今日は、
これから農業をやってみたいかたや、
定年後、
農業にたずさわりたいと
思っているかたにも
我々が知っていることや、
考えていることを
お話しできればいいな、と思っています。
これから新たに
農業をはじめていくかたにしてみると、
先祖代々の土地がある人と違って
土地がない、という物理的なこと以外にも
農業を事業としてやっていくには
なかなかむずかしい部分もあると思うんです。
私と糸井さんは、
この1〜2年、永田野菜を中心に、
他の農園も含めて全国のさまざまな農園を
取材して歩いてきました。
そこで思ったのは、
「これからはやっぱり、
今までと違う野菜を作るとか、
付加価値のある野菜を作るとか、
今までと違う流通システムにのせるとか、
今までと違う言い方をするとか、
そういう視点がないと
やっていけないのかもしれないな」
ということでした。
この永田野菜は、
まあ、はっきり言って高いんですよ。
価格競争によって東南アジアとかから、
大根1本何十円とか、
タマネギだって1個10円20円とか
いろんな安い野菜が入ってくるという時代にですよ。
トマトジュース1本何百円とか
永田野菜のタマネギも、
1個、200〜300円しちゃったりするんだけど、
ちゃんと売れちゃう。
今、
みなさんに飲んでいただいたこのトマトジュースは
北海道の余市で、
サクランボ農家だった人が作っているんです。
高級品以外のサクランボが
アメリカンチェリーとの競争で負けそうになって、
どうしようもなくなってきたときに
たまたま永田先生と出会って、
「トマトを作りなさい、
ここは(トマト作りに)いいところです」
と言われて、半信半疑で作ったんだそうです。
しかも、その農家は、
肥料がいっぱい入ったふかふかの土で
サクランボを作ってたんですけれども
「トマトを作るには痩せた土地がいいんです」
って言われて
先祖代々、やっとの思いで作ってきた肥えた畑を
ぜんぶつぶしちゃったんです。
まわりの人や
「なにやっとんじゃ!」みたいな
父親の反対も押し切って、
できたトマトジュースがこれなんです。
そして、高くても、作れば売れてしまうし、
海外旅行にも行けるぐらい
休みをつくれる生活をしながら、
トマトを作ることができる。
そういったこともあって
このトマトジュースを紹介しました。
これからの世代が新しいものを作るには、
今までにないもの、付加価値があるものを
作っていく必要があるんじゃないかなと
思ってるんですけど。 |