矢沢 |
イトイ新聞がうまくいくようになってきて、
だんだん、あんまりこう、
イヤな思いをさせるやつがいなくなってきた? |
糸井 |
いなくなってきた。 |
矢沢 |
ずるいよなぁ……!
そんなもんよ。 |
糸井 |
そうだよねぇ。 |
矢沢 |
業界のなんとかかんとかが、
アヤつけただ、つけないだって、
よくあるけど……。
そいつらは、こっちにチカラがつくと、
もう、一斉に引くよね。
そりゃ引くよ。
反撃される可能性があるもん。
人は、だから……。 |
糸井 |
いやらしいよね。 |
矢沢 |
いやらしいよ。 |
糸井 |
いやらしいよねぇ。 |
矢沢 |
だから、逆に俺は言うよ。
イトイ新聞がここまできたら、余計、
引っかけて来いっていうんだよ。
ところが、みんなは、そこまで度胸がない。
「自分がやられる」
と思ったら、誰もアヤをつけてこないんですよ。
オレも、出る杭は打たれるで、
この業界には、どれだけ、アンチ矢沢がいたか。
今、いないもんね。 |
糸井 |
芸能界じゃないところに
芸能エンターテイメントを立てるって、
昔は、ありえなかったから……。
でも、日本の芸能界が壊せないと思ったら、
もう1個、「矢沢芸能界」を作ったっていうのは、
永ちゃんの、これは「発明」に近いよね。 |
矢沢 |
(笑)矢沢芸能界。
それは、いい表現するなぁ。
たしかに、自分で作ったけど。
イトイもそうじゃん。
イトイ新聞の50万アクセスはスゴイ。 |
糸井 |
いや、タダでやってることだからさ(笑)。 |
矢沢 |
いや、それがスゴイと思うんだよ。
前、イトイに訊いたじゃん。
「なんでそれ、アクセス料、取らないの?」
そしたら、
「いや、永ちゃん、取っちゃいけないんだよ」
そう言ったときに、なるほど、そこに
イトイの「ホンモノさ」を見たね、ぼくは。
やっぱり、取っちゃいけないんだ。 |
糸井 |
(笑) |
矢沢 |
今、振りかえると、
オレもイトイも、よく消されなかったよね。 |
糸井 |
消そうとしてたのに気づかないで、
何かモノを拾ったら、
急にピストルの弾が上通ったみたいな……。
そういうの、あったんだと思うよ。 |
矢沢 |
うん、かなりあったと思う。
オレ、噂、聞くもん。 |
糸井 |
本人、知らなかっただけ、
っていうことなんじゃないかなぁ。 |
矢沢 |
オレのことを消したかったヤツ、
いっぱいいたと思うよ。
あの頃、ラジオ出ちゃ、テレビ出ちゃ、
時のナベプロとかなんとか、
ボロカス言ってたんだもん。
よく、うしろから刺されなかったと思うよね。 |
糸井 |
言われた方も、
「ちょっとお行儀悪いヤツですねぇー」
ぐらいのことは、もう絶対、思ってたよね。 |
矢沢 |
思われまくってたんじゃない? |
糸井 |
「邪魔かもしれないですよねー」
とも、言いますよね、当然。 |
矢沢 |
だから、よく消されなかったよね。
ひとつオレが思い当たる節としては、
矢沢に、手を出せなかったんじゃないかなぁ。
なぜかって言ったら、
矢沢のタチの悪いファンが、
イメージ的には守ったかもしれないよね。 |
糸井 |
それも、あるね。 |
矢沢 |
あるよ。
前、とんねるずの貴明が冗談で、
パロディーを、ちょっとやり過ぎたのね。
冗談なんだ。貴明って矢沢の大ファンだから。
でも、フジテレビに、電話殺到だもんね。
脅しの電話。
「番組ごとツブしてやるぞ、オマエ」
っていう電話が、全国から、ブワーッよ。 |
糸井 |
永ちゃんは、当てにしてないのに。 |
矢沢 |
当てにするはずないよ。
言われてはじめて知るぐらいだもん。 |
糸井 |
うん、そこが、やっぱり‥‥。 |
矢沢 |
今から15〜6年前なんて、もう、
特攻隊みたいなやつばっかだからさ。 |
糸井 |
そうだね。 |
矢沢 |
だから、今思えば、
消したくても消せなかったヤツがいるんだよね。 |
糸井 |
いろんなことが掛け算になって、
セーフみたいに。 |
矢沢 |
ギリギリのところでセーフになっていった。
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