くべる
【焼べる】
燃える炎に薪を
くべ
ながら、父親は息子に言った。
「おまえ‥‥好きな子とか、いるのか?」
大自然のなか、燃えさかる炎を見つめていると、
ふだんは照れくさくて話せなかったことも
不思議と素直に言えるようになる。息子は言った。
「‥‥父さんは?」
「いるよ。秘書課に新しく入った娘で‥‥あ!」
思わぬ愛人発覚の瞬間であった。
大自然のなか、燃えさかる炎を見つめながら、
息子は何も言わず新しい薪を
くべた
。
とじる