宗教としての
天皇制

  • 時間

    72
  • 音質

    音源について
    学習院大学の教室で行われた講演。
    主催者側が用意した演題は
    「国家の幻想と叛逆の論理」。
    「宗教としての天皇制」は
    吉本隆明が設定したテーマ。
    別の話し声が聞こえるところがあり、
    残響音が目立つ部分もある。
    途中で音声が遠くなるのは
    吉本隆明が黒板を使用したため。

  • 講演日:1970年5月16日
    主催:学習院大学土曜講座
    場所:学習院大学 教室
    収載書誌:中公文庫『語りの海1 幻想としての国家』(1995年)、春秋社『〈信〉の構造 PART2』(2004年)




講演より
歴史を考えてみても、天皇がじかに政治権力を掌握し
かつ行政的にも手腕を発揮したというような事例は、
おそらく数えるほどしかないので、
大部分は間接的に、一種の宗教性として、あるいは
宗教的な司祭といいましょうか神主といいましょうか、
そういうような集団として存在してきたのです。
しかし依然としてそこにあるタブーは、
基本的なもの、本質的なものであるために、
そのタブーに手をつけない限り、
直接に政治権力を掌握していなくても、
あるいは単なる神主に過ぎなくても、
天皇制は存続してきたと思われます。
これは裁判沙汰の問題でもなければ、
「首がころり」というような問題でもないと思います。
天皇制にまつわるタブーが現在でも存在するわけです。