- 糸井
- 今日、オープン戦の初戦が
いよいよはじまったところですけど、
監督になったんだな、という
実感みたいなものは感じましたか?
それとも、いままでと、あまり変わらない?
- 高橋
- 実感できているかどうかはわからないですけど、
まぁ、でも、単純な話、
「選手交代を告げに行く」とか、
「つぎの展開をコーチと相談する」とか、
そういうことをしていると、
そうか、こういうことなんだな、
っていうのは感じます。
- 糸井
- 今日はまだ、選手に自由にやらせていて、
サインを出している感じではなかったですね。
最初は選手に任せて、ということも
おっしゃってましたが。
- 高橋
- そうですね。
やっぱり、打ったり投げたりするのは
ひとりひとりの選手ですから、
基本的には、グラウンドに出してしまったら、
任せるしかありません。
ですから、選手たちには、
「個々に強くなってくれ」と
ずっと言ってはいるんですけど。
- 糸井
- でも、なかなか度胸のいることですよね、
いちばん最初に「任せるよ」って選手に言うのは。
最初になめられちゃいけないから厳しく接する、
っていう方法だってあるじゃないですか。
- 高橋
- でも、自分自身、まだ経験もないですし、
知識も多くないということで、
勉強しなくちゃいけないと思ってますから。
わからない、知らないというのはね、
無理するところではないのかなと思ってるので。
- 糸井
- 威厳を出すためにわざと自分を高く見せる、
みたいなことを、
由伸監督はまったくしてないですよね。
- 高橋
- そうですね。そういうことをしても、
けっきょく、いつか苦しくなると思ってるので。
- 糸井
- ああ、なるほど‥‥。
由伸監督は、とても冷静ですね。
- 高橋
- 冷静でいたいと思ってます、はい。
- 糸井
- 落ち着かないことだって、あるでしょう?
- 高橋
- 迷いだったり、不安だったり、
そういうことは、当然あります。
でも、私がそういうふうに感じたら、
観ているお客さんだとか、
あるいは選手たちはもっと近くにいますから、
やっぱりそれを感じちゃうと思うんです。
だから、なるべく選手に、
そういった迷いや心配を感じさせないように
努力しなくちゃいけないと、ぼくは思います。
- 糸井
- たしかに、そういう姿勢というのは、
観ているぼくら観客も伝わると思います。
長かった原さんの時代から
久しぶりに空気が変わるわけですから、
そのあたりはたのしみにしています。
たぶん、選手の人たちにも、
いい意味での切り替えが必要なんでしょうね。
- 高橋
- そうですね。
なにしろ、いまのチームって、
ベテランとか移籍してきた選手は別ですが、
原監督以外の監督を知らない選手が
ほとんどなんですよ。
- 糸井
- あー、そうか。
- 高橋
- はい、10年間やられましたので。
だから、たぶん、選手たちも、
監督が変わったという環境に
戸惑いは当然あると思うし、
ぼくはぼくで、ついこのあいだまで
一緒にプレイヤーとしてやってましたので、
その戸惑いもありますし。
- 糸井
- そうですよね。
いちおう、由伸さんは、去年1年は
「兼任コーチ」という役割でしたけど、
実質的には‥‥。
- 高橋
- 去年はもう、コーチとしての役割は
ほとんど果たせていない
といっていいですね(笑)。
- 糸井
- 聞かれたら教える、くらいで。
- 高橋
- そうですね。
私自身、試合に出たり、代打で準備したり、
戦力としてベンチに入っていましたから、
選手として結果を残すということに精一杯でした。
- 糸井
- そう聞くとやっぱり、
プレイングマネージャー(選手兼監督)というのは、
とんでもないことですね。
- 高橋
- そうですね。
最近では、谷繁さんがやられたり、
ちょっと前だと古田さんがやられてましたけど、
もう、すごいな、と思います。
とてもぼくはできないな、と。
- 糸井
- 「兼任コーチ」という肩書が
ひとつ増えただけでも、
かなりの重さだったわけでしょう?
- 高橋
- そうですね、はい。
- 糸井
- でも、こうして予想外に早く
監督になったということを思うと、
「兼任コーチ」の1年があったのは、
じつは、よかったんじゃないですか?
- 高橋
- うーん、まぁ、そうですね。
コーチの集まるミーティングに出たり、
選手とは違う動きをするときもありましたから、
そういう経験ができたのは、
ちょっとはよかったかなと思います。
でも、ほんとうにコーチとしては
ほとんど経験を積んでませんから、
まぁ、してないときと比べると、
ちょっとはマシだったかなという感じ(笑)。
- 糸井
- (笑)
<つづきます>
2016-03-24-THU