最新の記事 2006/03/24
 
「ややこしい問題。」第21回は、
いわゆる、「部下をどうやって育てるか」問題。

上司と部下だけでなく、先輩と後輩など、
さまざまな場面で遭遇しそうです。

ご投票、ありがとうございました!
結果を発表いたします。

ではその前に、相談の内容をもう一度ご覧ください。


問題21 部下の指導について‥‥


私が悩んでいる問題について、
多くの人の意見をぜひ聞いてみたいと思います。

それは、上司として部下を指導する場合に、
親切に手取り足取り教える方がよいか、
やって欲しいことを大まかに伝えて
後は本人に任せる方がよいか、というものです。

指導される人の性格によるということはありますが、
指導方針というのはある程度スタイルを決めないと
混乱します。

私は、これまで手取り足取り派でやってきた方だと
思いますが、これだと本当に人を伸ばすことが
できないように感じます。

ただ、手取り足取りをやめられない理由もあります。

それは、教えられる人は親切に教えられることを
一般的に求めているということが一つ。
突き放すような教え方に
我慢してついてきてくれる人は少ないのです。

それから、目前の仕事の品質を
落とすわけにはいかないというのがもう一つの理由。
ある程度失敗に目をつぶるだけの余裕を
持てる場合が少ないのです。

ただ、それでも悩むのは、
自分で壁にぶつかりながら仕事を覚えさせたり、
個人の持ち味の発揮方法を考えさせたりするには、
ある程度失敗を覚悟しても
やりたいようにやらせるところもないと、
成長・飛躍といったものは
期待できないということも切実に感じるからです。

みなさんの方針を教えてください。

(帰ってきたほぼ日ファン)



部下を育てることが仕事なのではなく、
仕事は仕事で、ちゃんとしなければいけない、
というのは当然ですね。

仕事をしつつ、仕事ができるように部下を育て、
必要なことを教えるだけでなく、
成長や飛躍までできるような方向で‥‥。
うーん、ややこしい!!

でも、多くの会社でおこっていることなのですよね。

さて、選択肢は次のふたつです。

A:親切に手取り足取り教える
B:大まかに伝えて後は任せる

さっそく、みなさんの投票の結果を発表します!


大まかに伝えて
後は任せる!!
   
   


心配な気持ちも分かりますが、
ここは思い切って、任せましょう!

では、集計の中身を見てみましょう。

投票総数:4028

A:親切に手取り足取り教える  42.1%
B:大まかに伝えて後は任せる  57.9%

大差というほどではありませんでしたね。

では男女別ではいかがでしょうか。

男女別

女性

A:43.9%  B:56.1%
男性

A:38.1% B:61.9%

男性のほうが「任せる」派が多くなっていますね。

さらに、年齢別ではいかがでしょうか。


年齢別



女性


男性


やはりキャリアが長くなってくると、
経験が増えるからでしょうか。
年齢が上がるにつれ、「任せる」
という方が増えてゆきました。

しかし40歳代でいったん「手取り足取り」派が
増えるのは、現実に「上司」として
この問題に直面された方々が、
今回の相談者のように、
迷われている、ということかもしれませんね。

よろしければ、集計のご感想なども、
お送りくださいね


ではメールをご紹介いたします。

いろいろな経験からのご意見を
ありがとうございました。

上司の方だけでなく、
部下の立場からもメールをいただいています。
どうぞ、お読みください。

来週もよろしくお願いいたします!!


=
自分自身も仕事を抱えているので。

管理職歴1年。大まかに任せるに入れました。
私自身、そうして仕事を覚えてきたからです。
現在、小さな会社で部下2人がいますが、
専門職という事もあって
最初はどうしても手取足取りになってしまいます。
でもある程度作業や流れに慣れてきたら、
内容だけ伝えてあとは本人に任せます。
そこでやはりもう一度説明が必要なのか、
自分で考えて進めていくかは、本人に委ねています。
でもこのやり方は基本的に思い通りにはならないので、
こちらの余裕がないときには非常にストレスが溜まります。
それでも、かかりっきりになるよりは、
自分自身が抱えている仕事に時間を使う事が出来るので、
私はこちらの方法がやりやすいと思います。
(28歳女子。新米管理職)


