ア: |
すすめておいて何だが、このマイナーな文芸の
そのまたシブイ俳人をセレクトしてしまいました。
見つかりましたか? |
よ: |
本屋にも存在しない文具やも |
ア: |
やも? |
よ: |
ここもない大型書店京極山積 |
ア: |
あーやっぱないよね。こっちだってほとんどないもん。
詩歌が充実してる書店なんて数えるほどしかない。
“相田みつを”しか置いてない。 |
よ: |
細い店みつをもいないボムを買う |
ア: |
……もしかして、575で答えようとしてる? |
よ: |
ボム開く立った立ったよ若い血が |
ア: |
なにやってんだか。
で、どうする? 買えぬなら送りましょうかネタ本を |
よ: |
やってみるインターネットショッピング |
ア: |
その手がありましたか! どうやるの? |
よ: |
通販と同じもんだよ変わらねぇ |
ア: |
よし、じゃあ句集がテに入るまで
俳句基礎講座でもやりますか。
わたしもまだまだ初心者なので恐れ多いけど。
よねみつさん、季語はわかる? |
よ: |
つばめとか名月やとか霜とかね |
ア: |
名月やの「や」は切れ字ですけどね。
俳句を定義するとき、特に川柳との違いを言うときに
季語の有無に依るのが一般的なんだけど、
それも実はあいまい。
今回取り上げる池田澄子はいわゆる前衛と分類されていて、
季語のない作品もいっぱいある。
「産声の途方に暮れていたりけり」
とかね。
それに、川柳だって「サラリーマン川柳」
みたいなやつだけじゃないの。
どれほどの快楽か大樹揺れやまず 大西泰世
「詩性川柳」と呼ばれているジャンルなんだけど、
こうなるともう季語のない俳句とどう違うかなんて
わかんないって感じよね。
結論から言えば、大雑把に「短詩型文芸」を捉えた場合、
ジャンル分けは不能ということになる。
本人が俳句っていっちゃえば俳句ってことになってしまう。 |
よ: |
いやしかしあるとしてもだ例外は |
ア: |
そうよね。あまりにも茫漠としちゃって、
それじゃ「詩」とどうちがうんじゃ?
という議論も巻き起こるわけです。
わたしが基準としてるのは、夏石番矢という
これまた前衛系の論客俳人が提唱する
「俳句はキーワードに依る」
という考え方(『現代俳句キーワード辞典』/立風書房)。
一句の中心に他の語ととっかえることが不能だという
重要な一語=キーワードがあるものが俳句で、
それを手がかりに作品を鑑賞していこうというもの。 |
よ: |
いやしかし
俳句や詩などの短い言葉でつくられている形式の詩って、
どの言葉もとっかえることが不能なのでは?
小説なんかでも、
とっかえることが不能なキーワードってあるだろうし。 |
ア: |
もちろん創作者の態度としてはそうでしょう。
でも、俳句って「この語はとっかえられる」
という議論がなされやすいのね。
おそらくそれは、
季語を中心に据えた文芸として発達してきたことと、
創作力と同時に鑑賞力が要求されるという特殊性。
発表の場の多くが句会だからね。
柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺 正岡子規
とは有名な句ですが、
この句の季語「柿」のとっかえられなさ加減を評価するのが
鑑賞だったりする。
誉めるときに「季が動かない」という言い方をするのですが、
同じ秋の季語「梨」をもってきたら、
いきなり句の世界が変化するでしょう。
「柿」だからこの鐘は夕刻を告げており、
古色ゆかしい寺のイメージを倍加させていることがわかる。
アライのような未熟モノが句会に出た場合、
「この季は動きますね」の集中砲火で
まずべこんべこんにされるの。
「他の季語をもってきたほうがいい」とかね。
ひとつひとつの季語に、
うたわれてきた歴史が亡霊のように憑いていて、
おいそれとは使えない。
「柿」で寺とか鐘を詠むのには相当な覚悟がいる、
「柿」って語を置いただけで
子規の句が鑑賞者の頭に蘇ることを勘定にいれて
作句しなくてはならない。
そこが難しくもおもしろいところでもある。 |
よ: |
語るねぇ。
言葉言葉に、いろいろな歴史や条件やルールが
背負わされているってのはイメージできます、
っていうか、そういったイメージのために、
しろうとにはようわからんなぁ、な世界に思えるモノもある。
奥が深いっていうか、ローカルルールが厳しいっていうか。
どうして柿で夕刻なの?
汁たらし柿をばぐばぐ染まるTシャツ |
ア: |
何かと制約の多い俳句ですが、
池田澄子の作品はわりとふつうに面白がってもらえるはず。
しかし……。なまじ俳句かじっちゃったからかなあ、
アライには柿=夕刻で全然オッケーなのですよ、
そこから理不尽なのですか。
ちなみに梨だと昼下がりくらい。
わからん? |
よ: |
わからんなー。
じゃぁ、バナナは朝? キリンは午後3時?
おやつは文明堂(錯乱)?
胃の痛み夜冷蔵庫梨光り |
ア: |
とにかく、本を手に入れて具体的な作品鑑賞にはいりません? |
よ: |
待ちわびた句集届き爪を研ぐ |
ア: |
おお、届きましたか。
長き夜を爪研ぎ合いつ句を語らん |
●インターネットで本購入
「TRC図書流通センター」
今回、本屋になくて困った句集を購入した方法は、
「TRC図書流通センター」のホームページでの
インターネットショッピング。
基本事項をファックスで送って、
会員になってパスワードをもらって注文。
着払いもOK。句集は1週間程度で到着した。
その後、注文した本は2週間以上かかったけど、
随時メールで状況(出版社に問い合わせ中とか)が
送られてきて安心。
基本的に配送手数料が300円かかること以外は、
非常に便利でグーっな感じである。
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●次号予告
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ア: |
よく手に入ったよね。どこにもないから絶版だと思ってた。
インターネットってすごいのかな。 |
よ: |
でも、本屋をめぐって本を探す楽しみってのも
捨てがたいけどね。
『屍鬼』の下巻が本屋になくて、
また本屋めぐりしちまったよ。
上巻を読み終わったときに下巻がない時って
せつないっすねぇ。 |
ア: |
へっへ〜、わたしはがんばって2冊いっぺんに買いました、
読了しましたよ。
小野不由美読んだの初めてだったんだけど、
とにかくパワー感じました、
いや、面白かったです。 |
よ: |
小野不由美さんの悪霊シリーズや十二国シリーズなども
非常におもしろいっすよ。 |
ア: |
今まで読んでないことを後悔。買ってこよっと。
おっとその前に俳句「鑑賞編」に突入だ! |
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To Be Continued |