諏訪 |
続いては、
栽培方法とは直接関係ないんですが
知っておいた方がいいことです。
第8条になりますね。
永田農法は
「環境への負荷が少ない農法」です。 |
ほぼ日 |
これはよく永田先生もおっしゃってましたね。 |
諏訪 |
そうですね。
これまでの痩せた土や肥料のあげ方の話と
関係してくるんですが
今、日本の畑で
一番問題になってるのは、
「土が肥えすぎて」いることなんです。
つまり、肥料を投入しすぎている。
化学肥料にしろ、有機肥料にしろ、
投入しすぎなんです。 |
ほぼ日 |
肥料を投入しすぎるのは、
環境にとってよくないことなんですか? |
諏訪 |
順を追って説明しますね。
まず、植物というのは
肥料のすべてを吸収するわけではないんです。
固形肥料の場合でいうと、
たとえば窒素は半分以下しか吸わない。
リンなんか1割ぐらいしか吸わない。
残りの栄養分はどうなるかというと
全部畑に残ったままなんです。
そして、雨などが降ると、
畑に残ったままの栄養分が
河川とか湖に流れていく。
例えば琵琶湖で赤潮が発生したりするのも
排水にリンが多かったことで
富栄養化したことが原因のひとつなんですが、
畑の肥料からの流入も
バカにできなくなってきてるんですよ。
北海道では、
地下水の中に硝酸態窒素という
窒素肥料が残った部分が溶けて地下水に流れて
地下水が汚染されている地域も見つかっています。
汚染された地域がきれいに
タマネギやジャガイモ畑と
リンクしてることがわかってます。
だから、日本の畑をダイエットするというのが
環境のために必要だと言われてます。
一般農法で最初に大量に肥料あげてしまうと
残る量も多くなっちゃうし
肥料が効きすぎた場合も、
途中で肥料を抜くことができない。
そういう意味で永田農法というのは
最低限の肥料を、
様子を見ながらあげていきますから
ムダがなく、環境への負荷が
少ない農法なんだと思います。 |
ほぼ日 |
永田農法で野菜をつくると
味が美味しくなるだけでなく、
環境にもやさしいんですね。 |
諏訪 |
声高に主張するわけではありませんが、
そういう面があるということも、
覚えておいていただけると
いいかなと思います。
メインとなる動機は
「美味しい野菜!」でいいので(笑)。 |
ほぼ日 |
わかりました(笑)。 |
諏訪 |
せっかくですから、
永田農法でつくった野菜の
「美味しい理由」も
お話ししておきましょうか。 |
ほぼ日 |
ぜひ、お願いします。 |
諏訪 |
永田農法の野菜というのは
いやなえぐみや辛みがありませんよね。 |
ほぼ日 |
ええ。
まえに永田農法でつくった
ホウレンソウを生で食べたんですが、
苦くなくて、おひたしみたいでしたし、
ニガウリを食べたときも、
「ニガウリ」なのにマイルドで。 |
諏訪 |
そうそう。あまり苦くない、ニガウリ(笑)。
苦みやえぐみがないことも、
肥料の話と関係してくるんですよ。
土が肥えすぎた畑で育った野菜は
どうなると思いますか? |
ほぼ日 |
これまでの説明だと、
栄養が多すぎてメタボリックな
野菜になるんですよね。 |
諏訪 |
ええ。そうです。
畑にはたくさんの硝酸態窒素が残っていますから
野菜にもたくさんの窒素分が入ります。
そうして吸収した過剰な窒素分が
えぐみや苦みの素なんですよ。
だから、あまり緑色の濃すぎるホウレンソウなどは
苦かったり、えぐかったりする。
永田農法でつくったホウレンソウは
明るい緑色で、生で食べてもマイルドです。 |
ほぼ日 |
なるほど。畑をダイエットしていくと、
野菜もダイエットされて、美味しくなる。 |
諏訪 |
はい。永田農法といえば
トマトやタマネギが有名ですけど
春菊とかも苦みがなくて
メチャメチャうまいんですよ。
永田農法の春菊を食べたら驚きますよ。
やわらかくて、えぐみがなくて、生でもおいしい。
永田農法は、畑からも野菜からも、
ムダを省いていくダイエット農法なんです。
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(つづきます) |