横尾さんのインターネット。
横尾忠則さんが、横尾忠則さんを解説するって?

「自画像」の部屋
「三島由紀夫」の部屋
 三島さんは、偉大というより
 身近なんです。いまでも。


横尾忠則学芸員解説による「森羅万象」、
お楽しみいただいていますでしょうか。
東京都現代美術館で、
もうすでに展覧会をごらんになった方からのメールを
ご紹介します。

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こんにちは。
「横尾さんのインターネット」、
いつも楽しく拝見させていただいております。
私は展覧会がはじまってすぐに実際に見に行きまして、
非常に感銘を受けて帰ってきました。
なので、記憶をたぐりながら、
お二人とまた一緒に歩いて見ているような
不思議な感覚を楽しんでます。
うまく言えないけどもこういうのって
すごく面白いなと思いました。
それだけなんですけれども。
それでは。

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ありがとうございます〜。
さて今日は、「自画像」の部屋に入ります!
横尾さんは、自画像を
たくさん描いていらっしゃいます。
いろんな時代の、いろんな横尾さんに会えますよ。



糸井 あ!!
横尾 なによ?
糸井 横尾さん、これ、
ぼくがはじめて買った絵なんです。

横尾 あ、そうなんだ。へー!!
でもなんで、この絵にしたの?
糸井 ぼくにとって横尾さんはやっぱり「スター」だから、
本人が描かれたものを
どうしても買いたくなったんです。
いまはぼくの手元にはないんですけれど。
数奇な運命の絵で(笑)。
これ、英(えい)君ですね。そして、美々(みみ)ちゃん。


横尾さんのご家族4人を描いたポートレートです。
横尾 これは、何年ぐらいに描いたものかな?
糸井 そんなに昔じゃないと思いますよ。
きっと70年代ですよね。
横尾 えっとね、74年と書いてあるね。
糸井 74年かぁ。
ぼくこれを伊勢丹で買ったんですよ。
横尾 あっ、そうなの? へぇ。
いくらで?
糸井 6万円かな?
横尾 あ、ほんと。
糸井 作家っていうのは、あんまり
自分の絵がどうやって売れているのかを
直接は知らないんですよね。
横尾 わかんないね。
糸井 あ、これ、横尾さんは似てないけど、
奥さんは似てる。

横尾 最初はね、ウチのカミさんじゃなくて、
原節子を描いてたの。
糸井 原節子を!
でもこれは明らかに、奥さんですよね。
横尾 うん。
ぼくはインディアンみたいな顔してるよね。
糸井 インディアンというよりも、
矢吹申彦みたいですよね。
『ニュー・ミュージック・マガジン』(笑)。
横尾 ハハハ。
糸井 自分描くときって、
なんだかちょっと手を抜いたりします?
横尾 う〜ん。
糸井 しつこさがないような気がするんだけど(笑)。
横尾 そう言われるとそうだね。
やっぱり照れちゃうのかしらね。

糸井 そういうの、
あるんですかね。
横尾 だんだん美化していこうとするんだろうね。
糸井 だから、筆を止めるのが早いんでしょうね。
マンガ家が描く自分って、
すっごくブサイクかハンサムか、
どっちかでしょう。
横尾 そうね。
糸井 ちょうどいいところで描く人、
いないですよね。

横尾 自画像はそういう意味ではむずかしいんだよねぇ。
つぎは、三島由紀夫さんの部屋なんです。
糸井 すごいな。三島さんだけで
ひとつの部屋ができるんですね。
横尾さんは三島さんを、こんなに描いてたんですね。
横尾 うーん、こんなんじゃきかないかもわかんないね。
まだまだあるはずだよ。
シリーズのつもりで描いたわけじゃないんだけれども、
もっとありますよ、たくさん。
糸井 これは、何ですか?
あの・・・孫悟空みたいな
めーずらしい方々が(笑)。

横尾 そう、めずらしい方々が(笑)。


めずらしい方々が絵の上のほうにいます。
糸井 なまめかしいですね、この三島さんは。
亡くなってからもう何年も経ちますけども、
年月が経つにつれて
三島由紀夫という人の存在は
横尾さんのなかで大きくなってきたのでしょうか?
横尾 大きいっていうよりね、
すっごい身近に感じられるの。
身近に!
糸井 なるほど。
歴史って死んだ人の大きさを、
しょっちゅう変えちゃいますよね。
横尾さんが、三島さんを「身近」と表現するのは、
なんだかすごくリアリティがあります。
横尾 うん。まあ、偉大だ、というよりも、
近くにいるっていうかんじのほうが強いです。

糸井 横尾さんはもう、
三島さんよりずっと年上になったわけですよね。
横尾 そうそう、年上になっちゃった。
糸井 それが、なんだか妙なかんじはしませんか?
横尾 そうね。
ウチのじいさんだって死んだのに、
むこうは45歳の姿のままだよ・・・こわいね(笑)。

「自画像」と「三島由紀夫」で
ひと部屋ずつできちゃうっていうことがすごい!ですね。
さて、次回はさらにディープな展開が。
横尾さんがこんなものをつくろうとしているよ〜という
ものをごらんにいれますよ。
おたのしみに!

2002-10-21-MON


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