日本語 English
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第1回 結婚
Part One	Marriage
糸井
Itoi
じゃ、はじめましょう。
通訳はシノダさんがやりますね。
前にお会いしたとき、彼女の通訳、
とてもよかったでしょ?
Let's get started, then. Today Shinoda will interpret for us. She was great last time, huh?
ジョニー
Johnny
すばらしかったです。
あの記事、アメリカの人たちも読んで、
みんな喜んでくれたんですよ。
She was fantastic! So many people in America were really excited to read the translation.


糸井
Itoi
ああ、それはよかったです。
今日はとくにテーマがあって来たわけじゃなくて、
久しぶりにお会いして、
あれからどんなことをしてたんだろう、
っていう話を聞いてみたかったんです。
I'm glad to hear that. I don't have a specific topic I want to talk with you today. I just wanted to catch up with you and see how you've been doing over the past three years.
ジョニー
Johnny
あれから‥‥いろいろありました。
わけわかんないくらい(笑)。
Life has been crazy.
糸井
Itoi
(笑)
(laughs)
ジョニー
Johnny
やっぱり年をとって、経験を重ねていくと、
糸井さんはよくご存じだと思いますけど、
人生って、ほんとに山あり谷ありで!
It's funny. As I'm sure you know, as you get old, there are so many ups and downs through your life.
糸井
Itoi
うん 。
Yeah.
ジョニー
Johnny
前のオリンピックからふり返ると、
いろんなことに挑戦しては失敗し、
そこからなにかを学んでは、
また挑戦して失敗するというような感じで。
それは、競技でもそうだし、
競技以外の私生活についてもそうだし。
でも、そうやって経験を重ねていくのはいいことだし、
そもそも失敗できる余地があるというのは、
とっても恵まれてると思う。
And the best part of my journey since the last Olympics has been trying and failing, learning from it, and trying and failing again. It happens in my performances and in other areas in my life as well. It's nice to have had the freedom to make mistakes in the last few years.
糸井
Itoi
重ねてきた経験、ということでいうと、
ぼくらがニュースで知った大きなこととしては、
結婚なさいましたよね。
長くつきあっていたボーイフレンドの方と。

(2011年、ジョニーは
 自伝『Welcom to My World』の中で
 同性愛者であることを正式にカミングアウト。
 同年、ロシア系ユダヤ人の男性弁護士と同性婚。
 ジョニーはそのときの心境をツイッターで
 「No more livin' in sin!」とつづっている)
Speaking of life experiences, we saw on the news that you'd gotten married to your longtime boyfriend.

(In 2011, Johnny publicly announced his homosexuality in his autobiography Welcome to my World. The same year, he married his longtime boyfriend, a lawyer of Russian Jewish descent, and announced it on Twitter with the tweet, "No more livin' in sin!")
ジョニー
Johnny
ぼくたちの結婚はすごく唐突だったから、
みんなびっくりしたみたい。
とくに、夫は、ゲイであることを
それまでまったく公表してなくて、
彼の家族もぜんぜん知らなかったから。
でも、それだけの秘密を明かすというのは
彼がぼくを深く信頼してくれているということだし、
彼がぼくのことをかけがえのない存在として
愛してくれているということだから、
ぼくにとってはすばらしいことだった。
結婚生活が、そういう信頼関係のなかではじまるのは
とってもいいことだと思う。
ぼくらは新婚で、幸せで、すべては新鮮で特別だけど、
ベースには深い信頼関係がある。
名声を得たり、相手を利用したり、
セックスとか、そういうことを求めるんじゃなく、
信頼を築いていくという、そういう結婚なんです。
My marriage was very sudden, and it shocked a lot of people. My husband was in the closet, and his family didn't know that he was gay. It was a really nice experience for me because I understood that he loved me for me and nothing else. He wouldn't reveal this big secret without truly being confident in me and sure of me. Every relationship is best when it starts with trust. Of course, we're happy and enjoying our lives as newlyweds, and everything is special and new, but the basis of our relationship is trust. It's not about fame or sex or personal gain, it's a marriage built on trust.


糸井
Itoi
ふたりでずっと暮らす、というだけじゃなくて、
「結婚」という形にしたかったのは、
どういう意味があったんですか?
What's the personal meaning of legal marriage for you, rather than just living together forever?
ジョニー
Johnny
正直、自分はそんなこと、
ぜんぜん期待してなかったんです。
結婚するとか、子どもを持つとか、大家族とか、
そんなことを夢見てきたわけじゃなかった。
チャンピオンになりたいとは思ったし、
世界制覇したいとも思ったけど、
結婚する未来を考えたことなんてなかった。
まぁ、若いころって誰でもそうだと思うし、
それは日本の若い人たちも同じなんじゃないかな。
でもね、大好きな人といっしょにいないと、
ここから先を突破できない、っていう状況があるんです。
そういうときには、法的な拘束力があって、
簡単には離れられない、っていうほうが、
力が発揮できるし、安心感につながるし、
自分たちが安全だっていうことを感じられる。
そういうことが自分にとっては大事でした。
Honestly, it's something that I never expected for myself. I didn't grow up dreaming about being married and having children and having a big family. I thought of becoming a big champion, I thought of ruling the world. I never thought of marriage as a part of my future. But when you're young in America, and I'm sure it's similar in Japan, you almost need to have a situation where you are stuck together so you're forced to fix your problems. There's no easy way out of a marriage. So, no matter what comes up, we have to work on it together. It's special that I'm legally stuck to my husband, and I have no way out. And it's nice to be able to have that security. It's more of a security than being so proud of my lifestyle and everything that I am allowed to do.
糸井
Itoi
ああ、なるほど。
I see.
ジョニー
Johnny
これはぼくの考えだけど、
どんな人も自分の望むように生きることを
認められるべきだと思う。
ゲイだろうと、ストレートだろうと関係なく、
誰かを好きになって、結婚したいと思ったら、
平等に、そうできるべきだと思う。
ぼくの住むアメリカという国は、
自由と平等を重んじていることを誇りながら、
実際には、人種差別や、いろんな差別を長く続けてきた。
だから、ぼくらが結婚するということが
単に結婚するという事実以上に重要なのは、
それが、アメリカに最後に残った差別を
乗り越えることにつながるということなんです。
In my opinion, every person should be allowed to live however they want. Whether you're gay or straight, it doesn't matter. You should be able to be with the one you love. Americans pride themselves so much on being free and everyone being equal, but they've practiced racism and discrimination for so long that finally eradicating the last discrimination is almost more important to me than the actual fact that I can be married.
糸井
Itoi
じつはぼくも、あなたの結婚は
そういう意味を持っているんじゃないかと
想像していたので、すごく納得できました。
Yeah, that's what I thought when I heard about your marriage.
ジョニー
Johnny
ああ、そうでしたか。
I see.

To Be Continued......
2013-10-25-FRI
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