横尾さんのインターネット。
横尾忠則さんが相談があるって?

第1回 横尾さん、こんにちは。


「何ができるかわかんないけど、
 何かを一緒にやりましょうか」
みたいな感じで、横尾忠則さんとdarlingは
夏のおわりに、数時間の話しあいを持ちました。
雑談だらけのこの会話は、何だか楽しいので、
これから、「ほぼ日」に掲載してゆきますね。
この会話の終わる頃には、みなさんにいろいろ
おもしろいニュースをお伝えできると思います。
ではさっそく、ふたりの会話をおききください。
(なお、横尾忠則さんのホームページはこちら


(★横尾さんとイトイさんの写真:きむら君後送)

糸井 横尾さん、こんにちは。
横尾 あ、イトイさん。
広いところだねー。
糸井 ここ、あたらしい事務所なんです。
横尾 ニューヨークのロフトみたい。
かっこいいね。
糸井 横尾さんがいいって言ったら安心だ。
・・・今日は、来ていただいて
ありがとうございます。
横尾 これ、富山の美術館のために
つくったカタログなんだけど。
糸井 カタログが、こんなに立派なんですか?
横尾 まあ、そうねぇ。
まあその・・・
カタログの予算、ぜんぶつかってしまって、
部数が少なくなってしまって(笑)。
糸井 (笑)
横尾 2000部くらい作らなきゃいけないのにさ、
これにお金をかけてしまったおかげで、
「何百部」みたいになっちゃって(笑)。
糸井 (笑)そういうのが、いいなぁ。
横尾 フフフ。
糸井 あはははは。
横尾 (予算が限られていることを)
言ってくれないからさぁ、最初に。
言われたのかもしれないけど、
すぐ忘れちゃう。
糸井 (笑)それにしても、
これ、値段かかってますよねえ。
横尾 かかってますよ。
いつも、ソフトカバーのやつを
つくってたんです。でも、
「そんなん、おもしろくない」
って言って、勝手につくろうと思って。
糸井 (笑)いいなぁ、アーティストは。
横尾 ワガママだから?
糸井 いやあ、こういうの、
やりたいじゃないですか、みんな(笑)。
横尾 これは、ポスターと絵を、
年代順に、初期(1960年代)から並べて。
もっとあるんだけどね、一部です。
あとでゆっくり見てください。
糸井 (カタログを見ながら)
これだけたくさん仕事をする画家って、
ちょっと、いないですよねえ(笑)。
・・・いるのかなぁ?
横尾 知らないけど。
みんな、絵を描くの、遅いみたいね。
糸井 ああ、そうか。
手離れが悪いというか。
横尾 時間がかかってしょうがないんじゃない?
ぼくは、速いからさ。
糸井 描いちゃった絵、そのものは、
美術館をまわってるんですか?
横尾 いや、だいたい、うちにあるのよ。

(★金魚と横尾さんの写真:後送)

(金魚を見て)
・・・あ、この金魚、
エサあげると、とりあいするの?
糸井 人がとおると、
何かもらえると思って来るんですけど、
キリがないんです。
横尾 へー。あげればあげるほど来るんだ。
糸井 だから、エサのあげすぎが、いちばん危険で。
子犬なんかが、いつも欲しがるじゃないですか。
あれなんかに、近いですね。
だいたい、人間がいるところにあつまる。
(エサをあげる)
横尾 おぉ、いったいった、食いついた(笑)。
・・・大きいの、あれはニブいね。
「待っていれば、俺だけ特別なやつがもらえる」
とか、思ってるのかしら。
糸井 (笑)ははは。
ま、こんなところにしておかないと、
食べ過ぎになっちゃうので、やめときます。
横尾 イワシなんかがそうだけど、
誰かがリーダーっていうわけじゃなくて、
みんながひとかたまりになって、
バーッと、行動するじゃないですか。
あれって誰かリーダーがいるかというと、
そうでもないねぇ。
糸井 らしいですね。
横尾 水族館で見てるとよくわかる。
一斉に、おなじ瞬間に、ダーッと移動するからさ。
集合無意識だね。
個人じゃなくって、団体の一部になるのかなあ。
糸井 雁が、群れになって飛んでるじゃないですか。
あれも3つくらいしか約束事がないんだけど、
それでもあのカタチになるらしいですね。

横尾さんとこ、
何か生きもの買ってましたよね?
横尾 メダカ。
糸井 どうですか、メダカは。
横尾 あのさ、
30匹いたんだけど、今、2匹になっちゃった。
だけど、とも食いなのかなんなのか
わからないんだけど、とにかく
死骸がいっさいないのね。

ふつうは、たぶん
死骸が浮いたり沈んだりするじゃない?
それが一度も見たことないんだ。
水を換えるたびに、数が減っていくわけ。
藻か何かにくっついていったかというと、
そうでもないようなのね。

ただ、こないだね、いっせいに
画面が、いや、画面じゃないや(笑)、
水槽が、いっせいに真っ白になったの。
糸井 画面(笑)
横尾 5匹いたのに、真っ白になると同時に、
いきなりそこで3匹死んじゃって、
慌てて水をあけて、
2匹だけ救いだしたんだけどね。

どうもそれはタマゴを産んだらしいんのね。
それで精子がワーッと飛び散ったらしいんだけど、
ぼくそれ知らないで、
そのまんまタマゴを捨ててしまったらしいの。
だから、ほんとに2匹だけになっちゃった。

5、6匹いる時は、
お互いを無視して泳いでるみたいだったけど、
2匹だけになると、いつも行動が一緒なの。
それもまたおもしろいなぁと思った。
糸井 何か、生きものがいないと、さびしいですよね。
横尾 そう。
(のんびりした会話のまま、つづきます)

2001-09-13-THU


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