そんなふうな時代がずっと続いていて、 ぼくは「だったら、ずっとこれでいい」という感じで ずーっと、弁松のお弁当を選んでたんです。 (弁松:創業1850年、江戸日本橋の味を守り続ける、 日本初の折詰料理専門店)
弁松のお弁当というのは、 長い時間をかけて鍛えられてきたものですから、 食べると、やっぱり満足感があるんですね。 ご飯がすすむような、味の濃い煮しめや、 甘い煮豆なんかが入ってて、 いまの人たちが大好き、 っていう味じゃないと思うんですけど、 あまりぜいたくなものが食べられなかった 江戸時代の人たちの「ごちそう」を集めたお弁当で、 ある種、東京みやげのようなおもしろさも感じられて、 ぼくはお弁当というと、それを食べてたんです。 あとは、まぁ、「32種類の春野菜サラダ」みたいなものを いっしょに買ったりしてね。