=
基本がなければ分かり合えない。

大まかな指示というのは基本がわかっている人にしか
出せないものではないでしょうか。
以前、上司におおまかな指示の上で、
ある初めての仕事をまかされました。
私は必死に考え、自分なりに結論だ出し提出しました。
しかし、私が最終的に出したものは
上司の思惑とは異なっていたようで、
また1からやり直し、または勝手に作り直されるという
悔しい思いを何度かしました。
そのため一時は仕事へのモチベーションが
下がったこともあります。
指示の出し方、というのは本当に難しいと思いますが、
初め基本はしっかり教えて欲しいと思います。
基本がなければお互いの意図も分かり合えない気がします。
その上で大まかな指示でも任せられる部下が
育っていくのだと思います。
(Coco)

=
最終的には部下を信じて。

「大まかに伝えて、あとは任せる」に投票しました。
私も現在、部下を抱えて仕事をしています。
私の場合、自分より年上の部下と
ハタチそこそこの部下という
年齢がバラバラなまとまりを抱えているので、
さらに悩みは尽きません。
手取り足取り教えたことがあだとなり、
年上にはナメられ年下には甘えられ、
自分の仕事に責任をもてない部下を育ててしまいました。
私も「大まかに伝えてあとは任せる」方式だと、
仕事のクオリティに問題が出るのではないかと
心配だったので手取り足取り教えていたのですが、
結果的に部下を信用していなかったのかもしれません。
多少のミスは上司が責任を持つ。
そのかわり与えられた仕事は責任もってやり遂げる、
ということを教えないと、いつまでたっても
部下は育たないものなんだと痛感しています。
最初から放任するのか、それとも最初は
手取り足取り教えるのかは、
部下一人ひとりの性質によって変えるべきだとは
思いますが、最終的には部下を信じて任せるべきです。
帰ってきたほぼ日ファンさんも、
上手く行くことを願ってます。
私もイチから勉強し直しです。
(26歳 女 企画営業)


=
公務員は定数削減で‥‥。

どんどん定数削減となっている公務員です。
以前は人員配置に余裕と時間があったので、
大目に見ながら本人にある程度任せる方向で、
失敗をフォローしながら時間を掛けて指導してきました。
が、人員削減の現在、一見時間はかかるのですが、
手取り足取りの指導のほうが、失敗も少なく
無難に仕事として成立するようになっています。
ホントは試行錯誤を繰り返し、
自分なりの問題解決能力を身に付け、仕事として
成功させてあげたほうが良いとは思いますが‥‥。
こんなことではますます型にはまった公務員が
増える気がして、恐怖です。
(m)

=
良い関係が必要。

「大まかに伝えて後は任せる」に投票しました。
僕の場合も、「かえってきたほぼ日ファン」さんと
一緒で、指導する立場にいるのですが、放任主義というか、
本人に自覚を持って事にあたってもらった方が、
後々、自分の負担が少なくなり、ひいては、
会社全体の業務レベルの向上に貢献すると思います。
無論、仕事の品質を落とせないので、
進捗状況のモニターや、度重なるダメ出しは
必要だと思いますが、やはり、
「任されたから、何が何でもいいものを仕上げなきゃ」
という自覚を持ってもらえれば、必ず、
その人の将来にとって大きな財産になると思うのです。
無論、そのためには、我慢強く成長するのを見守り
(時として良いものができるまで、幾晩も徹夜が続いても
 付き合う覚悟)、ダメ出しを納得してもらう良い関係が
必要だと思いますけどね。
高い志は、質のいい仕事につながると信じています。
(42歳 海外12年目 海外駐在員 男)


=
レベルアップを図りたいが‥‥。

10店舗ほどの店舗社員スタッフをまとめる立場にいて、
毎日店舗をまわって指導していますが、
毎日のように質問や問い合わせの電話が
昼夜関係なくかかってきます。
毎日同じ店につきっきりでいられない関係上、
どうしても電話で細かく教えている日々です。
質問者の方と同じように、ある程度突き放した上で
スタッフのレベルアップを図りたいのです。
しかし契約書を記入してもらう仕事のため
絶対に品質第一を優先してやらねばならず、
苦慮しています。日々丁寧に電話で答えて
少しずつでも仕事を覚えてもらう方向で
やっていきたいと思ってます。
そうすればスタッフ全体のレベルの底上げが
できていくと思ってはいるのですが、
現状では殆どのスタッフが甘えているような状態で‥‥。
一応は丁寧に教えるに一票ですが、
またじっくりこの件に関しては考えたくなってきました。
(26歳・男性)

