おかん
【悪寒】
冬のオリオン座を見上げながら、
ぼくは駅からの道を歩いていた。
すると夜空を斜めに切って星が流れた。
ぼくはこういうときのために
用意しておいたことばを
すばやく三度くり返して祈った。
「ミヨコさん、ミヨコさん、ミヨコさん」
どうか、彼女に、ぼくの思いが届きますように。
──一方、ミヨコはそのころ。
「‥‥ぶるぶるぶるっ」
「どしたの、ミヨコ?」
「なんかいま、急に
おかん
がした」
とじる