イタリアの古い格言に
「復讐とは、冷めてから出すべき料理だ」
というのがありますが、
ロナウジーニョは、
仕返しをするまでに、ちゃんと辛抱しました。
そして最後には、うまく行きましたよ。
さて、何の仕返しでしょうか?
数年前のUEFAチャンピオンズ・リーグ、
バルセロナ対チェルシー戦の最中のことです、
当時チェルシーの監督だったモウリーニョは、
ロナウジーニョがそばを通るたびに
木に登る猿の真似をして、
彼をからかいました。
ロナウジーニョは、これに深く傷つきました。
この人種差別的な行為にロナウジーニョは怒り、
「ぼくは猿じゃない、
きみはやっている事の恥を知れ!!」
と、叫びました。
これを受けてUEFAが調査をし、
結局モウリーニョは叱責を受けましたが、
処分は軽いものでした。
そしてロナウジーニョは、
この9月28日のミラノ・ダービー、
つまりACミラン対インテル戦を
冷静に待ち受けていました。
今や彼はACミランの選手、
モウリーニョはインテルの監督ですから、
真っ向から雪辱を晴らすチャンスです。
この試合までのロナウジーニョは、
期待に反して、あまり活躍していませんでした。
でも、このダービーの対インテル戦で、
彼は真価を発揮しました。
とりわけ「宿敵」同士のACミラン対インテル戦で、
インテルを率いるモウリーニョは
手痛いしっぺ返しを食らったのです。
ロナウジーニョは見事なヘッドで
勝利のゴールを決め、すぐに、
素晴らしいパスをくれたカカと、
いつも彼を信じていてくれた観衆に感謝しました。
肝心なモウリーニョに対しては、無視。
そこに彼などいないかのように、
ちらっと見やっただけです。
しかし、
インテル監督のモウリーニョに対する
大いなるしっぺ返しは、
試合後に完遂されました。
ピッチから控え室に向かうシェフチェンコによって‥‥。
シェフチェンコは
モウリーニョを見ようともせず、
ベルルスコーニ会長を待ち受けるACミランの
仲間の元へ走り去ったのです。
かつてはチェルシーの監督と選手だった彼らですが、
モウリーニョから「ほぼ補欠」扱いされていた
シェフチェンコも、こうして溜飲を下げた格好です。
さて、試合の数時間前のことですが、
イタリア首相でもあるベルルスコーニ、ACミラン会長は、
「明日は私の誕生日です。
ダービーでの勝利がプレゼントとなることを
願っていますよ」と、
テレビで語っていました。
彼の選手たちは、その願いを叶えましたね。
|
|
ところでインテルはと言えば、
このシーズンで最初のダービーに敗れたのですが、
軽々とスクデットを勝ち取った過去2年間と、
まるで違うチームのように思えます。
ちなみに、前監督はアンチェロッティでしたね。
翌日の記者会見で、
ある新聞記者の批判的な質問に対し、モウリーニョは
「では、貴方が
フォーメーションを作ってはいかがですか?」と
切り返します。
「はい、私が作りますよ、
年俸900万ユーロくれるならね」と、
その記者は即答しました。
これにはモウリーニョも苦笑いし、
「いや、私は900万ユーロどころか、
スポンサーたちからの収入も含めると
1100万ユーロ、稼ぐけどね」と、
反撃しましたが。
いずれにせよ、この数字は、
契約上の金額として
だれも見た事のない新記録であり、
税務署の脅しを避けるために、
モラッティ会長は翌日すぐに明言しました。
「彼は1100万ユーロも受け取ってはおりません。
あれはジョークですよ」と。
さて、モウリーニョ監督が得るのは
900万か1100万か、ぼくは知りませんが、
最初の試合をいくつか見た時点では、
インテルはお金の使い方を間違えたようです。 |