もくじ
第0回温泉と親密になるには、自炊棟でしょ。 2016-05-30-Mon

ざきおと申します。
最近は水泳をやっています。背泳ぎ100mが専門です。

わたしの好きなもの
自炊ができる温泉宿

担当・ざきお

「温泉に行きたいなあ」と思うことは
しょっちゅうあります。
近場の銭湯も、さらに大きなスーパー銭湯も
とてもいいのですが、
やっぱり、「これぞ温泉」といえる場所で
ゆっくりお湯に浸かりたいと
どうしても思ってしまう時があります。
そんな時に、自炊ができる温泉宿なら
ほんとうにじっくりと、
その宿が持つ良さを味わいながら
落ち着いた時を過ごすことができます。
しかも、思ったよりずっとお安く、お気軽に。
そんな温泉宿の良さについて紹介します。

温泉と親密になるには、自炊棟でしょ。

「好きなもの」がテーマですが、
それはいくつもあります。

好きなバンドはすぐ思い浮かぶし……
(cero、GREAT3、ブランキーが好きです)

モノでいえば、持っているバイク。
HONDAのVTR250。
1日で名古屋から鹿児島まで1000km走ったりして
鹿児島まで行ったこともありました。
乗りながら眠気で倒れるかと思いました。
すごく燃費は良いし、
軽いしタフで、持ち主に
寄り添ってくれるバイクです。

ただ、その前にふと思いついた
「好きなもの」があって、
それが「自炊ができる湯治宿」でした。

こんなところでご飯を作って

こんなところに、夜でも朝でも入る感じです。

だいたいの場合、簡単にできるので鍋を作るんですが、
その鍋に入れる白菜に包丁を入れているときに、
「すごく楽しいな、いま」と思ったのと、
もし年老いて死ぬ間際になって、
これまでの人生のどこか1日を
再度体験できるチャンスがあったら、
この日が第一候補だなーと思ったことがありました。

ということで、自炊できる湯治場のいいところを
ご紹介していきましょう!

・安い
これは外せないです。
普通に1泊2食で泊まれば10000円超えの宿も、
自炊棟に泊まれればたいてい
5000以下に抑えられます。
そして、布団敷きから食事の準備からなにから
自分でやるので、
宿側も適度な距離感で放っておいてくれる。
これも絶妙な快適さだったりします。

・余計なものがなにもない
多くの場合、テレビもなく、
おまけに携帯電話の電波すらないことも
けっこうあります。

暖房器具と布団と、うまくいけば
囲炉裏がついているくらいです。


(滑川温泉 福島屋の部屋です)
このように。ここは囲炉裏はありませんが。

基本的に、普段やっているようなことで
やることはほとんどなくなります。

録画した番組をなんとなく義務感で
消費することもなければ、
あまり確かな目的もなくスマホを
眺め続けてしまうこともなくなります。
そうすると、実はかなり時間があることに
気づかされたりもします。

・夕食を作るのがたのしい
自炊スペースには鍋があります。
だいたいの場合、
あの金物屋さんで売っていそうな
アルミでできた鍋が多く用意されています。
それでお好みの鍋を作って、
そのまま部屋に持っていくことが多いです。

なべやかん類は、なかなか揃っています。

そんなに広くないスペースを、
何人かで分け合って、手分けして
なまくらな包丁もなんとか使いこなします。
びっくりするほど切れないことも多いです。

こういうとき、よく作るのがピェンロー。
干し椎茸、豚肉と鶏肉、たっぷりの白菜だけで作り、
一味唐辛子、粗塩だけで自分で味付けする鍋。
干し椎茸のダシだけしっかり取っておけば、
比較的おおざっぱに材料を放り込んでも
美味しく仕上がります。そして安いです。
とてもおすすめです。
ちょっと作りながらビールを飲んだりするのも最高で、
もうそれでだいぶたのしくなってきます。

無造作に積まれている食器棚から
ちょうどいい器を選び出したら
そろそろ準備も終盤です。
できあがった鍋と一緒に部屋に持って行きます。

持って行って、囲炉裏で炭に頑張ってもらいます。

そしてそれを1時間、2時間と時間をかけて
ゆっくり食べていく。
もし囲炉裏があれば、
炭が鍋をじっくり温めてくれるので、
ずっとちょうどいい温度が保たれるのも
良いところです。
とてもリフレッシュすることができます。

・季節外れの寒さを楽しめる
温泉街の中心からずっと離れたところや、
谷の中のひなびた一軒家、
というロケーションにあることが
多く、やっぱりそういうところは寒いです。

関東であれば日中は半袖で過ごせるような
5月の初旬に泊まった秋田の宿は、
鍋をつついている間に雪が降り始めて、
正月をもういちどやり直しているような
雰囲気に包まれていました。

普段は東京に住んでいるので、
ロケーションの面はもちろん、季節感の面でも
いつもと全く異なった経験ができるのは
自炊ができる温泉宿ではよくあります。

・ベテランの方々のごはんがおいしそう
自炊棟とは湯治のために、
長く滞在するかた向けにつくられたもので、
けっこう長期滞在する方々がいらっしゃいます。

それらの方々の手際の良さを見るのも楽しいです。
インスタントラーメン・うどん・そば
牛丼・味噌汁・野菜サラダなど
気取らない料理をしているところを見ると、
なんとなく合宿を共にしている
仲間のような意識が湧いてきて、
また少しその場所に愛着が湧いてきます。

食べきれないのでいかがですか?
と、カニをいただいたこともありました。

エビも入れました。

・沢の音
これも自炊棟がある温泉独特ですが、
水量の豊富な川がすぐ近くを
流れていることが多いです。

一日中、沢の音がきこえてくるというのは、
単純なようですけど、やっぱりいつもと
異なる環境にいるということを
絶え間なく、押し付けがまくなく
伝えてくれるように思えます。

どんな時でもこの沢は流れ続けていて、
そしてまたそこに戻ってこれる時がある、
というふうに思うと、少しだけ
希望が持てるような気がしてきます。
そういう場所をいくつか持っていると、
どこか他にもそういう場所はないのか?
と思う気持ちが湧いてきて、
また違う自炊のできる温泉宿を探す事になります。

・朝風呂がよい
これは自炊だから、ということではないですが、
朝ごはんの時間も自由なので、
とりあえず起きたタイミングで
風呂に入ることができます。
なるべく早起きし、
水を1〜2杯飲んで、速やかに
眠気覚しで露天風呂に向かうと、
まだ低い位置にある朝日に照らされて
湯気が粒子状の水滴のうねりである様が
見て取れます。
その動きをぼーっと見ているだけで、
これも良いです。
海岸に打ち寄せる波をいくらでも
見続けられるような感覚に近いものがあります。

・山道散歩ができる
これもロケーション上の特性ですが、
登山口が近くにあったり、
祠のようなものが山の中を少し歩いた先にあったり、
散歩道が豊富にあります。

4月の終わりでも雪が残る、こんなところを歩くと、

こんな野湯にでくわしたりもします。
(こちらは乳頭温泉です)


雪解けすぐで、倒木が道をふさいでいたりもします。
(こちらは夏油温泉。)

早起きして朝風呂、そして朝食。
すぐに山の中に足を踏み入れる。
多少の汗をかいて、さっと戻る。
また湯に浸かる。
そしてビールを飲む。
(この時点でam9時くらい)
という一連の流れをこなすと、
普段の朝はあんなに時間がなくて
慌ただしいのに、
同じ時間でもやろうと思えば
できることはいろいろあるんだな、と
思うことしきりです。

思うままに列挙してきましたが、