糸井 |
今日お話したことを、ダラダラとまとめて
連載で、ほぼ日に掲載しましょうか。
それで、横尾さんのページにリンクします。
横尾さんのページのほうからの
インフォメーションがあったら、
それもほぼ日に載せて、リンクをしましょうか。
横尾さんのページのほうは、
いちばん横尾さんがやりたいほうにやってれば、
おもしろくなるに決まってますよね。
モノをつくってもいいし、
いままでの絵を売ってもいいし、
お客さんと横尾さんがゴキゲンになることを
やっていれば、うまくいくでしょうねぇ。 |
横尾 |
いま、横尾商店展っていうのを、
いろんなところでやっているんですよ。
入り口に『横尾商店展』って看板を掲げて
お店をつくってるんですよ。
店にかかっている絵に、値段が書いてあるの。
その値段出したら、買ってもいい展覧会。
それ、抵抗があったり
バカにされたところもあったんですけど、
バカにされればされるほど、
やってやるぞ、みたいな、
そういう気持ちって起こるよね。
あれ、なんなのかなあ? |
糸井 |
バカにしている人が、
あまりにもいままでのかたちに
うたがいを持っていないで
バカにしているところに、
たぶん、腹が立つんですよ。
そいつの言う理由が
昔からの流れで言ってるけど、
こっちは、何が起こるかわからないところで
やっているわけだから、というところで。 |
横尾 |
そうね。
ぼくと同類項の人間が
バカにした場合は、
ほんとにダメかなと思うけれども。 |
糸井 |
おんなじような気持ちの人どうしがいて、
「横尾さん、それダメですよ」ってなったら、
今度は理由を話しあうべきですよね。 |
横尾 |
じゃあ今度さぁ、
自分でも何か変わったものを
発想した時、来るよ。
「これ、どう思う?」って。
「やっぱり、やめといたほうが」
っていったら、やめとこうかなって思うし。
「おもしろい!」って言ったら、それやって。 |
糸井 |
おもしろいかつまんないかの
基準って、たぶん、
「みんながやっていることは、つまらない」
ということだけなんじゃないかと思うんです。
オリジナルだったら、失敗してどのくらい、
うまくいってどのくらい、という、
最低限のところだけを把握して確保すれば
おもしろいんじゃないかと思うんですよ。
「これ以下になったら夜逃げですよ横尾さん」
っていうのは止めますけど、
そうじゃなかったら、
やりたくって珍しかったら、
ぜんぶやったほうがいいと思うんです。 |
横尾 |
横尾商店展は、大きな作品に、
450万円とか値段つけちゃうでしょ。
ほんとは450万円で買えるようなのは
少ないんだけれども。
それで売れたりするからおもしろいね。 |
糸井 |
横尾さんの絵って、
もっと値段が高いでしょうから、
買える人の数は限られていますよね。
そうじゃない、手の出せるもので
横尾さんとインターネットのつきあいがあると、
おもしろいとおもうんですよ。
見てる人が「お、欲しい」と思った時に、
横尾さんの作品があると、うれしいですよね。
何しろ、ソフトはいっぱいお持ちですから。
ぼく、24歳くらいの時に、
6万円ぐらい出して、
横尾さんの自画像のリトグラフを買ったんですよ。
シルクスクリーンだったかなあ?
その6万円って、当時のぼくにとって、
ものすごく大きかったんですよ。 |
横尾 |
そうだろうね。 |
糸井 |
インクがペタっと乗ったやつ。
何が欲しいと言った時に、
横尾さん本人の絵がいちばん欲しかったんです。
金ないけど、伊勢丹で、精一杯で買って。
うれしくてねえ。
ボロな部屋、4畳半だ6畳だ、
って言っている時に、6万円の絵を
手で持って帰ってくるわけですよ。
電車に乗って。
あんな気分を生めたら、
かっこいいだろうなあと思います。 |
横尾 |
うん。 |
糸井 |
とにかく、なんかいろんなことを
横尾さんはできると思いますよ。 |
横尾 |
絵のアイデアだけ出すとか。
絵のアイデアを出して、描かせて、
それ売れたらロイヤリティもらうとか。
それもおもしろいよね。 |
糸井 |
おもしろい。 |
横尾 |
アンディ・ウォーホールが
アイデアなくなっちゃった時がありまして、
「なんか、いいアイデアないかな」
って言ってると、女の子が
「あるわよ、いまからそっちいくから」。
目の前に来て、
「アイデアあげるから、50ドルくれる?」
50ドルか100ドルか忘れたけれども。
それで先払いしたの。
たいした額ではないでしょう?
そしたら、もらった女の子が、
「これ、このお金を描きなさい」
・・・それであの有名な
お金の絵がうまれたの。
彼は、50ドルで取引したの。おかしいよね?
素直にしたがったウォーホールも、すごい。
(つづきます)
|