ホテルでつくろう永田野菜。

気温が低い日光向けの対策とは?


もともと高地であるため
気温が低かった場所であった上に
例年の半分以下という日照時間にみわわれた
日光金谷ホテル菜園プロジェクト。
金谷ホテルのスタッフから
諏訪さんにSOSメールが入りました。
「病害虫の被害は出てないようですが
 野菜の成長が遅くて細いようなんです。」
送られてきた画像をみると…。


インゲンは、
高さ一メートルほどに伸びていますが、
とにかく茎が細い。
直径一ミリほどの針金のようです。
これでは実がなっても、
貧弱なものしかできないと思います。


ナス、ピーマンなどは、
苗を植えてから一月半たつのにほとんど成長していません。


キュウリ、サツマイモは、
少し成長していますが、かなり成長が遅い。

日本全国的に日照不足とはいえ、
他の畑と比べ
あまりにも生育が遅れているのです。

普段は「しつもんチケット」への
「しつもん」にずばずば答えている
諏訪さんですが
生育の悪さは
「気温」のせいなのか?
(7月中の日光の最高気温は20度前後)
「日照不足」のせいなのか?
(7月中、日光で終日晴れたのは2日くらい)
「土壌」のせいなのか?
(土壌には火山岩が多く含まれている)
原因がつかめないことには
対策がとれません。

まずは諏訪さんから永田先生に
直接指導を仰ぐこととなりました。

緊急対策として
永田先生から出てきた指示が

「新しく開墾して肥えた土を取り除いた畑なので
 土に全く栄養がない可能性があります。
 また、液体肥料が効いていない可能性があります。
 夏野菜の場合、液体肥料は500倍に希釈しますが
 少し濃いめの400倍にして
 液体肥料を与える回数を増やしてください。
 1週間に1度から3日に1度に増やし、
 晴れたり、うす曇の日は毎日あげてください。
 つまり、雨が降っていれば3日に1度。
 雨が降っていなければ
 毎日あげてください。
 まずはこれでようすをみましょう」

まずはこの対策をすすめ
日光の気象データーをとりよせて
永田先生におくるとさらに
次の指示が出ました。

「土壌の問題ではなく
 天候と気温の要因が大きいです。
 最高気温が20度では
 夏野菜の生育は遅れます。
 液体肥料の濃度を400倍から300倍に
 あげてください。
 低温時には濃いめにしないと
 液体肥料が効かないのです。
 天気が悪くても3日に1度与えるペースで
 雨が降らない日は毎日あげてください。」

金谷ホテルの気象データーをとりよせてみると
例年でも夏は25度を超える日が
ほとんどないという涼しい気候。
ホテルの裏山にある畑は
さらに高地となり気温が低い上に
今年の長雨と日照不足が
生育に大きく影響しているそうなのです。
日光は避暑地で夏は涼しいとは
わかってはいましたが
思った以上に涼しい場所だったというわけです。

通常、夏野菜における
液体肥料の希釈濃度は500倍。
それを300倍にあげるというのは
冬野菜栽培時における希釈濃度。
これは金谷ホテル仕様として
採用することになりました。

「金谷ホテル仕様」を
取り入れてから2週間後、
うまくいってるかを確認するために
諏訪さんと金谷ホテルにむかうと
われわれと出迎えてくださった服装が
明らかに違います。

東京からきた諏訪さんと前田カメラマンが 半袖であるのにたいして
金谷ホテルのスタッフのみなさんは長袖。
山だから蚊に刺されるというわけではなく
「寒いから」この服装なのだそうです。
スタッフの方によると
「日光に住む知り合いが
 夏に軽井沢に行って
 『暑くて困ったよ』とぼやいていた」
という、うそみたいなホントの話があるのだとか。

管理部の泉さんに畑を案内してもらう途中に
プールがありました。
どうやらプール開きをしたばかりのようす。

「こんなに涼しいのに
 プールに入る人がいるんですか?」
という問いに
「プールに手を入れてみてよ」
という泉さん。
プールに手を突っ込んでみると
「わっ、あたたかい!」
ぬるめの露天風呂のようなプールなのです。
「そう、ここは温水プールなのよ」


「あっちの大きいプールは冷たい水で
 こっちの小さいプールは暖かい。
 だから、みんなあっちとこっちを
 いったりきたりするべさ」
という話をしながら畑に到着すると
また小屋がグレードアップしてます。

今度は看板ができあがっていました。
近づいてみると木の枝で作っているんですよ。

よくできてるなぁと感心していると
諏訪さんが畑を眺めて考えこんでいるようす。

「ぼくの予想では
 7月末にはここから反対側が
 みえなくなるくらいに
 作物が生い茂っているイメージだったんです。
 ざっとみたところでは
 品種によって生育に差があるようです。
 ちょっと仮説をたてたのですが
 それを今日は実証していきましょう。
 次につなげるためにも
 考えられる要因はすべてつぶしていかないと。」

と、作物のチェックをし始めた諏訪さん。

「トマトの生育はよくなってきているけど
 トウモロコシはいまいちだな…。
 うん。そういうことか。
 わかってきたぞ。」

諏訪探偵の推理はどうなるのか?
日光金谷ホテル菜園プロジェクトは
このままつづきます。



8月13日(日)・14日(月)19:00より
金谷ホテル玄関前において「盆踊り」を行います。
ホテルにご宿泊でない方の参加も大歓迎。
もしかしたら「永田野菜」の参加もあるかもしれません。


2006-08-12-SAT