糸井 |
「ほぼ日」で販売するセットの中には
諏訪さんの「おいしいさのつくり方」も
入れてようと思ってます。
たぶん、この本を読んでみてから
DVDを観たらしみ込むと思うんです。
これって伝えにくいなと思うことが
いっぱいあったでしょう?
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諏訪 |
DVDには一番ベーシックになる
ハウツーの原点を盛り込んでいるので
個人的な体験や地域ならではのことを
盛り込めないんですね。
「有機農法」から「永田農法」へ
切り替えたことでわかったことや
サラリーマンだからこそ、
苦労したり感じたりしたことを
意識して本に書いたんです。 |
糸井 |
永田先生も農業の方だから
やっぱり言葉足らずな面があるんですよ。
その点、諏訪さんが人に伝えることを
職業にしている人だったから
この本は本当に助かる。
ものすごく基本に立ち返って、
「本当は同じですよね」というエキスが
永田農法なんですよ。
永田先生にしても
誰も教えてくれなかったから
一生懸命考えたり、
大学の先生に相談したり
七転八倒したけど
結局は植物に聞いたんですよね。 |
諏訪 |
そうですね。
永田農法以外にもいろんなやり方があるけど
余分なものをどんどん削ぎ落としていくと
最低限の肥料と水で
植物本来が持っている力を引き出すというところに
いきつくんですよね。
1万年前に人類が農業を思いついた時には
当然、肥料も水も無いわけです。
今まで山でとってた芋を
残しておいたら家の前でも芽が出たから
「植えたら遠くまで
とりに行かなくていいじゃん!」
というところから
農業がはじまっているわけです。
やがて、動物の糞だとかを
ちょっとあげてみると
思わぬことに良かったということから
肥料という考えが生まれたけど
ほとんどは肥料をあげずに育てる農業を
やってきた。
それが戦後に食料難対策としての
農業が生まれました。
大量に肥料をやると味はともかく
収穫量が短期的に増えるという農業です。
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糸井 |
そうか一度、荒廃させたというわけですね。
人災なんだ。 |
諏訪 |
そうですね。
代々農家をされてきた人の中には
大量生産、大量消費という
食料難の原点の農業があるので
多くの肥料をあたえて
多くの収穫が欲しいという考えが
こびりついているんです。 |
糸井 |
やっぱり原生種の育ち方に
近いところにいくと思うんですよ。
「山で実っているのはウマイぞ!」
というところが原点なんですよね。
いろんな宗教がどこかで
同じような場所にたどり着くみたいなことで。
永田先生は常識を知らなかったおかげで
ものすごい速度で
そこにたどり着いたんだよね。
変な言い方だけど
「みんな永田農法だよ」
ということかもしれない。
大量生産・大量消費型の量から量へ
という発想が壊れようとしている今、
これが出てきたというのは
やっぱりシンボリックですよね。 |
諏訪 |
量から量へは
日本の戦後ではよかったんだけど
今は量をつくる農業だと
外国産野菜に負けてしまうわけです。
人件費、土地。
さらに相続税までコストに入れると
とてもじゃないけど
日本の農業は価格競争の土俵では勝てない。
多少、お金がかかっても
いいものを作れば勝負ができるわけだし。 |
糸井 |
どんなことをしてでも収入を増やして
どんなことをしてでも安いものを買う。
という人生を送っていたら
きっと目茶苦茶になりますよね。
「なんだ、そんなのが30円もするのか。
こっちでは10円で売ってるぞ!」
というように安いものを買っていたら、
その人は何のために生まれたのか
わからないよね。
極端に考えるとわかるよね(笑)。
それをやっているんだと思います。
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