あのひとの本棚。
「ほぼ日」ではときどき糸井重里が「あの本が面白かった!」とか
「これ、読んどくといいよ」と、本のオススメをしていますが、
これを「ほぼ日」まわりの、本好きな人にも聞いてみようと思いました。
テーマはおまかせ。
ひとりのかたに、1日1冊、合計5冊の本を紹介していただきます。
ちょっと活字がほしいなあというとき、どうぞのぞいてみてください。
オススメしたがりの個性ゆたかな司書がいる
ミニ図書館みたいになったらいいなあと思います。
     
第24回 YMCKさんの本棚。
   
  テーマ 「煮詰まったときの5冊」  
ゲストの近況はこちら
 
音楽業界という、一般の人から見ると
特殊だと思われそうな業界で仕事をしてるんですが
ぶち当たる壁や悩みや逃げ出したくなるような気持ちは
普通の会社員の方々と
そんなに変わらないものなんじゃないかと
思っていて、そんなときに、
僕たちがついつい手に取ってしまう本を
5冊ご紹介します。
   
 
 

『ダンス・ダンス・ダンス』
村上春樹

 

『秘密』
東野圭吾

     

 

 

 

 
           
 
   
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  『秘密』東野圭吾文春文庫/700円(税込)
 

これは、父親と娘と母親の
ある3人家族の話なんですけど、
娘と母親が雪山に出かけるんです。
そこで、乗っていたバスが事故にあい、
母親の魂が娘にのりうつってしまって、
娘の体で母親の魂を持った女性と、
その夫というか父親が
ふたりで生活していくという話なんです。
うーん‥‥。先に紹介した
村上春樹さんの『ダンス・ダンス・ダンス』と比較すると
説明しやすいストーリーだと思ったんですけど
これはこれで、すごい複雑な話ですね。



僕は、まだ結婚してないんですけど、
読んでる時の立場としては
外見的には娘さんで
中身は奥さんという人と生活する
お父さんの気持ちで読んで
途中「どうすんだぁっ!」って本気で悩みました。
東野さんの作品は、
ものすごくかっちりとしたストーリーがあって
とにかく続きが気になってしょうがないんで、
仕事の合間の安らぎとか息抜きというよりも
ひたすら没頭して読んでます。
感情をどんどん移入していって
自分の気持ちというか気分を高まらせていって、
それでストレス発散というか、
もっというと感情を爆発させてます。
他の作品もそうなんですけど、
東野さんの作品は、
最後の数ページで、読者を裏切るんです。
いい意味で。
だから、この作品もエンディングについては
触れられないんですけど
絶対にストレートに終わらせてくれないのが
東野さんの魅力だと思っていて
この『秘密』という作品も
まさにその最後のたたみかけるような展開に
のまれていく感じになるんですよね。
最後の数ページで
「そうだったんだ!」という驚きがあって
それがわかった瞬間に、
いままで読んでたことが
また、ものすごく切なくなるというか、
それでまたもう一回はじめから読んでしまう。
いつのまにかハードリピートしてる
そんな感じの本です。

   
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  『ダンス・ダンス・ダンス』(上下巻)村上春樹講談社/680円(税込)

 

この本を僕がはじめて読んだのは、
10年ぐらい前、大学生のときになるんですけど、
そのとき文庫本で買った本が
もうボロボロになるぐらい何回も読んでます。
村上春樹さんの本で最初に読んだのは
『ノルウェイの森』なんですが
その時に、登場人物たちの会話が、
とにかくひたすらステキだなと思いまして。
だから、ストーリーというよりは、
村上さんの作品は、
とにかく登場人物たちの会話をたのしんでます。

小説って背表紙のところに
軽くストーリーが書いてありますよね?




