わたし、怖い本、大好きなんですよ。
この本は、2008年の夏に
「ちょっとひんやり」する本を探し求めて
出会った本なんですけど、
『ぼっけえ、きょうてえ』みたいな
日本の昔の怪談話の雰囲気を持った本というのは
怖い本好きのわたしにとっても
いままであまり読んだことない感じで
ちょっと新鮮な本だったんです。
いつもはノンフィクションとか
サスペンスものとか読んでいて、
もっと現実味のある、寝れなくなるような
怖さを感じるものもあるんですけど、
これはそういうのと比較すると、
怖いのは怖いんですけど
まあ「ひんやり」という感じです。
構成としては、4つの短編からなっていて
タイトルにもなってる1つめの
『ぼっけえ、きょうてえ』は、
昔の遊女が、お客さんに、眠る前にするお話で、
「これ聞くと眠れなくなっちゃうけど、いいの?」
と言いながら岡山弁で話しはじめるんですけど、
わたし、神奈川出身なので、
なんというかリアリティを感じて怖いというより
物語として、ちゃんとちがう世界を覗かせてもらって
「はぁー、怖かった」という感じなんですよね。
本を読む時はよく
お風呂に入りながら読むんですけど、
浴槽につかって、
リラックスしながらたのしんで読めたので、
あ、これならちがうところでも読めるかなと思って
いつもカバンに入れて、
ライブの前に取り出して、控室とかで読んでます。
神経が高ぶって緊張してるときに怖い本を読むと
逆にほぐれる感じがするんですよね。
「うわぁー、コワーーいっ」みたいな。
緊張でのガチガチから、一気にポーンと
別のところに飛んじゃうので、
そういう意味で、すごくいいです。
内容的には、表題作以外の話の後半の方が
どんどん怖くなっていまして
人間の持つイヤな部分と
怪談部分とがあわさって、
新しい怖さを見つけたみたいな感じでした。
口絵も怖さだけじゃなくて、色気もありますし。

たのしめる人は限られるかもしれないですけど、
いまと時代背景とちがって、
昔の話っていうところが、
こうあんまり現実味がなくって
非日常に一瞬にしてトリップできるという意味で
すごくおススメです。
「ちょっとひんやり」したい時に、ぜひ。
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