。 ──フーリガンですか? いや、すごい顔したイギリス人。 ──顔だけで判断しちゃだめですよ。 こわかったんだよー。 おれは、スウェーデンサポーター席にいたんだけど、 真後ろにイングランドサポーターが4人座ったんだ。 やけにでかい金の指輪しててさ。 でっかい手でさ、ゲンコツでガン、ってきたら こわいな、と思って。 ──ゲンコツ・・・。 どんどん、悪いほうへ悪いほうへ想像するわけだ。 ──(笑)どんな人だったか、 ちょっと描いてみてくださいますか? お、いいよ(さらさらさら)。 こんな人たちが慶一さんのうしろに座ったんだって。 手には大っきい金の指輪。年齢は40代から50代。 最初のうちは、スウェーデンの大使館の人が 旗を配ったりしてくれて、楽しかったんだ。 おれも、最初はうれしそうにスウェーデンの旗持ってた。 でもそのうち、そいつらが視界に入ってきたわけ。 スタジアムでは、酒は5時からしか売り出さないんだけど、 そいつら、いきなり飲みだして。 ──あ、ちょっと怖そう。 で、イングランドが前半に ベッカムのコーナーキックからキャンベルが 先取点をとったの。 そしたらそいつら 「ウアッ」 て喜んだの。すんごい声で。 おれらは一応スウェーデン側の席に座ってるから、 シーンとしてた。 でも場所は最高、コーナーフラッグの真横、 ベッカムが蹴る真後ろね。蹴るときは総立ち。 そして、後半になってスウェーデンが点を入れたら、 みんなでワッと立ったんだよ。 したらさ、シッダーン!って言われた。 ──シッダーン? SIT DOWN!。んで、 おれは座ったんだ、すぐ(笑)。 試合中それが何度か繰り返されて、ついに そのこわい4人のうちのひとりが 座らなかった奴に向かって 紙コップをバコーン! って投げたの。 そしたら、前方の日本人スウェーデンサポーターに ポコンってあたったんだよ。 あてられた日本人、あいつ、えらかったねえ。 紙コップを投げ返したんだ。 ──すご! 持ち込み禁止のペットボトルも混ざって、 3回くらい投げ合いになったよ。 おれの頭上を紙コップとペットボトルが飛んだね。 で、だんだん顔色変わってさー、おれ・・・。 スウェーデン大使館の人が配ってくれた旗を 持ってたんだけど、 隣に座ってた女の人にさ、 「旗あげます」 って、あげました。 ずっとスウェーデンをひとりで応援してたみたいなんで、 って、それは口実。 ──いい人のふりをして、そーっと(笑)。 そのあとは、ひたすら イングランド側についているファンのようなフリをしつつ、 スウェーデンがわについているようなフリをしつつ(笑)。 時計をずっと見てて、 早く引き分けになんねえかなっと、思ってました。 ──楽しくない。楽しくないですよ。 同点になってから、ゲーム終了まで 30分くらいだったかな。 すごい長く感じたよ。 ロスタイムが4分だったんだけど、 その4分間、スウェーデンが攻めっぱなしでさぁ。 「オネガイ、点入れないで、引き分けて(小声)」 ──引き分けなら、両方が怒らないですみますからね。 そーそ。 終わりの笛がなった瞬間、 「・・・ホ」ですよ。 思わずうしろをバッて振り返っちゃった。 そしたら、もういなかった、そいつら。ホッ。 ──そういうことを考え合わせると、 現場では手放しで楽しめないものなのかなぁ。 席によりますよ、楽しめるかどうかは(笑)。 おれ、イングランドの旗の色見るの ちょっといやんなっちゃったよ。 あの4人が来ないうちは楽しかったんだよ、 はじまる2時間前くらいは。 ──2時間前から 席に座ってらっしゃったんですか? あ、スタジアムには、はやく行くべきだよ、ぜったい。 ──2時間前って、何かあるんですか? 練習だよ、練習。 練習の前にも、選手がみんないったん出てくるんだよ。 ピッチにただ出てきて、ぶらぶらする。 イングランドはジャージで出てくるんだけど、 スウェーデン、スーツ着てたよ。 ──かっこいーですね! ネクタイ+スーツで出てきて、 グラウンドをぶらぶらして、 観客からワーっていわれて、5分くらいで引っこむの。 それから着替えて練習する。 練習スタイルも国によって違うみたいだね。 国立競技場だと天井がないけど、 今回の埼玉のスタジアムは 屋根がちょっとあるんだよ。音響効果がちがうの。 うぁーって、ものすごい音がするの。低い男の声ね。 わー、これがワールドカップか、ってかんじがするよ。 ワクワクするんだよね。 ──それだけで楽しそう。 お祭りの雰囲気が全体を覆ってるんですね。 うん。1回は現場に行くといいよ。 安全な試合を選んでね(笑)。 おれも、その4人さえいなきゃよかったんだけどねぇ。 ──そのベッカム・ヘアは、 イングランドを応援するヘアスタイルなんですから、 イングランドサポーターからは 責められることはないんじゃないですか? 何も、帽子かぶんなくても・・・。 接点ゼロにしたかったんだよ。気配を殺す。 そこにいるのに、いない存在になるんだよ・・・。 