TBS 日曜劇場「JIN -仁-」 |
TBS系 日曜日 21時〜 |
出:大沢たかお 中谷美紀 綾瀬はるか |
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── |
ここらへんで、
『JIN−仁−』に触れておきましょうか。 |
あやや |
触れましょう、触れましょう!
『JIN−仁−』は、
森下さんが脚本を担当されています! |
森下 |
ありがとうございますー。 |
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荒井 |
よっ、脚本家! |
── |
ほかのドラマと同等に語るのは
なかなか難しいでしょうから、
前回の森下さんの名言、
「じぶんちのカレーを
まずいと言うカレー屋はいません」
という精神にのっとって、
ふつうに質問したり答えたり
しちゃえばいいんじゃないかと思います。 |
あやや |
ひゃあ! |
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森下 |
よろしくお願いします−。 |
あやや |
ぐふふ、ふふふ、ああああ、幸せ。
わたし、こんなふうに、
ドラマの製作者の方に
直で取材するのって夢だったんです!
またしても、ここに夢が! |
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── |
いいから、わかったから、進めて。 |
あやや |
ハイ、じゃあ、行きます!
だふふ。もふふふ。まふふふ。
ええと、あの、『JIN−仁−』が
綾瀬はるかさんと中谷美紀さんの
ダブルヒロインの形になってますが、
どちらがメインの役柄として
描かれているんでしょうか? |
森下 |
ああー、これはですねぇ‥‥。 |
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あやや |
くぁーーーーーー、
あの、ちょっとぉ、
待ってぇ、すいませぇへぇん‥‥。 |
── |
なんだ、なんだ、なんだ。 |
荒井 |
大丈夫ですか、
目つきも顔色も尋常じゃないですよ。 |
あやや |
ヤっバーい、これ!
なに、ちょっとちょっと。
すごいいま、ヤバい。 |
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森下 |
めまい? |
荒井 |
っていうか、軽い気絶? |
── |
うっとりしすぎちゃった? |
あやや |
そそそ、そうなんです! |
── |
つまり、
「ドラマの脚本家にインタビューする自分」
というシチュエーションに酔ったわけだ。 |
あやや |
ままま、まさに、そのとおり!
ヤバーい、ヤバーい、どうしよーー。 |
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荒井 |
ははははは。 |
あやや |
もほほほほほ。だって、
「ヒロインは中谷さんなんですか?
綾瀬さんなんですか?」って、
脚本家の人にわたしが訊いてて、
あっ、ほんものだぁ、と思ったら、
クラクラクラっとしちゃって‥‥。 |
── |
これ、このまま記事にして、
信じてもらえるかしら。 |
荒井 |
まぁ、過剰なデフォルメと
とらえられるでしょうねぇ。 |
あやや |
だって、わたし、いま、
かなっちゃった、夢が!
やっべー。どうしたらいいですか。
これは、ヤバい、クライマックスだ。 |
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── |
けど、考えてみると、
「夢がかなった瞬間の人」を
目の当たりにするというのは
けっこう、めずらしい経験ですね。 |
荒井 |
ああ、たしかに、そうですね。
その意味ではいいものを見せてもらった。 |
あやや |
ふしゅー、ふしゅー。 |
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森下 |
すいません、私、どうすればいいですか。 |
── |
続けて、続けて。 |
荒井 |
夢を続けて。 |
あやや |
ハイ(過剰にキリっとして)!
