午後3時。
「お・て・ら・さーん! お外で遊んでいい?」
そんな元気な声が聞こえてきます。
幼稚園に通う小さな子から、
もう声変りがはじまったような
高学年の小学生まで、
いろんな子たちが、遊びにきます。
坂道ばかりのこの町で、
境内で自転車に乗る練習をしてよいか、
聞かれたことがきっかけでした。
何人もの子たちが、転びながらも一生懸命練習し、
この境内で自転車に乗れるようになりました。
そして、いつのまにか、
その自転車を器用に乗りこなし、
友だちを連れ、遊びに来るようになったのです。
境内に遊具があるわけでもなし。
ただただ走り回ったり、
学校のことを話したり、
自分たちで考えたゲームをしたり。
時には、本尊さんにお願いごともしているよう。
雨の日は、客殿のおもちゃで遊んだり、
たまには、宿題をもってきて、一緒に勉強したり。
週末の午後は、大人たちが集まります。
坐禅、写経、読経、ヨガ、気功・・・
寺子屋講座に参加する皆さんです。
「毎月、この日はぜったいお寺に行くから!って
家族に宣言しているの。
私の大切な時間だもの。」
なんて言ってくださる方もいます。
それ以外にも、
お散歩の方、
ふらりとご相談にみえる方。
いろんな方にお会いできる時間。
これが今のお寺の午後3時。
私のいるお寺は、創建されて今年で333年。
数えて21番目の住職である夫は、
サラリーマン家庭から僧侶を目指し、
学び、修行をし、
ご縁あってこの寺の住職となりました。
私も普通の家庭のマンション暮らしで育ち、
会社で働き、出張で飛び回る日々。
夫と出会うまで、まさかお寺の奥さん業を
するなんて夢にも思っていませんでした。
全く知らない土地に、縁あって住み、
その場を守るために生きる二人です。