おれ、どうしても見に行きたかったから、 スウェーデンサポーターのチケットの買い方で 申しこんで、それで、当たったんだよ。 ──だからスウェーデン席に座るんですね。 スウェーデンがらみの試合は、 じゃあ、これからも行くわけですね。 予選はね。 次は神戸で、ナイジェリアと対戦。 この日には、やっと スウェーデンのTシャツを 着ていけるんじゃないかって思うんだけど。 それができるのはきっとナイジェリア戦だけだな。 ──えっ、ほかはできないんですか? だって、その次はアルゼンチン戦だもん。 それはちょっと気をつけないとな。 ──上に何かを羽織ってけばいいんじゃないですか。 そうだな、いっぱい着てくか。 でも、何色を着ていくかで 迷っちゃうんだよなぁ。 白、青、赤だとイングランド、 黄色だとスウェーデンだし、水色だとアルゼンチン。 そのへんを避けて・・・。 ──スウェーデン戦とは別に、 イタリア戦にも行くご予定があるんですよね。 そのときはイタリアサポーターの席なんでしょう? 思い切ってブルーを着れますね。 そうだね! アズーリでいこうかね。 ・・・でも、やっぱり あんまり加担しないほうがいいと思うんだよ。 ──中庸、中庸で(笑)。 うん。イタリア戦、楽しみだね。 イタリアはルックスで選ぶからね、代表メンバーを。 ──ほんとに? ルックスで選んでるんですか? 選んでる、選んでる。 あれだけフランスに頭髪の薄い選手がいるのに、 イタリアにはいないんだよ。変だと思わない? ──じゃあ、ルックスで選んでるってことは、 イタリアは優勝を狙ってないんでしょうか? いや、おれはイタリアが優勝だと思うね。 守りが堅くて攻撃能力がすごいし、 決勝トーナメント入ってからの組み合わせがいい。 ドイツ、スペイン、ポルトガルのどこかかな、 決勝トーナメントであたりそうなのは。 場所は韓国。 準々決勝あたりでドイツとやるかもな。これは楽しみ。 ──ほう、優勝候補はイタリア。 では、決勝の相手は? アルゼンチンだね。 でも、アルゼンチンは 決勝の前にブラジルやフランスなんかの強いところと戦って、 中4日くらいで来るから、 きっとボロボロになってるんじゃなかろうか、と。 特にフランス、初戦で負けてるから1位通過できるかどうか。 決勝トーナメントの初戦であたるかも。 フランスが予選敗退だと、 アルゼンチンとブラジルに有利だね。 ──そういう意味で トーナメント運のいいイタリアが 優勝を持ってっちゃうと。 フランスは前回の選手が揃ってて、 フォワードが育ってるんだから 強いだろうと思ったんだけどなぁ。 ──本大会への予選が免除だったから、それもあるのかな。 日本も、そういう意味では心配ですよね。 日本戦は、 ひとりで見ちゃいかんぞよ。 胃がいたくなるんだ。 ──日本戦はおもに、どのようにして見るんですか。 友達ん家で、たくさんで見る。 サッカーってのはさ、 フラストレーションがたまるスポーツなんだよ。 1点1点が勝負でしょ。なかなか点が入んないから。 ──ほかのスポーツは 比較的どんどん点が入るしくみのものが多いですね。 あ、でも、野球もなかなか点が入らないですよ。 野球は攻撃と守りがわかれてるし、 チェンジで区切りがある。 サッカーは空間も時間もずーっとつながってるから、 見てるあいだ、油断も隙もない。 それに、野球は 9回の裏でゲームそのものの終わりがある。 でも、サッカーは時間で終わら「される」。 だから、みんなすごいフラストレーションがたまって、 スタジアムから出る。みんな、あばれる。 日本人もすっごい荒れてるよ。 ──じゃあ、行きと帰りでは、 みんなの雰囲気が全然ちがいますか? 帰りはみんな、顔が険しくなってるよ。 日本が関係ない試合でも。 交通機関が滞ったりしたら、すごい怒ったりして。 そんなときも、おれはいつも周辺を気にして なるべく目立たないように、気配を消してたんだけど。 でね、 行き帰りだけ帽子取ったの。 ──・・・まあ、いちおう楽しめたんですよね。 くたびれたけどね(笑)。 ──じゃ、スウェーデン戦で ちっちゃくなってる慶一さんを見たら、 いっしょに応援してください、と。 そうだな。みなさん、私に応援お願いしますね。 あと、ワールドカップって 3種類くらいの見方があって、 「日本代表を応援する」 「すごい国の試合を見る」 「ブレークするファンタジスタ、スーパースターね、 それを探す」 この3つは全然別のもの。 プラス今回は、 「現場で見る」が加わったわけだ。 たまらんね。 ベッカム頭が ワールドカップ閉幕時まで持ちますように! ビクビクしていた、という慶一さんでしたが、 「1回は見てみるべきよ〜」とおっしゃったそのお顔は、 ムフフンと、とっても楽しそうでありましたよ。
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2002-06-07-FRI
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