このドラマのヒロイン像について、
訊かせてください。 |
森下 |
最初のほうは、
咲(綾瀬はるかさん)が
ヒロインに見えるんじゃないかな。
出も早いし、咲のドラマが先に展開するから。 |
あやや |
ほぅほぅほぅほぅ。 |
森下 |
でも、村上先生の原作を読んだときに、
私はどっちかというと咲以上に、
野風(中谷美紀さん)のほうに
魅力を感じたくらいで、
思い入れという意味でいうと、
ほんと、両方なんです。
なので、野風が出て来ると
野風のドラマがバーっと展開します。
プロデューサーも、いまだに
「俺だったらどっち選ぶかなー。
どっちもいい女だー」
って言ってるくらいだし。
ですから、そこは本当に
強弱をまったくつけずに書いてます。
私の中にすでに「咲応援派」と
「野風応援派」がいます。 |
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あやや |
ああああ、いいですねぇー。
ええと‥‥‥‥ふぅ、あの、
ちょっとすいません、
夢がかなったので、
ちょっと休憩させてください。 |
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── |
だ、だらしない。 |
あやや |
だってー。夢がー。 |
荒井 |
じゃ、インタビュアー役、引き継ぎます。
ずばり、このドラマは
ひと言でいうと、どんな話なんですか? |
森下 |
うわー、いちばん恐い質問だ。
あの、これって、当たらないドラマの
典型的なパターンなんですけど、
「ひと言で言い表しづらいドラマ」
なんですよ、『JIN−仁−』って。
じつはそこがいちばん不安。 |
荒井 |
ああ、たしかに、タイトルだけだと
ジャンルさえわからないし。 |
森下 |
ま、簡単にいえば、現代の脳外科医が、
ある手術をきっかけに
江戸時代にタイムスリップして、
人々を医療によって救っていく、
という話なんです。
でも、江戸時代には当然、
最新の医療機器なんてありませんから、
当時の道具や技術をつかって、
やっとのことで手術をしたり、
江戸時代のありあわせのもので
ペニシリンを開発したりして。
そこでは当然、
支えてくれる人たちも出て来るし、
その人たちとの出会いや別れも描きたいし、
それを煮詰めていくと
歴史を変えちゃうんじゃないかっていう、
全体を包括するテーマにもぶち当たったりで。
で、けっきょく、
何をやりたいのって言われたら、
ぜんぶやりたいとしか言えない‥‥。 |
あやや |
くー、おもしろそー。 |
荒井 |
原作のマンガがあるんですよね。
基本的には、それに沿った形で? |
森下 |
はい。でも、原作だと、
一度も現代に戻ってなくて、
タイムスリップのキーとなる事柄も
まだ謎に包まれてるんです。
ですから、そういう、
物語の根幹に関わるようなことは、
マンガの読者の方と同様、
わたしたちも放り出されたままで(笑)。 |
荒井 |
それは、たいへんですね。 |
あやや |
でも、資料を拝見するかぎり、
ドラマの大きな流れとしては、
けっこうまっとう、というか。 |
森下 |
そうですね。
師弟愛あり、友情あり、ラブありみたいな、
王道っちゃぁ、王道なドラマです。
とにかく観てもらえれば、
「あ。こんな感じね」って
意外にするっとわかっていただけるかと。 |
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あやや |
つまり、設定はすごく新しいんだけど、
要素としてはけっこう王道。
かなり、たのしみですよねー。
じつはこのドラマ、わたし最初は
森下佳子さんが関わってらっしゃるって
ぜんぜん知らなかったんですけど、
ふつうに、おもしろそーと思って、
完璧、観る気でいたんですよ。 |
森下 |
ありがとうございますー。 |
あやや |
あと、ドラマファンとしてうれしいのは、
脇の人たちの顔ぶれがすごいじゃないですか。
内野聖陽さんがいて、小日向文世さんがいて、
そんでもって、藤田まことさんがいて、
武田鉄矢さんもいてって。 |
森下 |
もう、そのあたりは、
プロデューサー、石丸彰彦の‥‥。 |
荒井 |
気心の知れた人たちで。 |
森下 |
そうですね。
スタッフの人たちもそんな感じで
結束は固いですよ。
なんていうか、石丸プロデューサーの
業というか、癖というか、
一緒にやった役者さんを
愛してしまうんでしょうね(笑)。
バリバリの体育会系なので、
習性としてついつい部を作ってしまう
というのもあるのかも。
憶測ですが‥‥。 |
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あやや |
まぁ、ともかく、
経験豊富な実力派ぞろい、
という感じがします。 |
荒井 |
『白夜行』とかも、そうなんですか? |
森下 |
そうですね、プロデューサーが石丸さんで、
脚本が私で、演出が平川雄一朗さんで。 |
荒井 |
綾瀬はるかさんと武田鉄矢さんも
出てましたし。 |
森下 |
そうですね。
小出恵介くんも両方に出てます。
桐谷健太くんは、私は関わってないんですが、
石丸&平川コンビの
『ROOKIES』に出てましたし。 |
あやや |
そのへんはかなり安心感がありますね。
で、主役は、大沢たかおさん。 |
荒井 |
大沢さんがドラマの主役やるのって
けっこうめずらしいような。 |
あやや |
TBSだと『昔の男』以来? |
森下 |
そうなるんですかねぇ。 |
荒井 |
それ以来、連ドラはないんですか。 |
森下 |
たしか、ずっと
映画をやってらっしゃったような。 |
あやや |
あ、ここに「8年ぶりの連続ドラマ出演」
って書いてありますよ。 |
荒井 |
8年! |
森下 |
満を持して。 |
あやや |
ドラマの話に戻りますけど、
大沢さんと綾瀬さんと中谷さんの
三角関係なんかも軸になっていくんですか? |
森下 |
うーん、もちろん展開はするんですけど、
ポイント、ポイントに
おいていくような感じで、
毎回毎回、それがメインになってくる
というわけではないですね。 |
あやや |
ああ、そうですね。
そういうドラマじゃないですもんね。 |
森下 |
うん。江戸時代に、
どうやって人々を治療していくか、
いかにしてみんなを救っていくか
ということが基本的にはメインなんで。
ラブ系はずーっとラインをひいておいて、
そのうちその延長線上で
爆発させようと思ってるんですけど。 |
あやや |
爆発! うひょお!
まぁ、でも、だいたいのところは
けっこう、ヒューマン系な展開に? |
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森下 |
そうですね、すごく浪花節的な、
ヒューマンな回もあれば、
もっと大がかりな‥‥
たとえばコレラとかも出てくるから。 |
あやや |
おー。 |
森下 |
疫病の時代なので。
そうなると、ヒューマンなタッチで
患者ひとりと向き合うのではなく、
その町全体をどう救うか、
という話になりますから。 |
あやや |
ああー、なるほど。
なんか、ほんと、おもしろそうです、
うかがっていると。 |
森下 |
ぜひ、村上もとか先生の
原作読んでいただければ。
おもしろいですよー。
ほっんとにほんとによくできてますから。 |
荒井 |
原作はわりと忠実に追ってるんですか。 |
森下 |
追ってますけど、
これまでの全エピソードを
フォローしているというわけではないです。
っていうか、しきれません! |
あやや |
こういう原作ものって、
どこのエピソードを抽出するかって、
誰がどう決めるんですか? |
森下 |
うーん、まちまちですね。
基本はプロデューサーと
ディレクター、演出の方の
話し合いじゃないでしょうか。
私の経験からいうと、
まとめ方、追い方は、
人によってほんとうにいろいろですね。
「この部分だけ抜き出しましょう」
っていうプロデューサーもいらっしゃれば
「3つのネタを1話に入れて」
っていうふうな形で
仕上げる方もいらっしゃいますし。 |
あやや |
森下さん個人としては? |
森下 |
私は、いかようにも。
どうにかして詰め込んで‥‥
みたいな方針であれば、
どうにかして入れようとはします。 |
あやや |
へぇー。 |
荒井 |
これは、ジャンルとしては
医療ものになるんですか? |
森下 |
医療ものでしょうね。
医療ものであるっていう認識が
たぶん、いちばん当てはまるんじゃないかな。 |
荒井 |
あの、最近の医療もので、
僕はちょっと苦手なところがあるんです。 |
森下 |
どこですか。 |
荒井 |
内臓。
っていうかリアルっぽい手術シーン。
あれはわざとなのかなと思うんですけど、
内臓とか、いわゆるグロい場面を
一回は出すんですよね。
あれが、どうも苦手なんですよー。 |
── |
それは、みんな苦手なんじゃ‥‥。 |
あやや |
わたし、大好き。 |
森下 |
うわー(笑)。 |
あやや |
内臓、OK。大好き。 |
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荒井 |
ああいうグロいのが
好きな人がいるのかなと思ってたけど、
そうか‥‥ここにいたか‥‥。 |
あやや |
大好き。あやや、内臓、OK。 |
── |
自分で「あやや」言うな。 |
あやや |
ちょっと矢沢風に言ってるんです。 |
荒井 |
どこが好きなんですか? |
あやや |
どこが?
いや、もう、大好きとしか
言いようがないですよ。
あのね、あのね、言っていいですか?
わたしの好きな内臓のパターンは‥‥。 |
── |
「内臓のパターン」(笑)。 |
あやや |
なんといっても「心臓」。
といっても、ありがちな
心臓マッサージの場面じゃないですよ。
ずばり、直でいく心臓。
これがたまらない! |
── |
ひくわー。 |
荒井 |
ひきますねー。 |
あやや |
どういうことかというと、
ふつうの心臓マッサージで生き返らない場合、
心臓を直接、こういくわけですよ。
(手のひらで心臓らしきものを
モミモミしながら) |
── |
うわー。 |
荒井 |
やめてくれー。 |
あやや |
ほらほら(手で心臓をモミモミしながら)。
ほらほら(手で心臓をモミモミしながら)。 |
森下 |
そういうとこ、Sだね、あやや。 |
── |
そんなあやちゃんですが、
穴がブツブツ空いているとか、
同じものが延々と並んでるものに
異常に弱いという面もあります。 |
荒井 |
蜂の巣にびっしりと幼虫が。 |
── |
大量の鯉が口をひらいてエサに群がる。 |
あやや |
ィィィイイヤァァァァ!!!! |
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森下 |
‥‥というような場面は、
『JIN−仁−』には一切でてきません。
内臓関係の直接的な表現も、
ないわけじゃないけど、
そんなにグロいのはありません。 |
あやや |
じゃ、すいません、最後の質問です。
森下さん的に、脚本の見せ場というか、
ここは観てほしい、というところがあれば。 |
森下 |
そうですねー。あの、さっき
「三角関係」っていう話が出ましたけど、
厳密にいうと、このドラマの関係って、
「四角関係」なんですね。
というのは、主人公の仁には、
現代の世界で意識不明の恋人がいるから。 |
あやや |
たいへんじゃないですか! |
森下 |
たいへんなんですよー。
その恋人と、恋人に生き写しの野風を
中谷さんがひとり二役でやられるんです。 |
荒井 |
で、そこに綾瀬さんがからむ。 |
あやや |
たいへん! |
荒井 |
中谷さんと綾瀬さんって
初共演じゃないですか? |
あやや |
ああ、記憶にないですね。
たぶんはじめてだと思います。
で、どうなるんです? |
森下 |
ええと、つまり、仁を中心に、本来の恋人と
恋人になっておかしくない女性がふたりいて、
しかも仁は恋愛の機微には鈍感、
という設定にしてまして、
だから、基本、恋愛的な動きは
女性からのベクトルになるんですね。
そこの、女どうしの駆け引きみたいなものが、
原作にはあまりないところなんですが、
書いてて、すごくたのしい。 |
あやや |
ああーー、いいですねー。
あの! そういえば!
森下さんとプロデューサーの石丸さんって、
『世界の中心で、愛をさけぶ』からの
コンビですよね? |
森下 |
そうです。 |
あやや |
じつは今日、偶然、
『セカチュウ』のドラマの主題歌、
朝、歌ってたんですよ。 |
── |
‥‥‥‥誰が? |
あやや |
わたしが。 |
荒井 |
‥‥‥‥で? |
あやや |
これって、すごい運命的だなと思って! |
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── |
つぎのドラマ行きましょう。 |
荒井 |
行きましょう。 |
森下 |
どうぞ、『JIN−仁−』を
よろしくお願いしますー。
(続きます) |