ヒゲがのびないって聞いたけど。
ヒゲも、ツメものびない。
のばしているヒマがない。
ええ。
生きるために必要なこと以外は
からだが止めてしまううんですね、どうやら。
冬眠だ。
ああ。
そうか、断食っていうのは人工冬眠なんだ。
ほんとにそうです、
「食べないならこことここの電源は落としますよ」
っていう仕組みがあるような気がしましたね。
おもしろいなぁ。
‥‥断食は、今回で2回目?
はい、2度目。
やっぱり前回よりは、
落ち着いてはじめられたわけですか。
いえ、そんなことはなかったです。
断食に入る前の晩、
「ほぼ日」に寄らせてもらったんですけど、
あのときなんかはいちばん憂鬱でしたから。
そうだったんだ(笑)。
テキスト中継の最初
に写真がありますよね。
「笑いが弱弱しく見えるのは気のせい?」
っていうコメントがあったけど、
ぜんぜん気のせいなんかじゃなくて。
憂鬱。
ええ。‥‥怖い。
わかるんだ、二度目だから。
もう、あのときはね、
ジェットコースターの最初の、あるでしょ?
カチャ、カチャ、カチャ‥‥って上がっていく、
まさにあの感覚ですよ。
(笑)
おれ、またなんで、こんなことやってんだろ?
なんか急な仕事でいけなくなったりしないか?
風邪でもひいて中止にならないか?
そんなね、断る理由ばっかり考えてましたよ。
あの写真はそういうことを考えてる最中なんです。
なるほど(笑)。
忘れてるんですよね、1回目のときの辛さを。
でも、だんだん思い出してくる。
断食の1日目が、いちっばん辛いこととか。
自分の経験でいうとね、
スカイダイビングの先生に「2回目は怖いでしょ」
って言われたことがあるんですよ。
1回目っていうのは恐怖を上回る緊張感があって
それでいっぱいなんだけど、
2回目にはその張りつめたものが減って‥‥。
恐怖がリアルに浮かび上がってくる。
断食もきっと同じなんだよね。
怖いけど、いかなくちゃならない。
「ほぼ日」のみんなは「いってらっしゃい」って
明るく送り出してくれてるし。
きついなぁ(笑)。
でも逆に、テキスト中継っていうかたちにしたから
助かったっていうことあったでしょう。
ありましたね。
メモリがつくっていうか。
「断食ってどうなの?」って思ってる
みんなのかわりにやっている感もありますよね。
ええ、やっぱり自分の体験を
ちゃんと言葉にしなきゃいけないから‥‥。
もし「ほぼ日」の中継がなかったら、
散歩の途中で缶コーヒーの1本くらい
買ってしまったかもしれない。
缶コーヒー、好きだもんね(笑)。
で、「これは実験だから」
とかなんとか言いながら、飲んじゃう。
あー(笑)。
そういうときの言い訳は思いつくんですよ。
「べつに誘惑に負けたわけじゃない、
これは調査捕鯨みたいなもんだから
ちょっと試しに飲んでみるだけだ」とか。
調査捕鯨(笑)。
でも、やらなかった。
はい、飲まなかったですね。
(続きます!)
2007-06-27-WED