第5回 素人こそ永田農法が向いてる。

諏訪 これから学校はおもしろいですよね。
たまたま家の近くに廃校があるんですけど
そのままになってて。
アイデアが何もないのなら
校庭にブルトーザーを入れて土を
かきまぜるだけで畑になるから
校庭を農園として開放すればいいのに。
と思ったりします。
糸井 学校が市民農園になればいいんですよね。
その時に重要なのが
インストラクターがいないってことなんですよ。
そんな時にこのDVDがあれば
助かると思うんです。
先に始めた人が、
後の人に教えることもできるし。
このDVDの仕事は
農業のオープンソースなんですよ。
諏訪 糸井さんが2年前に
永田農法でコンテンツを作ろうというところから
話は始まりましたが
このDVDや本が売れることだけではなくて
5年後もしくは10年後に、
日本中で
「あのとき、あんなこと言ってたけど
 ほんとにそうなっちゃったよね。」
いうように
このやり方で空き地や休耕地で
いろんな市民農園が広まると
おもしろいことになる気がします。
糸井 いくら土地をもってても
このDVDがなければ
誰かに頼るしかないんですよ。
これは釣りの経験が生きてるんだけど
釣りを始めた時は
最初は「ほら吹き」の後を
ついていったんですよ。
そしたら、おもしろいんだけど
これが釣れなくて、
金ばかりがかかるんです。
「どうしたもんかなぁ」と
思っている時に
釣りのチャンピオンを紹介されて
先生が「ほら吹き」から「チャンピオン」に
変わったんですよ。
そしたら突然、釣れるようになってね。
今まで「ほら吹き」から教わっていたのは
全部間違いで。
これは農業でいうと
野菜作りよりも肥料作りに
命をかけている素人みたいなもので(笑)。
農業でもぜったいそうだと思うんだよね。
プロに教わると
もうその日から全部わかっちゃうんですよ。
その時の経験が
このDVDを作らせているんです。
諏訪 ほんとにすごいものって
やっぱり普遍的なもので
隠すほどのものでもないし、
非常にベーシックなものですよね。
このDVDもみていただければわかりますが
特殊なことはやってなくて、
ほんとにシンプルなんですね。
一週間に一回、液体肥料をあげるだけだし。
ところが、今までの家庭菜園の教え方が
へんなところにこだわっていたり、
へんにこね繰り回していたりしてるから、
それが常識になっちゃってる。
糸井 早い話が
作物にがんばらせて才能を引き出すということ。
それが永田哲学だと考えると、
苗の根を切っちゃう話も、
びっくりするほど納得ですよね。
諏訪 自然と人間が、一緒に作っていく農法。
人間は最低限の手助けだけしてあげてる。
やることはすごくシンプルなんですよね。
そろそろじゃがいもの種芋を植えるんですけど
今は3月ですけど
それまでは前年の10月から落ち葉を集めて
鶏糞と水を入れて発酵させて
何ヶ月もかけて堆肥を作ることから
じゃがいも作りだったんですよ。
堆肥を作るだけではなくて
それを畑に入れるのも重労働で。
永田農法にしてからは
せいぜい、雑草をぬいて表面をならして
種芋を植えて週に一回、
液体肥料をまけばいいわけですから。
実際には週に一度に水やりをするのも
手間ではあるんですけどね。
糸井 でも、たのしみとして行くわけでしょ。
つまり、ゴルフに行くのと同じ感覚で。
諏訪さんの話はね、
理想的に聞こえるんだよね。
諏訪 ははは。
諏訪 慣れちゃえば、土日のどちらかで
2時間もあれば終わりますから。
ああいう仕事はだいたい2時間で
できちゃうんですよ。
糸井 売るほど作ってるわけじゃないから
ということですよね。
でも、諏訪さんの畑は
テニスコートくらいあるんでしょ。
テニスコート大の畑って決して小さくはないよ。
諏訪 確かに大きいですよね。
それでも2時間もあれば充分ですよ。
ただ、夏はこまめに収穫しないと
キュウリやナスも1週間で
とんでもなく大きく育つので
会社に行く前に収穫だけをしにいきます。
それでも30分くらいで終わりますしね。

2006-03-20-MON