最新の記事 2007/05/18
 
「ややこしい問題。」第76回は、
就職活動をしていた大学生の男性に起こった
ご実家の家督継承という、難しい問題です。

しかも、長男の方が拒否されて、ということですから、
ご家族の中でもかなりデリケートな問題になっていると
思われます。

みなさんなら、どうされますか?
まずはもう一度、相談の内容をごらんください。

問題76 次男だけど、家を継いだほうが?‥‥


私は現在就活真っ最中の大学生です。

私の実家は元々その土地有数の権力者だったらしく、
なかなか由緒ある家系なのだそうです。
私には兄と弟がいますが、
兄はその重さに耐えかねて
家を継ぐことを拒否してしまいました。
当然親は怒り、勘当を言い渡したのです。

そうなると
私に跡継ぎとしての期待が高まってくるのは必然です。
ですが、ここで本当の意味で
自身の一生を決めていいのか、分かりません。

先祖代々の家を守っていくことは大切なことですし、
ここで拒否すれば
弟に全てツケがまわってしまいます。
しかし、それでは自分がやりたいことを
犠牲にしなくてはなりません。
希望している就職先は、地元にはないのです。

私事で恐縮ですが、
みなさまのご意見をお聞かせください。

(S 21歳 男性)



「お家を継ぐ」ということ自体、たいへんな問題です。

そこへ、ご自分が継がない場合は
この問題が弟さんにいってしまうということや、
漠然とではなく、
夢を持って就職活動されていたというところが、
さらにややこしいですね。

今回の選択肢は、次のふたつでした。


A:なんとか地元で就職し、家を継ぐ

B:希望の就職を優先し、家を継がない


では、結果を発表します!


希望の就職を優先し、
家を継がない!
   
   

でした。
Sさん、お家のこともたいへんかと思いますが、
就職活動、がんばってください!


さて、その内訳はこちらです。

投票総数:4764

A:なんとか地元で就職し、家を継ぐ
35.9%


B:希望の就職を優先し、家を継がない
64.1%

家を継ぐ、という方は、
3人におひとりくらいです。

では、男女別の結果を見てみましょう。

男女別

女性

A:33.8%  B:66.2%
男性

A:42.9% B:57.1%

男性のほうに、
「家を継ぐ」という方が多くなっています。


年齢別ではいかがでしょうか?

年齢別
全体


女性


男性


年齢の上の方のほうが、
わずかではありますが、「家を継ぐ」と
お答えになりました。

みなさん、ご投票ありがとうございました。

今回の結果をご覧になってのご意見は、
ぜひこちらまでお送りくださいね。


最後にメールをご紹介いたします。

どちらに投票された方にも、
「まずは就職して、後で考えては?」と
多くの方が書かれていらっしゃいました。

また中には、
将来、兄弟で悲しいもめ事が起こらないよう、
継ぐ方がご長男以外に決まった場合は、
財産の放棄等の文書を残しておきましょう、
とアドバイスくださった方が数名いらっしゃいました。
Sさん、ご参考にされてくださいね。

では、どうぞお読みください。

A「家を継ぐ」メール

=
一度就職してから‥‥。

家を継ぐ、に入れました。
でも単に家を継ぐのでなく、やはり一度、
自分のやりたいことに挑戦してからでも
いいのではないか? と思います。
仕事で経験があれば、職種にもよるかも知れませんが
あとあと実家の近くで仕事をするにも
仕事を見つけやすいでしょうし、
お父さんはもうお年なのでしょうか?
そうでなければ、自分のやりたいと思っていることを
してからでも遅くないような気がします。
一度挑戦してから、でもいいんではないでしょうか。
一度自分を試してみたい、と
正直に話してみてはいかがでしょうか。
(mumu 39歳 女性)

=
「いずれ継ぐ」を前提に。

「家を継ぐ」に投票しました。
非常に悩みました。
私自身は道を切り開くというより、
与えられた条件の中で自分を生かすタイプなので、
この選択になりました。
我が家にはそういう問題がないので気楽です。
しかし社会人になってから、
「今はこの会社にいるけど、
 将来は故郷に帰って家を継ぐ」という人が
意外に多いのに驚きました。
ご相談者さんも「いずれ継ぐ」ことを前提に、
若いうちはやりたいことをやってみては。
「好きでもない仕事をして、
 継ぎたくない家を継いで‥‥」
というような、マイナス感情ばかり持つようなら
止めた方が良いと思いますが、
その中にしかない楽しみを見つけられたら
とても幸せです。
何を選択しても、パーフェクトな人生など
有り得ませんから。
(RAN 38歳 女性)