この話は、それを読んでも、
どんな話かよくわかんないんですよ。
それで、僕は本を選ぶ時、
キャラクターの会話を読むんです。
その会話が面白いか面白くないかで
自分が好きそうな小説かどうかを判断するんですけど、
村上春樹さんの作品は、それがすごくて。
読んでいるときに、
人が会話をしてる感じが頭の中に出てくるし、
読んだあと、自分のしゃべり方が
村上春樹(作品調)になるぐらい影響を受けまして
僕、昔は自分のことを
「俺」って言ってたんですけど
村上春樹さんの作品を読みはじめてからは、
「僕」になりました(笑)。
まあ、そういう意味で影響を受けてます。

この小説の中に
主人公たちがハワイに行くシーンがあるんですけど、
けっこう尺を長くとってるわりには
ストーリーがぜんぜん進まないんですよ。
そのハワイでの何でもない生活の期間というのが
読んでてものすごく安らぐんです。
仕事で追われてたりとか、疲れてる時とかに、
擬似的にハワイで
のんびりしているような気分になれるんですよね。
それも多分、村上さんの会話のテンポのよさとか
状況表現の上手さだと思うんですけど。
だから、僕はそこばっか読んでますね(笑)。
ただラジカセをひとつ買って、
砂浜でそのラジカセを聴きながら
1日過ごすだけ、とか書いてありますからね。
そんな何でもない描写を
こんなに面白く書けちゃう方は、
そうはいらっしゃらないと思います。
この話は 『風の歌を聴け』
『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』
の「羊三部作」の続編にあたるんで
その流れを全部読まないと
村上作品はわかんないよという人も
いるかもしれないですけど
僕は、とにかくこのハワイのシーンと
登場人物の会話が好きなんですよね。

 
本木克英さんの近況
男女3人からなる
8bitポップユニットYMCKさんの
人気のきっかけとなったのは
2004年の1stアルバム
『ファミリーミュージック』

発売当時、ヴィレッジヴァンガードで
ヘビーローテーションされていましたので
YMCKさんのお名前は知らなくても
「ああ、この曲!」
という人もいらっしゃるかもしれません。
YMCKさんのくり出す
レトロゲームさながらの8bitサウンドは、
ファミコン世代はもちろんのこと、
10代~20代を中心に幅広い支持を受けています。
2009年もスウェーデン、アメリカ、
フランスにてツアー中!と、
なかなか国際派ですね。

2009年1月21日に発売されたばかりの
最新アルバム『ファミリークッキング』のことを
こんな風に紹介してくださいましたよ。

とにかくたのしいものを作りたかったんです。
1stの『ファミリーミュージック』、
2ndの『ファミリーレーシング』
YMCKの作品は、
たのしいイメージに思われがちなんですけど
そのあとの『ファミリージェネシス』
かなりシリアスだったのと、
つづく『YMCK SONGBOOK』
70年代フォークの中でも
けっこうヘビーな曲のカヴァーアルバムで
僕らにとっては、
そのつくってる期間がけっこう長かったんですよ。
それで、
「わぁー、最近ちょっと真面目すぎだなぁ」というのと
「ここらで、バーンとはじけたやつを作りたいっ!」
という思いが爆発して、
『ファミリークッキング』ができました。



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そのタイトルの通り、
「クッキングをしながら聞く」
という感じの曲ばっかりなんですけど
どのくらいクッキング向きのアルバムかというのは
1曲目を聞いていただくのが早いかと。

(クリックすると音が出ます)




(アルバム:『ファミリークッキング』より「おもちゃの兵隊のマーチ」)

まさに、「クッキング」な感じだったでしょう?
これを聴きながら台所に立つと
たのしく料理ができること受け合いです。

余談ですが、YMCKのメンバーは
3人ともよく料理をするんですけど
僕の得意料理は「グリーンカレー」


わたしは「豚の角煮」。
僕は「きんぴらでーす」。


YMCKさん、ありがとうございました!

同日に発売された
初の映像クリップDVD『ファミリーシアター』から



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試聴コーナーを準備しました。
1日1曲ずつお聞きいただけます。

1)メンバーからのメッセージ + 新曲「カレーだよ!」 2)「DOWN TOWN」


なお、CD+DVDの初回限定版には
「YMCKの仰天レシピ本」のオマケがついているとか。



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5000枚の限定生産ですから、
ご興味のあるかたは、お早めにどうぞ!

 

2009-01-27-TUE

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(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN