アライ |
いきなり宣伝なんですが
『ベストセラー本ゲーム化会議』
という本が出ます。
わたしが編集いたしました。
『かまいたちの夜』の麻野一哉、
『巨人のドシン』の飯田和敏、
おなじみ『バロック』の米光一成という
3人のゲーム作家たちが、
ベストセラー本をゲーム化するという
企画対談。
16冊を勝手にゲーム化してもらいました。
おつかれさまです。
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よねみつ |
発売日は10月10日だけど、
23日のハリーポッターさま発売で書店は
それどころじゃないって噂なんですが。 |
アライ |
わぁ、たいへん!
ABCインターネットショップで
先行予約中なので、
そちらでぜひ。
そんなことより、
なんでこんな本を作ったか、ですよ。 |
よねみつ |
もともと、異業種の作り手による
評とか映画評が
面白いって言ってたんですよな。 |
アライ |
『鳩よ!』という雑誌で
映画コラムを担当してたんだけど、
一回も映画評論家に頼んだことがない。
ファッションスタイリスト、演劇演出家、
フィルム管理者、ゲーム作家と
一貫して他の分野の専門家の
言葉にこだわってたんですよ。 |
よねみつ |
松尾スズキさんの映画コラムは読んでました。
たんなる印象批評じゃないから、
面白かったですよ。 |
アライ |
そうなんですよ。
たとえば演出家の目で映画を見ることが、
普通の観客には見えない構造を提示する
行為になってたりしてすごくスリリングでした。 |
よねみつ |
飯島洋一という建築のオーソリティが書いた
『映画のなかの現代建築』って、
すごく面白い本があるんですよ。
映画に出てくる建物の建築家が誰で、
その建築家のテーマがこういったもので
映画のテーマとどう関わっているのか、
なんて話題があって、
おおおそんな観かたもできるんだ!
って驚きの連続。 |
アライ |
最近出た本で、脚本家の君塚良一の映画評論集
『脚本通りにはいかない!』も、面白いよ。
『マルコヴィッチの穴』の破天荒な展開を
「素敵な初稿」であるとか、
『アルマゲドン』に
ハリウッドの手法を読んだりとか、
脚本家ならではの視点がいかされている
名著でした。 |
よねみつ |
すでに名コラムとして有名ですが、
そういった意味では
近田春夫『考えるヒット』も、
ミュージシャンならではの言葉で
語られている強味があるよね。 |
アライ |
枡野浩一『君の鳥は歌を歌える』も、
映画や本などを短歌化することで、
その作品の肝に迫るところが新鮮で面白かった。 |
よねみつ |
あとさ、やっぱり何か作ってる人って、
他の作品を語るときにも、
愛情がある気がするのなー。
いくらキツイこと書いてても、
作品を生み出す苦労を知っているから、
愛のある貶しになってて。 |
アライ |
君塚さんの本で、
いわゆる評論家が認めたがらないような
ハリウッド的な大作を
きちんと評価してるんだけど、
あれだけ大勢の人が楽しめるように
知恵を尽くして作ったものを
バカにしてはいけませんというスタンスは、
作り手ならではだなと思う。 |
よねみつ |
やっぱり作り手って、最終的には、
じゃぁ俺ならどう作れるよ、
って考えるところが、
評論家との違いなのかもしれない。 |
アライ |
ね? 作り手の評って絶対面白いんだよ。
だから、ゲーム作家のみなさんに
書評をしてもらおうじゃないの、
と、この本を企画したというわけです。 |
よねみつ |
ゲーム化するという視点でしゃべってるので、
その本の良さとか、その本のダメさとかよりも、
本の構造だとか、
どうして売れたんだろうとか、
システム化するとどうなるだろうとか、
そんなことが中心になっていて、
変わった本になりました。 |
アライ |
『世界がもし100人の村だったら』が、
プレイヤーはほとんど見ているだけの
環境シミュレーションゲームになったり、
飯島愛の『プラトニックセックス』に
はジョブチェンジシステムを採用したりとか、
結果的にはゲーム化会議を通して
ベストセラーの本質に迫れてるんじゃないか、と。 |
よねみつ |
迫れているのかなぁー。
ともかく、著者のひとり麻野さんが
「自分で読んでて声出して笑っちゃったよ」
って言ってましたので、
ベストセラーを肴に
ゲーム化バカ話をしている本にはなってると
思います。 |
アライ |
ので、ぜひ買ってくださーい。
ハリーポッターに負けるなー! |