あのひとの本棚。
「ほぼ日」ではときどき糸井重里が「あの本が面白かった!」とか
「これ、読んどくといいよ」と、本のオススメをしていますが、
これを「ほぼ日」まわりの、本好きな人にも聞いてみようと思いました。
テーマはおまかせ。
ひとりのかたに、1日1冊、合計5冊の本を紹介していただきます。
ちょっと活字がほしいなあというとき、どうぞのぞいてみてください。
オススメしたがりの個性ゆたかな司書がいる
ミニ図書館みたいになったらいいなあと思います。
     
第28回 ATSUSHIさんの本棚。
   
  テーマ 「いのちの力をもらった5冊」  
ゲストの近況はこちら
 
最初はストリートダンサーからはじめて、
やがてDragon Ashのメンバーになって‥‥。
4、5年くらい前からなんですけど、
すごく自分で問いただすようになったんです、
「踊ることで何を表現してるんだろう?」と。
それで、最近になって思い至ったのは、
「やっぱり自分は生命力を表現しているのかもしれない」
ということでした。大げさな言い方ですけど、
いのちの素晴らしさを教えてくれた5冊を紹介します。
   
 
 

『ジュルのしっぽ』
山崎花奈

                 
           
 
   
Amazonで購入
 

アニマルシェルターって知ってますか?
飼い主のいない犬や猫を引き取って里親を探したり、
一生その動物を飼育をする施設のことです。
僕もその名前くらいは聞いていたんですが、
くわしいことはこの本をもらったときに知りました。
ある洋服屋さんのお店の人と知り合いになって、
その方からいただいた本なんですよ。
もう、洋服屋さんの、その場でお店の人と
動物に関する熱い議論になって、その勢いで
千葉のシェルターまでいくことになったんです。
そして「パワー・オブ・ライフ」のプロジェクトに
つながっていったわけで。
※「パワー・オブ・ライフ」については
 「ATSUSHIさんの近況」をぜひお読みください。



本の内容は、
猫を飼ったことがなかった人が猫を拾ってしまい、
育てていく日記というか‥‥
そう、ブログを書籍化したものなんです。
なんだかこう、ほんとに、
ササーッと読めちゃったんですけど、
最後にはすごく暖かい気持ちが残っていて。
日常というか、親近感があるし。
ちょっとおふざけな写真もあったり。
まあ、正直、著者の親バカな一面も見られて(笑)。
素直に心が温かくなった感じでした。

拾われたときに、この猫は病気なんですよ。
猫のエイズを持ってたみたいで。
拾われてすぐのヨレヨレの写真が載ってるんです。
ところが、ね、それがどんどん、
どんどん愛情で活き活きしていくんです。
写真でそれがはっきりわかる。
目の輝きが全然変わってくる。
‥‥なんかあれですよね、
やっぱり同じ命だと思います。
人間も動物も変わらないんですよ。
こういう感じってあるじゃないですか、人間も。
元気ないときはやっぱりそういう目をしてるし、
元気なときはすごく輝いてる目をしてるし。

今回のプロジェクトのきっかけになった1冊です。
だからジュルにはいつかお会いして、
土下座したいと思っています。
いや、本当に。
ジュルには、めちゃめちゃ感謝してるんです。

※ブログ「ジュルのしっぽ−猫日記−」はこちらから。

 

様々なジャンルの要素を取り入れた音楽を構築する、
Dragon Ash(ドラゴン・アッシュ)
ATSUSHIさんは、そのDragon Ashに2003年から加入し、
ダンサーと振り付けを担当されています。

そんなATSUSHIさんが発起人となって
進められているプロジェクト「POWER of LIFE」が、
ゴールデンウィークにチャリティー写真展を開催します。

『パワー・オブ・ライフ写真展』

※写真展の詳細は画像をクリック!

