天才バカボン

『天才バカボン』(竹書房文庫)第14巻より

1 赤塚不二夫さんのこと、教えてください。

祖父江 コニャニャチワ。
ほぼ日 どうぞ、おすわりください。
祖父江 「まて」と言ってから、
「おすわり」と言ってください。
ほぼ日 (犬‥‥?)
いやいやいや、
ご無沙汰してい‥‥‥‥
祖父江 ‥‥‥‥(にこにこ)。
ほぼ日 おすわり。
祖父江 アゥン!
(着席する)
ほぼ日 ええっと、今日は
赤塚不二夫さんのお話を
うかがいにまいりました。
祖父江 なので、このようにして、
ポスターを張っておいたのです。
というのはウソで、偶然です。
ほぼ日 松屋銀座で開かれる
「追悼 赤塚不二夫展」のポスターですね。
祖父江さんは、竹書房から出ている
文庫版の『天才バカボン』の
ブックデザインをされて、
今回の展覧会でも
会場デザインをされるんですよね。
祖父江 そーそー。
ほぼ日 あの‥‥祖父江さん、
ちょっと似てらっしゃいますよね。
祖父江 赤塚さんにでしょ?
ほぼ日 はい。
祖父江 よく言われるんですよ。
動くと楳図かずおに似てて、
止まると赤塚不二夫に似てるって。
ほぼ日 祖父江さんは、赤塚さんの
マンガにも出てきそうですね。
このポスター、すごくかわいいです。
祖父江 パパ「バカボン」
バカボン「なーに、パパ」
ほぼ日 って、言ってるんですね。
祖父江 ほんとうは、これ、
それぞれ見開きのコマなんですよ。
ほぼ日 マンガに、こういうコマが
あるんですか。
祖父江

わん。
「原寸大バカボン」と言われていて
ファンの人には、有名なシーンなんですよ。
文庫だと原寸大じゃないのが
残念ですけども、ほら、ね?
見た目に、かなりアートでしょ?

ほぼ日 アートですね。
祖父江

赤塚不二夫先生に会ったとき、
「あの原寸大バカボン、
 すごくカッコよかったです!
 マンガを超えて、芸術って感じですね!」
と言ったんだけど、
「あれ‥‥ね、時間がなかったからなの」

って言われたんです。
ほぼ日 ええ?
祖父江 編集の人がもうすぐ原稿を取りに来る、
どうしよう、
ストーリーも決まってない!
という状況で、
「今回は時間がないから、
 見開きひとコマで進めれば
 すぐにページが埋まるぞ」 ということで、
やったんですって。
ほぼ日 じゃあ、別にアートとか
そういうことじゃなくて‥‥
祖父江 やっぱりギャグなんです。
「間に合わなかったからね、
 アートとかそういうことじゃないの」
ですって!
すごいでしょ?
そっちのほうが、さらにカッコイイし、
アートだぞってぼくは思いましたよ。
冒頭3コマで6ページ
使っちゃったんだけども、
最後にコマ数が足りなくなるという、
そういうオチも実はあるんです。
ほぼ日 おもしろいですね。
祖父江 赤塚さんって、そういう人なんですね。
いろんなエピソードがありますよね‥‥
(つづきます)
キャラクター紹介

バカボンのパパ

おなじみ、『天才バカボン』の
主人公的存在。
バカ田大学卒業、
バカ道をつきすすむ、たぶん41歳。
ふたりの男の子のパパ。
ハラマキ、ヒゲ、ハチマキが
トレードマーク。
名ゼリフは「これでいいのだ!」
赤塚不二夫さんのお父さんがモデルとも言われる。

2009-08-20-THU