もくじ
第1回本屋にて表紙を愛でる 2016-06-02-Thu
第2回同じ話の違う表紙 2016-06-02-Thu
第3回表紙は世界の扉 2016-06-02-Thu

沖縄に生まれ、東京の地でデザイン学ぶ学生です。


私は好きなものは「本の表紙」です。

本の顔や服にたとえられる表紙。
「表紙買い」という言葉があるくらい、
本を選ぶときにはよく見られているもの。

表紙を愛でたくなる訳をお伝えすべく、
今回はじめてエッセイを綴らせて頂きました。
見たり、触ったり、集めたり…
エッセイを読んで、あなたも表紙を愛でたくなりますように。
どうぞお付き合いください!


第1回 本屋にて表紙を愛でる

本の表紙を愛でる場所として、
本屋はとてもいい場所です。

中学生の頃ぐらいからです。
放課後によく本屋に通うようになりました。
本屋では単行本・文庫本・漫画コーナーを
何度も巡回するのが、楽しいひとときです。

棚と棚の間は絶妙な距離感。
近すぎず、遠すぎない。
初めて行く本屋の棚の間は、
ちょっとした路地裏探検の気分。
表紙の並ぶ棚を見つけたらそこへ。
見下ろすように、あるいは見上げるようにして
ゆっくりと、本の表紙を眺め始めます。

本屋は静かな場所ですが、
本の表紙はとってもにぎやか。
視界のあちらこちらで気になる本がちらつきます。

2冊で1つの絵柄になるものや、
ある主張をしているもの横に、
全く逆の主張をしたものが隣同士になっていたり、
キラキラ光るタイトルのもの、
帯が映画化を大宣伝しているものだったり。

そこから気になる1冊、
いや1冊は言わずに何冊かを見つけ、
手に取ります。

次に楽しむのは、紙のさわり心地。
持ち運ぶとき、ページをめくるとき、
読んでいる間、本と手はずっと触れ合っているものです。
単行本だと表紙の紙に凝った本が多いので、
よく触り心地を楽しめます。

実は内容に合わせて、
触り心地の印象を変えている本もあるんですよ。

・家族愛のお話だと、素朴で温かな風合いの紙。
 気持ち良くてやさしい気持ちになります。
・ミステリーだと重厚で堅く、皮のような質感。
 何やら大きな事件が起こる予感……
・時代小説だと、和紙のような繊維質。
 タイムスリップの準備にひとさわり。
・ハウツー本は、表紙も中の紙と同じくらい柔らかい。
 おっめくりやすい! ページが進む進む!

あなた好きな本はどうでしょう?
お手持ちのものをやさしく撫でてみて下さい。
つるつる、ざらざら? 
皮っぽい、それとも布地? 
けっこう内容の雰囲気に合った触り心地がしませんか。

さわり心地までこだわって作られているなんて、
愛された本だなぁ。
手に持ってるだけでなんだか嬉しくなってきます。

見たり、触ったりして、
見つけた気になる本。
手に取って、レジへGO。
レジが混んでいる時は、
あらすじを読んで、また表紙を眺め。
どこまでも表紙を堪能。

面白い本だといいな。
ささやかな願いを混めてお会計。

日々新しい本の顔ぶれが並ぶ本屋さん。
いろんな表紙の
いろんなタイトル、絵、写真、触り心地。
静かに心踊る、ドキドキの空間です。

第2回 同じ話の違う表紙