60年の月日が流れ、
もはや森と化していた
ホテルの裏山に放置されたテニスコート跡地を
開墾して農園にして
永田農法で野菜を育て、
実際にお客さんに食べてもらうという
「日光金谷ホテル・ホテル農園プロジェクト」。
永田野菜に興味がある人も
そうでない人にも注目されているようです。
まずはこんなメールをご紹介します。
|
|
ひさしぶりにわくわくする連載が
始まったなーという気がします。
日本最古の西洋式ホテル×永田野菜。
なんだか素敵な組み合わせのような気がします。
実を言うと、永田野菜自体には
あまり興味がないのですが、
とりあえずこの連載には
注目させていただきたいと思います!
(ホシノさん) |
永田農法に興味が無くてもわくわくする気持ち。
よくわかります。
取材する我々も日光に行くたびに変化していく
金谷ホテルのようすを楽しんでいますから。
「ようやく樹木の伐採がおわりました」
というお知らせをうけて
畑つくりのお手伝いのために日光に行ってきました。
今回、東京から参加したのは
プロジェクトリーダーの諏訪さんと
カメラマンの前田さんとその友人の菊池さん。
もう一人の女性はこのプロジェクトを推進する
日光金谷ホテル企画部の倉澤さん。
さらに力仕事になりそうだったので
「ほぼ日」からも西田・高本の男手チームが参加しました。
「お〜っ!遠くからお疲れさまです。」
と登場したのは
中心となって野菜づくりを行う
日光金谷ホテル管理部の泉さん。
「ここまでもってくるまで大変だったよ。
結局、ユンボを使って裏山までの道を作るはずが
上手くいかなくて資材も全部人力で山まで
運んだんだから。」
という泉さんと一緒に裏山を登っていきます。
そうするとこれまで
こんな雑木林だった場所に
見事な畑が出現しました!
よくみるとコンクリートの枠がありますよね。
木を伐採した後、
落ち葉が積もってできた肥えた土を
取り除いていくとでてきた
60年前に作られたテニスコートの枠。
これが畑として予想してた広さと
ぴったりのサイズだったのです。
このコンクリートの枠があることで
動物が穴を掘って
畑に入ることも防げることもあって
そのまま生かすことになりました。
この土を見てください。
石ころだらけでしょう。
水はけのよいテニスコートを作るために
60年前に掘り起こした時、
レンガや石を入れていたらしいのです。
通常の栽培ではありえない土壌も
「水はけのよい石ころだらけの畑」
という旧テニスコート跡地は
永田農法にとって最高の環境。
偶然がここまで重なってくると
ここで野菜づくりを始めるのは
もはや「運命」と勝手に思ってしまいました。
ポリタンクに水を運んで水やりをするには
あまりにも広すぎることと
裏山から水を運ぶのは大変だということで
水もここまでひいてきました。
スタッフがそろったところで
諏訪さんが集合をかけて
今日の作業についての説明を始めました。
計画表では30畝を作る予定ですが
そのうちの半分を一緒につくりながら
畝作りを金谷ホテルのみなさんに
マスターしてもらうというもの。
畝作りのレクチャーが始まりました。
「水はけの良い畑をつくるために
畝を高くつくります。
まずはラインに沿って掘った土を
盛っていってください。
拳より大きな石はどんどん取り除いてください。」
全員でどんどん畑を掘っては
大きな石は取り除いていきます。
こうして平らにならしていって
液肥を薄めた水をあたえます。
取り除いたとはいえ、
まだまだ石ころだらけの畑です。
次は雨水をカットするために
畝にマルチシートをはります。
先を固定して、
どんどんのばしていきます。
マルチシートで全て覆い、
これで雨水はカットできますが
トマトは特に雨に弱いので
雨水が降り掛からないように
雨よけネットをはっていきます。
屋根の骨組みを組み立てていきます。
骨組みが全てできあがったところで
ビニールシートをかぶせていきます。
諏訪さんの教えどおりに
どんどん作っていって
朝9時から始めて昼食をはさみ
夕方を迎えるころ、
本日の作業が全て完了しました!
きゅうり用の支柱もたてたし、
あとはこの手順でやればいいのね。
と、一安心しているそばで
何やら、諏訪さんと泉さんが
話込んでいます。
「諏訪さん、畑のめどはついたけどよ、
もっと大変な問題があるんですよ。
ここは猿と鹿がよく出るから
雨よけだけじゃなくて
猿よけも必要なんだわ」
「日光猿軍団」でも有名な日光。
猿や鹿による農作物の被害は
我々の想像以上なのだそうです。
実際に我々が畑を離れて
昼食をとっている間に
液肥が食い破られて漏れてしまうという
事件がおこりました。
「だからよ、これが秘密兵器なんだわさ」
といって泉さんが見せてくれたのは
金網!
どうやら泉さんは畑中を金網でめぐらせて
猿や鹿が畑に入ってこないように
することを考えていたらしいのです。
さあ、どうなる!
金谷ホテルのチャレンジは
まだまだ始まったばかりです。
|