=
タイミングの悪い指導より。

Bの「大まかに伝えて後は任せる」に投票しました!
いやぁ、これはですね、後輩としては!!
先輩がいろいろ教えてくださるのは
とってもありがたいんです、が!
どうもこうなんでもかんでも教えられると
「あ〜〜、それわかってるんです!」とか
「あぁ、今やろうと思ったのに。」など
言えない思いが少しずつストレスになって
溜まっていくんです‥‥。
でも別に先輩が嫌いなわけではないし、むしろ好きです!
ですが、やっぱりストレスが溜まると
練習にも身が入らなくなるし、
またミスをしてしまうという悪循環‥‥。
というわけで私の場合だと、手取り足取り教えられる方が
ミスをしやすかったりするわけです。
本当は「ここぞ!」というときに教えてくれるのが
一番なんですけど、そんなの人それぞれですし、
タイミングが違ったらまた困るので
やっぱり、いっそないほうがいいですねぇ。
(さくら)


=
人を育てるのは難しい。

「手取り足取り」に投票しました。新人、だからです。
いつかは任せねばなりませんが、
確実なアウトプットを得つつ、
仕事を覚えてもらうためには、まずは手取り足取りですね。
そこから徐々に「まかせる」方向に持っていきます。
仕事が細かくてなかなか任せられないからという、
会社の事情も大きいとは思いますが。
でも、結局は任せられるだけの器を
その新人さんに感じるかどうか、だったりしませんか?
任せてみようと思えるなら
それに従えばいいのかもしれませんね。
人を育てるのは難しいっすよ。
自分も教育係として成長しなくちゃね。
(43歳・男性・製造業課長)

=
先回りの指導は、不安になる。

Bを選びました。
私は触ってみないと、熱いものを熱いと解らない性格です。
なので、先回りして間違いないように教えてもらうと、
いざ自分が仕事を任された段になったら、
どうなるのかとても不安になりました。
年を重ね後輩も出来る年になり、
仕事の引継ぎを行っています。
私の作ったマニュアルは、とても大雑把なものです。
勤めが商社なので、買う先と売り先の関係を
わかってもらい、請求と支払の期日だけは絶対に守る。
基本的にそれだけです。
で、そこまでに至る、自分が築いてきた道筋を
教えてあげて、でもそれが後輩に合うのかは
わからないから、とりあえずやってみて、
うまくいかなかったら変えてみる。
相手先に迷惑がかかるかもしれませんが、
新しいパートナーとなりうるためには必要な事だと、
わりきっています。
(もと 29歳 千葉)

=
まめに教えて、任せる。

A:「親切に手取り足取り教える」に1票入れました。
過去後輩を十数人面倒を見てきての感想ですが、
私のやり方は、こうです。
まず、金魚のふんのように、師弟関係のようになり、
最低半年間は私の言うとうりに動いてもらいます。
たいてい半年位は、言われたことをやるだけでも大変で、
ついてくるのが精一杯です。
製造業ですので、そこで、どうすれば楽に早く出来るか、
あの手この手を教えます。
次の半年間は、後輩を中心として仕事をやってもらい、
私がサポート役になり助けながら、仕事を続けます。
この期間には、失敗(損害)も覚悟です。
人間は失敗することで、ことを覚えていきますから。
たいてい、1年過ぎるころには、私の指導した後輩は、
その職場か他の職場から請われて、
リーダー格として 私の元を離れていきます。
大半の人は入社後あまりまめに教えてもらえないようで、
そういう人達は、仕事に対する考え方が甘かったり、
創意工夫がいまいちだったり、
問題解決できなかったりと、5年たっても
たいした仕事をさせてもらえない人に
なってしまっているようです。
私からみれば、不幸なことだと思えます
そうなってからでは、アドバイスしても
なかなか聞く耳をもってもらえません。
批判を恐れずに書くと、こういうことです。
B:「大まかに伝えて後は任せる」というのは、
大まかに伝えればできる程度のあまり難しくない仕事か、
教える本人がわかっていないので的確に指示できない、
といった無責任な状態のように思えてしまいます。
結局、手取り足取りをどのくらいの期間にし、
任せることができるかということでしょうね。
(王ジャパンよくやった・53歳・男性
 ・機械、電子機器、通信関連等製造業技術開発部門)