=
昔は武家のうちでも‥‥。

うちの実家もそうなのです。本当に難しい問題で、
近い将来、われら3兄弟(私長女、長男、次男)にも
降りかかってくる問題です。
現在我が家は、ごくごく普通の一介の市民です。
ですが我が家の歴史はというと、平安末期から続く、
(昔は)武家であったそうです。
先祖を祀った石碑があったり、
地元の唄にも名前が出てきたりします。
そんな歴史の我が家を、自分達の代で
終わりにしたくはないな〜と私たち兄弟は、
幼い頃からの漠然とした共通認識がありました。
ただ、現実問題として誰がこの家を継ぐのか、となると
問題がたくさん出てきてしまうのです。
現在、私達兄弟はそれぞれ独立して生活しており、
両親だけが実家に住んでいます。
つい最近、今年還暦を迎える父が
「そろそろ長男(夫婦)がこの家に戻ってきてほしい」
とぽつりと言いました。
田舎なので、長男が家を継ぐのは
半ば当然のような地域で、昔から長男も
そういう位置づけで育てられてきました。が、
すでに長男には家庭があり、仕事もしております。
今から地元に帰って就職をするのでは、
Sさんの言うとおり、希望の就職先はない訳です。
正直、父の言葉に、遠い未来のように
眼を背けていた現実を、突きつけられた形になりました。
今から仕事をやめて実家に戻りなさい。
とは、長男に強制しづらく、かと言って、
自分が実家に戻るのも、卑怯な話ですが嫌なのです。
そしてさらに、実家の歴史がここで終わってしまうのも、
やはり嫌なのです。
そんな自己矛盾を抱えたまま、やはり自然と、
「家を継ぐ」方を私は選択しました。
(石川県 りかちゅう)

=
どんな仕事の中にも。

Aに投票しました。
希望の就職先というのは、本当はどうなんでしょうか。
わたしも若いころはそんな夢を持っていて、
「いつか今の仕事をやめて本当にやりたい仕事を」なんて
思っていましたが‥‥。
現在は今の仕事が大好きです。
どんな仕事の中にも、面白さや素敵なことが
詰まっているような気がします。
いやな仕事でない仕事を探して就職し、
家を継ぐことの大切さを
優先させてみてはどうでしょうか?
(44歳 北のとうちゃん)


B「家を継がない」メール

=
義務感では継がないで。

「家を継がない」に票を入れました。
私の実家も、Sさんと同じような家です。
うちは女ばかり2人の姉妹で私が姉なのですが、
仕事を決めるときに実家に帰るかどうかは
すごく悩みました。
はじめは、好きな仕事について
老後になったら実家で暮らそうと思っていたのですが
両親に反対されました。
いろいろなことがあって、最後の最後で、
私はあの土地が好きで、あの土地で生きて、
死んでいきたいと思えるようになったので、
実家に帰ろう、と思えるようになり
私は、職業ではなく、住みたい土地を選びました。
義務感だけで実家に帰ったら
きっと、後悔すると思います。
あのとき、家ではなくて職を選べばよかった、と
思うときが来ると思います。
義務感なく家を継ごう、と思えないのであれば
家を継いでも、哀しいことが多いような気がして
「家を継がない」に入れました。
(ちょん。21歳 女性)

=
兄弟で話しては?

今回の跡継ぎ問題は、本当に難しいですね。
家を継ぐ、ということは大変な面が強調されがちですが
違う面も、Sさんには見えているのでしょうか?
見えていれば、跡を継がれることを
考えてよいかもしれません。
お兄さんは勘当されたそうですが
一体“家を継ぐ”ということを
ご両親から、どのように聞かれていたのでしょうか?
「有無を言わさず、長男だから継いでほしい」
と言われたのであれば、
相当な重圧と理不尽を感じておられたことと思います。
確かにSさんが跡を継がなければ、
弟さんに、となるのかもしれません。
弟さんと、家のことをお話されたことはありますか?
お兄さんとは?
兄弟だけで家のことを話す機会も必要だと思います。
たぶん、一生を左右するくらいの大きなことなので
すぐに結論はでないと思います。
もしご両親から跡継ぎのお話があったときは
“執行猶予”をお願いすることも
できるのではないでしょうか。
ただ、「ツケ」「犠牲」という言葉が書かれていますから
あれこれ言っても今は「継ぎたくない」というのが
Sさんの本音だと思います。
というわけで
「Sさんは、今は家を継げる状態ではない」と考え
Bに投票しました。
(36歳 既婚 女性)

=
5年たてば、変わっているかも。

継がない方に票を入れましたが、
正確には、「今はまだ継がないです。」
まだ21歳です。
ご両親がおいくつなのかはわかりませんが、
今すぐ決めなくても良いでしょう。
失礼を承知で発言させていただきますと、
希望しているところに就職できるか、
就職してから会社や仕事に満足できるか、
そして、お兄さんの気持ちが変わらないか、
わからないのです。
ただあと5年程たてば、考え方もしっかりします。
今のままでしたら、
あなたもイヤになってしまうかもしれません。
継ぐというのは目に見えないものを継ぐのだと思います。
気持ちや主としての考え方、
財産を食いつぶさない生き方。
作り上げるより、持続させていくほうが困難なのです。
だから、もう少し大人になってから意欲的に
継ぐ方向に向かって行って欲しいのです。
(31歳 女 私は次女)

=
シンプルに考えて。

「家を継がない」に投票しました。
私は父の家業を継ぎましたが、考える時間もあり、
じっくり考えて出した結論なので、
後悔は全くありません。
もちろん大変なこともありますが、
充実していると思います。
その私がなぜ、家を継がない方にしたかというと、
質問者の方がやりたいことがあり、
迷っておられるようだったからです。
色々なしがらみは分かるのですが、継ぎたいのなら継ぐ、
継ぎたくないのなら、継がないと
シンプルに考えるのが良いと思います。
無理をすると、頑張らなければならないときに、
やらない言い訳の理由になってしまいます。
弟さんにも相談してみたら、
弟さんはやる気満々の可能性も
なくはないと思いますので、
聞いてみた方が良いと思います。
(35歳 男 かめりおーに)


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