横尾 |
いやぁ、しかし、何にしても
やる気がないとできないね、
インターネットのことは。
もう自分のサイトをはじめてしまったから、
いまはイトイさんの話を真面目に聞けるけど、
スタートしてなかったら、ぜんぜん
聞く耳を持ってなかっただろうねぇ(笑)。 |
糸井 |
ふふふ。
あ、これ、ほぼ日でつくっている
ハラマキなんですけど・・・。
ちょっと見てくださいよ。
(※読者のみなさんへ:はらまきは開発中のため、
画像をお見せできないのです。すみません) |
横尾 |
なになに? |
糸井 |
これ、いま「ほぼ日」で
作っている最中の、はらまきなんです。 |
横尾 |
はらまき?
ふふふ。いいねー。
いいと思うな。おもしろい。 |
糸井 |
でしょう? |
横尾 |
これは、ひょっとしたら
爆発的に売れたりするんじゃない?
そんな気がする。 |
糸井 |
横尾さんにそう言ってもらえると、嬉しい! |
横尾 |
すっごくおもしろいよ。 |
糸井 |
あ、そうだ。
実験的に横尾さんの絵の
はらまき、つくってみませんか? |
横尾 |
ふふふ。
それはやりましょう。
「はらまき」というモノに、
意外性があって、いいもんね。
なんでおもしろいかっていうと、
はらまき、って、
みんなの中にある無意識の部分が
ひっぱり出されたって感じがするから。 |
糸井 |
そうそう。 |
横尾 |
われわれは常に、
テーブルの上に乗ってるような商品の中から
ベストの物を選んでくるしかないじゃない?
「これがいちばん売れてる」だとか、
「ロングセラーだ」とか言うんだけれども、
でも、実際の大衆は、
テーブルの上に乗っていないモノや、
テーブルの下にあって見えないモノを、
「あ、それ!」って欲しかったりするんだよ。
はらまきって、まさに、
テーブルの下って感じだもの。 |
糸井 |
うわぁ、嬉しいなぁ。 |
横尾 |
はらまきで儲かったら、
笑いが止まんないよね?ふふふ。
Tシャツとかセーターだとかで
たくさんの人が手に取ってくれるのも
うれしいだろうけど、はらまきみたいなモノで
売れたほうが、なんか、おもしろいもん。
はらまき、って、現代人にとっては、
いまや恥ずかしい部分じゃないですか。
その恥ずかしい部分に目をつけたっていうのが、
何とも言えず、いいよねぇ。
これからいろんな商品を
ぼくが作るんだとしたら、
そういう無意識の部分を探し当てて、
やっていきたいなぁって思うよね。 |
糸井 |
アンディ・ウォーホールが
「ぼくはリーバイスのジーンズを作れなかった」
って、悔やんだセリフがありますよね。 |
横尾 |
聞いたことある。 |
糸井 |
アンディ・ウォーホールは
いろんなことをしてきたのに、それでも
「ジーンズを作れなかった」って言うんですよね。
ある一定の数のものを
ある一定の人にお届けできる以上のもの、
つまりジーンズのように、
世の中のものすごい数の人が日常的に
触れてくれるものを発明できるのなら、
アーティストを辞めてもいいと思ったんでしょう。
いまは、インターネットもあるから、
たとえば企業とタイアップすれば、
もしかしたら、横尾さんなら横尾さんにとっての
リーバイスのジーンズのようにまくものが、
生まれるかもしれないなあ、と思えるんです。 |
横尾 |
その商品が一本出来れば、
あとは寝ても暮らせるような、ね。
そうなっても絵を描くと思うけど、
ぼくは、その絵を売らないでいい(笑)。 |
糸井 |
絵を描く意味も、そうなるとまた
変わってくるじゃないですか。 |
横尾 |
変わってくるね。 |