糸井 |
横尾さんが、失敗した時に
「まだ受け入れられないんだ。
俺は未来人なんだから」
と思えるのは、それだけで
もう、ひとつの強さですよね。 |
横尾 |
それは、自信だと思うね。
自信がないとそうは思えない。
作品への反応は、どっちにもとれますから。
自信の裏づけにも取れるし、
その反対にも取れるし。
だからぼくは、自信しかないと思う。 |
糸井 |
あらゆることは、
肯定されているとぼくは思うんですよ。
「それはそれで、肯定されている」
と思うと、次を生み出せますからね。 |
横尾 |
ぼくは、「自信」と「自信作」とは、
違うと思うんです。
もうすでに作品はできてしまっているわけ。
それに対して、これは失敗作だと思うか、
それとも自信作だと思うというのは、
もう、思念というか想念の問題じゃない?
だから、
「これは、傑作だ!」と思ってしまったら、
不思議に、その作品を自負できるんですよ。
「心配だぁ」と思ったら、評価されても
その作品に自信が持てないんですよ。
「いいですねえ」
「あれは、失敗なんだ・・・。
そういうこと、言わないでくれよ」
みたいに、なっちゃうから。
そしたら、その作品が、
次の作品に生きてこなくなっちゃうから。
だから、「傑作だ」って思うわけよ(笑)。
篠山紀信みたいに、写真撮りながら
「最高!」「傑作撮れた!」とか、
いいながらやってるのね(笑)。 |
糸井 |
荒木さん篠山さんっぽく(笑)。 |
横尾 |
やっぱり、大事なのはそれだと思うのね。
こないだ、水泳の田嶋寧子が、泳ぎながら
「それいけー! やってまえー!」
とか、泳ぎながらさけんでる、って言ってて。
あれも、自信を身につけてるわけよ、きっと。 |
糸井 |
それは、わかりますよね。 |
横尾 |
自信作っていうと、
なんか傲慢になるじゃない?
でも、自信っていうのは自分だけのもので、
相手と比較していないわけだから。
それで、いいんですよ。
自信作って言っちゃうと、
「おまえのそれよりこっちがいい」とか思うけど。
それにしても、はらまき、いいよねぇ。
いま、若い子たちでも、
健康に気を使ってるから欲しいですよ。
しかも、こういうはらまきなら、
見せてもおもしろいもん。
インフォメーションなんか、入れたらどう?
Tシャツみたいに、メッセージ入れて。
そしたら、はらまきなのに、見せたくなる。
そうすると、恥ずかしくもなくて・・・。 |
糸井 |
こういう話してるのって、楽しいよね。 |
横尾 |
楽しいだけじゃなくて、
行動にうつさなきゃね。 |
糸井 |
昔だったら、
楽しいで終わって
つくらなかったりするんですけど。 |
横尾 |
そうそうそう。 |
糸井 |
いまだと、実際つくれるんですよねえ。
それいいよ。 |
横尾 |
昔はほんとうにそうだった。
「もし、1000万円が天から降ってきて
1日で使うとしたら、どうする?」
みたいな話題で、夜中の12時まで
喫茶店でメモを取って・・・アホみたいだよ(笑)。
6時くらいからはじめて、
メシ食いながら、お茶飲みながら話して、
1000万円使いきれなくて12時過ぎてるの(笑)。
あの頃の1000万円って言ったら、
いまの1億ぐらいですからね。 |
糸井 |
しかも、ものを知らない若い時期だから。 |
横尾 |
ヨーロッパから
ベルリンフィルハーモニーを呼んで、とか。
それでどこかの会場を借りるとか言っても、
あの当時で1000万使いきらないの。
今だったら、1億でも何でも、
簡単にものすごく現実的に話すじゃない? |
糸井 |
うん。 |