=
過保護な教育ママよりも。

私は部下に任せる方に1票です。
私は今部下の立場でこの状況に立たされています。
今の上司は何でも仕切りたがりで、
私達に選択の余地どころか、
自分達で考える時間さえも与えません。
以前の職場の上司は私達にやるべきことを
託してくれました。だからこそ、こちらもフルに頭を使い
みんなで議論し、良いものにしようと頑張れました。
だからといって全て手放しではありません。
大きな問題が起こったとき、
身を挺して私達をかばってくれました。
そんな上司だったからこそ、その上司の思いに答えたいと
みんなが思っていました。
今やっている仕事よりもずっと難しく、疲労も強く、
失敗の許されない部署でしたが、
この上司だったから自分も胸を張って
頑張って仕事できたんだと思います。
今の職場の仕事内容は楽(なはず)なのに、
非常にやりづらくてみんな頭を抱えてます。
上司には「過保護な教育ママ」よりも
「ドーンと構えている母ちゃん」であってほしいと思う
部下なのでした。
(女・愛知県)

=
教わる側からすると。

手取り足取り教える方に賛成です。
教えてもらう方にすると、
教える側にとっては「ここまで言うのか!」と
思われるくらいでやっと訳がわかる、
程度のときが多かったからです。
教わる側にとってわからないのは、
仕事の手順ではなくて、
やろうとすることがどういう意味を持っているのか、
ということだった場合が多かったという気がします。
何のためにその仕事をするのか、ということを
懇切丁寧に教えてもらえれば、その仕事を
どういう手順でやったらいいのかということは、
不慣れな人にも、ある程度予想がつきます。
何のためにその仕事をしているのか、
を教えてもらったあとは、
「どういう失敗をしやすいか」が、問題になります。
それに関しては、自分が失敗をして学んだ方がよいのか、
あらかじめ失敗をしないで済むように
教えてもらっておく方がよいのか、
それは、仕事の性質によると思います。
私としては、失敗しやすいようなところを、
陰で見ていてくれる上司がいてくれたら、
もっとも有難かったでしょう。
「やっちまった‥‥!」ということを自覚した直後に、
フォローしてもらえたら、仕事上の損害は最小に、
成長は最大に、なれたと思います。
(ancoo・43歳・女)

=
任せるほうが手間はかかるけれど。

自分も従来は仕事は手取り足取り派でしたが、
今後あるべき組織の形としてBにしました。
一言で言えば、わからないことを全部
質問させればいいんです。
質問に対しては親切に答えてあげる。
それ以外の部分は自己判断させ、任せる。
直接指導していない内容に対する結果は
上司がフォローすればいいのです。
そのとき結果が正しければ褒め、
間違っていれば指摘する。
ただし、大事なのはどんなに小さなことでも
指摘は人前でやらないこと、
褒めるときは皆の前で行なうことです。
また、できて当たり前の小さなことでも
できたときは最初は褒めるべきです。
一見単純なようですが、
これができる上司はかなり少ないです。
これを繰り返せば部下に「判断の仕方」を
学ばせることもできるので
やがて「自分自身で改善する力」も身についてきます。
どの部下もそうなってきたら、やがて組織全体が
「考える力を持った組織」「改善力を持った組織」に
育っていきます。
また、「自分で責任を持つ」という
モチベーションが育ちます。逆にこれがないと
「教えてもらってないのでできない」部下になり、
やがて仕事に面白みがなくなって
辞職を申し出る者も出てくるかもしれません。
できて当たり前の小さな仕事であっても、
褒められると悪い気はしないものなのです。
結局、人間関係はそうやって成り立つのだと思います。
最初は質問だらけになるだろうし、
アフターフォローも含めれば
手取り足取りよりも手間は掛かりますが、
2〜3ヶ月たてば必ず効果が出てきます。
(chiseka 34th man)


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