横尾さんのインターネット。
横尾忠則さんが相談があるって?

第10回 オリジナルなら、なんでもあり。



糸井 今日お話したことを、ダラダラとまとめて
連載で、ほぼ日に掲載しましょうか。
それで、横尾さんのページにリンクします。
横尾さんのページのほうからの
インフォメーションがあったら、
それもほぼ日に載せて、リンクをしましょうか。

横尾さんのページのほうは、
いちばん横尾さんがやりたいほうにやってれば、
おもしろくなるに決まってますよね。

モノをつくってもいいし、
いままでの絵を売ってもいいし、
お客さんと横尾さんがゴキゲンになることを
やっていれば、うまくいくでしょうねぇ。
横尾 いま、横尾商店展っていうのを、
いろんなところでやっているんですよ。
入り口に『横尾商店展』って看板を掲げて
お店をつくってるんですよ。
店にかかっている絵に、値段が書いてあるの。
その値段出したら、買ってもいい展覧会。

それ、抵抗があったり
バカにされたところもあったんですけど、
バカにされればされるほど、
やってやるぞ、みたいな、
そういう気持ちって起こるよね。
あれ、なんなのかなあ?
糸井 バカにしている人が、
あまりにもいままでのかたちに
うたがいを持っていないで
バカにしているところに、
たぶん、腹が立つんですよ。

そいつの言う理由が
昔からの流れで言ってるけど、
こっちは、何が起こるかわからないところで
やっているわけだから、というところで。
横尾 そうね。
ぼくと同類項の人間が
バカにした場合は、
ほんとにダメかなと思うけれども。
糸井 おんなじような気持ちの人どうしがいて、
「横尾さん、それダメですよ」ってなったら、
今度は理由を話しあうべきですよね。
横尾 じゃあ今度さぁ、
自分でも何か変わったものを
発想した時、来るよ。
「これ、どう思う?」って。
「やっぱり、やめといたほうが」
っていったら、やめとこうかなって思うし。
「おもしろい!」って言ったら、それやって。
糸井 おもしろいかつまんないかの
基準って、たぶん、
「みんながやっていることは、つまらない」
ということだけなんじゃないかと思うんです。

オリジナルだったら、失敗してどのくらい、
うまくいってどのくらい、という、
最低限のところだけを把握して確保すれば
おもしろいんじゃないかと思うんですよ。

「これ以下になったら夜逃げですよ横尾さん」
っていうのは止めますけど、
そうじゃなかったら、
やりたくって珍しかったら、
ぜんぶやったほうがいいと思うんです。
横尾 横尾商店展は、大きな作品に、
450万円とか値段つけちゃうでしょ。
ほんとは450万円で買えるようなのは
少ないんだけれども。
それで売れたりするからおもしろいね。
糸井 横尾さんの絵って、
もっと値段が高いでしょうから、
買える人の数は限られていますよね。
そうじゃない、手の出せるもので
横尾さんとインターネットのつきあいがあると、
おもしろいとおもうんですよ。

見てる人が「お、欲しい」と思った時に、
横尾さんの作品があると、うれしいですよね。
何しろ、ソフトはいっぱいお持ちですから。

ぼく、24歳くらいの時に、
6万円ぐらい出して、
横尾さんの自画像のリトグラフを買ったんですよ。
シルクスクリーンだったかなあ?
その6万円って、当時のぼくにとって、
ものすごく大きかったんですよ。
横尾 そうだろうね。
糸井 インクがペタっと乗ったやつ。
何が欲しいと言った時に、
横尾さん本人の絵がいちばん欲しかったんです。
金ないけど、伊勢丹で、精一杯で買って。
うれしくてねえ。
ボロな部屋、4畳半だ6畳だ、
って言っている時に、6万円の絵を
手で持って帰ってくるわけですよ。
電車に乗って。
あんな気分を生めたら、
かっこいいだろうなあと思います。
横尾 うん。
糸井 とにかく、なんかいろんなことを
横尾さんはできると思いますよ。
横尾 絵のアイデアだけ出すとか。
絵のアイデアを出して、描かせて、
それ売れたらロイヤリティもらうとか。
それもおもしろいよね。
糸井 おもしろい。
横尾 アンディ・ウォーホールが
アイデアなくなっちゃった時がありまして、
「なんか、いいアイデアないかな」
って言ってると、女の子が
「あるわよ、いまからそっちいくから」。
目の前に来て、
「アイデアあげるから、50ドルくれる?」
50ドルか100ドルか忘れたけれども。
それで先払いしたの。
たいした額ではないでしょう?
そしたら、もらった女の子が、
「これ、このお金を描きなさい」
・・・それであの有名な
お金の絵がうまれたの。

彼は、50ドルで取引したの。おかしいよね?
素直にしたがったウォーホールも、すごい。


(つづきます)

2001-10-24-WED


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