開催期間/2009年4月23日(木)~5月10日(日)
開場時間/12:00~20:00
会場/トーキョー ヒップスターズ クラブ
   東京都渋谷区神宮前6-16-23 THCビル
入場料/500円以上での任意

『パワー・オブ・ライフ』とは、
いったいどんなプロジェクトなんでしょう?
開催される写真展の内容も含めて、
ATSUSHIさんにお話をうかがいました。

「パワー・オブ・ライフっていうのは、
 要するに、多くの人に生命力の素晴らしさを伝えて、
 "いのちの力"を考えるきっかけをつくっていこう、
 というプロジェクトです。
 その第一弾の企画として、
 写真展という方法を選びました。
 アスリートであったり、ミュージシャンであったり、
 美しい肉体の写真を展示する写真展です。
 ほとんどが、顔の写っていない部位の写真なんです。
 走ってる足の筋肉の素晴らしさとか。
 例えばこの写真(上の画像)、
 これは為末大選手の背中です。
 こういう作品に、犬や猫など動物の写真をからめて
 写真展を構成しようと思っています。
 それで、できれば写真集まで完成させて、
 売り上げをシェルターに提供していこうという、
 そんなプロジェクトです」


 
犬や猫などの動物の写真も展示する‥‥。
売り上げはシェルターに‥‥。シェルター‥‥?
そのあたりのことを、もうすこし詳しく教えてください。

「もともと、自分も犬を飼ってまして‥‥。
 ツアーのとき以外はいっしょにいるので、
 きょうもつれてきたんですが‥‥」

「茶色がチェアで、もう一匹がタップという名前です。
 こいつらとはペットショップで出会いました。
 当時はなんにも考えてなくて、
 ペットショップでほしくなって買ったんですね。
 それから1年後くらいだったかな、
 たまたまネットで保健所のページを見たんですよ。
 そしたら、保健所には捨て犬とかが運ばれてきて‥‥
 要は処分されるわけじゃないですか。
 でも引き取ることができるって聞いたんで、
 電話してみたんです。
 そしたら、すごいいろいろ質問されて。
 こっちも真剣に答えたんです、ぜんぶ嘘をつかずに。
 そしたら最後に「無理です」と。
 それがずーっと心に引っ掛かってたんです。
 なんだよ、こっちは引き取りたいのに、みたいな。
 そのあと、ある洋服屋さんで
 お店の人からアニマルシェルターの存在を聞きました。
 保健所から犬や猫を引き取って里親を探したり、
 一生その動物を飼育をする施設のことです。
 もう、とにかく実際に、
 シェルターに行ってみないことには始まらない!
 そう思ってアポを取って、ひとりで行って、
 話を聞かせてもらいました。
 それからです。
 ”じゃあ、自分は何をしよう”という気持ちになったのは。
 自分がダンサーだというのもあると思うんですけど、
 声を大きくして叫ぶ以外の方法で、
 アートで伝えることを思いつきました。
 知り合いのフォトグラファー、アスリート、
 ミュージシャンたちに声をかけて、
 写真を撮って、写真展をやって、写真集をつくって、
 売り上げをシェルターに提供しようと。
 それが、もうすぐできる状態までになりました。
 でも、早くやりたいんですが、ちょっと、
 いまはまだ具体的に決まっていなくて‥‥。

じつは上のお話は、
2008年の9月に取材をしたときのものです。
それから約半年が経って、ATSUSHIさんから
「写真展の日程が決まりました」
といううれしいお知らせがほぼ日に届きました。

最後に、
本番に先がけて開かれた「プレ写真展」での、
ATSUSHIさんからのメッセージをどうぞ!

「時間がかかっちゃって‥‥。
 でも、前にお話したことが
 イメージ通りにできることになりました。
 賛同者には一流のアスリートと
 ミュージシャン、フォトグラファーが集まってくれて、
 50点ほどの写真が展示されます。
 人間の素晴らしい肉体の中に、
 シェルターの犬の写真が数点混じって。
 ‥‥その感じをことばにするのは難しいんですが、
 あえていえば「本能」でしょうか。
 そういうもので作品がつながって見えると思います。
 同じなんです、アスリートも、犬も。
 ゴールデンウィーク、
 何かを感じとりに来てください」


「POWER of LIFE」公式サイトはこちら

ATSUSHIさんの公式サイトはこちらからどうぞ。

 

2009-04-20-MON

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(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN