ながら
【乍ら】
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手品師、内ポケットの鳩をたしかめながら。
「さあ、つぎはこの帽子にご注目ください」
手品師、内ポケットの鳩を袖に移動させながら。
「これはね、じつは、魔法の帽子なんです」
手品師、ヒジのあたりまで鳩を移動させながら。
「さぁて、ここから何が出るでしょうか?」
手品師、鳩が途中で引っかかったことを
観客にさとられまいとしながら。
「‥‥何が出るんでしょうねえ、ほんと」
手品師、引っかかった鳩をいったん戻しながら。
「‥‥そこのあなた。何が出ると思います?」
手品師、引っかかった鳩が、一瞬、
クルックと鳴いたのを大声でごまかしながら。
「はっはっはっ! そんなもの出ませんよっ!」
手品師、鳩が元に戻ったのでホッとしながら。
「さあ、こちらの帽子にご注目ください」
手品師、大急ぎで鳩を袖に移動させながら。
「ワン、ツー‥‥」
手品師、帽子の中に鳩を滑り込ませながら。
「スリー!」
手品師、帽子から鳩を取り出しながら、笑顔で。
「はいっ! どうもありがとうございました!」 |
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