ソブエ「そうそう、
別に『こんにちは!』ぺこり!
で、いいだけのことなんだけどねぇ。
…知ってる人が多いってことも
うれしいんだけどね」
MM 「そうだよね、
この殺伐とした…東京砂漠。
知ってる人が多いだけで
すごいことだよね」
ソブエ「毎日、必ず通る道にあるお店ってさ、
ちょっと困るよ〜」
MM 「ちょっと困るねー」
ソブエ「あのさ、
うちの子供のかよってた保育園の
送り迎えにつかってた商店街に
おいしい焼き鳥屋があってさ、
よく買ってたんだけどさ、
一日にその前を2回往復するのね。
で、あわせて必ず1日に4回の
『こんにちは!』ぺこり!が…。
…毎日、送り迎えを
してたわけじゃないけど
毎回毎回。
ちょっと多すぎると思わない?」
MM 「そうだね、毎回毎回じゃねぇ…」
ソブエ「…その小さな焼鳥屋、道に面してて
お店の人、必ずこっちを向いてるの。
彼には、逃げ場がない…」
MM 「そうかぁ、焼き鳥を
外に向かって焼いてる、あれかぁ…」
ソブエ「保育園の近くだったから
最初の『こんにちは!』ぺこり!から
次の『こんにちは!』ぺこり!までの
時間が短いんだよね。
…さっき『こんにちは!』ぺこり!
したばっかりなのに、すぐにまた
『こんにちは!』ぺこり!
…が待ってるでしょ?
おいしいからといって
毎日、買うもんじゃないし」
MM 「そうだね…通るたびに
焼き鳥、1本
買うわけにもいかないしね…」
ソブエ「そのうち、だんだんと
焼鳥屋の人もたぶん困ってきてさ、
2回めと4回めの
『こんにちは!』ぺこり!のはずの時、
彼なりの工夫で
なにげこちらに気づかなかったふうに
不自然に横向いてたり、
下向いてたり…。
…そのうち、申し訳なくなってきて
ぼくも、よく遠回りしてたよ〜」
MM 「相手がさ、平気にしててくれた方が
まだいいよね。
相手も気にしてることがわかったら
3倍も4倍も気を遣っちゃうよね…」
ソブエ「だよねぇ〜。
…でも、遠回りしてると、
気になるんだよね。
焼鳥屋の人、
自分の顔をもとに戻すタイミングが
まだ、はかれてないかも…、
まだ、自然に下向いたままかも…??
って」
MM 「う〜ん、計り知れない
…焼鳥屋さんとソブエさん。
でも、MAYA MAXXなんか
家に帰るまでに
あんまりお店がない所に住んでるから
…ちょっとうらやましいよ」 |