もくじ
第0回ボードゲームに少しワクワクする話 2016-06-02-Thu

あらゆることを広く浅く、つないで、育てる仕事。
楽しんでやれば、ほとんどのことは楽しい!

ボードゲームに少しワクワクする話

担当・らりお

3年前の僕は、
ボードゲームのことを
全く知らなかった。

「熱しやすいが、冷めやすい」

そんな僕が、
今日までずっと、
なぜか続けられている。

そして、
今やボードゲームのブログを書き、
自分でボードゲームを作り、
そして、販売するまでになっている。

それはきっと、
ボードゲームにしかない、
特別な魅力があるから
だと思うのだ。

僕はその魅力を
伝えてみたい。

この遊びが
どんな風に楽しくて、
ワクワクするのか。

ボードゲーマーは、
いつだって遊び仲間を増やしたいんだ。

ボードゲームに少しワクワクする話

「僕の好きなものは、ボードゲームです!」

高らかに宣言すると、
よく言われることがある。

「……へぇ……人生ゲームみたいな?」

この一連のやりとりは、
ボードゲームが好きな人であれば、
誰もが一度は通る道だ。

そして僕らはこの問いに、
「あぁ、うん。
それもボードゲームの
一種ではあるんだけどね……。」
と、曖昧に答えることになる。

そして、
「そうなんだけど、
それだけじゃないんだ!」
という気持ちがほとばしる。

確かに、人生ゲームは
「人生」をテーマにした
素晴らしいゲームの一つだ。

制御できないルーレットを回しながらも、
時に自分で道を選び、
良いことも、悪いことも当然起こる。

「人生楽ありゃ苦もあるさ」という格言を、
このゲームはとてもうまく表現している。

しかし、よくよく考えてみてほしい。
この世には「人生」以外のテーマや言葉も、
無数にあるはずだ。

例えば、
先日の不運な僕の一日を紹介しよう。

僕は、朝ごはんに「納豆」を食べる。
しかし、通勤途中に、
お腹が痛くなって「トイレ」へ駆け込んだ。
更に不運なことに、
そこで「ゴキブリ」を見てしまったのだ!

どうにもゲームになりそうもないテーマだが、
実は上に挙げた全てのテーマのボードゲームが、
既に存在している。

納豆、トイレ、ゴキブリ。
……一体、どんなゲームだというのだろう。

美味しい納豆を作るために、
どの程度かぎまぜ、
どんなトッピングをするか。
混ぜすぎればいいというものでもない。

二つしかないトイレに、
うまく登山者を並ばせる。
溢れてしまうと、山で用を足すしかない。
環境汚染は当然ペナルティだ。

嫌われもののゴキブリは、
絶対に受け取りたくない。
「これはゴキブリです」と
裏向きに差し出されたカード。
さぁ、それはゴキブリか、
それとも別の害虫か。

ボードゲームデザイナーという人達は、
ありとあらゆるものに
ルールを付けようと企て、
「あちらを立てれば、こっちが立たず」の
悩ましい状況を作ることができる。

そして、それがゲームになるのだ。

こんな風に、
ボードゲームは次々と生まれていき、
今や世界のその数は、
70,000種類を越えているのだ。

場所の名前が
テーマになることも多い。
「ラスベガス」や「ナイアガラ」、
「東海道」もあれば、もちろん「江戸」も。

だから、僕たちボードゲーマーには、
行ったことはないけれど、
なんだかよく知っている場所が
たくさんある。

僕らは屋根の下で遊びながら、
世界中を旅しているわけだ。

そんな広い世界があるこの遊びを、
「ボードゲームは人生ゲーム」と、
簡単に片づけてしまうのは
少しもったいないと思う。

「一を聞いて十を知る」には、
たった一つのボードゲームだけでは、
あまりにも少ない。

逆の言い方をすれば、
始めて行く場所が多いというのは、
それだけで、とても幸せだ。

もう一度、
あの感動を味わいたい僕にとって、
それは素直に羨ましい。

僕は、ボードゲームは
「みんなで楽しめる本」
だと思っている。

本は無数のテーマがあり、
様々な学びや気づきを教えてくれる。

ボードゲームも、
色々なテーマの特別な体験を
僕たちに与えてくれる。

頭を使いながらも、
そこにある知らない世界に、
みんな一緒に入り込めるのだ。

自分たちが主人公になって、
物語を作ることになるから、
その没入感はとても高い。

そして、全員がその場の空気を共有しているから、
僕たちは自分の五感、
いや六感に至るまで、
その全てを使うことになる。

彼は向う見ずな性格だよ。
この人は危なくなると、逃げる印象があるぞ。
あいつ、嘘をつく時は右眉毛がピクリとするんだ。
初対面なのに、なんだか只ならぬ雰囲気が……。

目には見えないことを、
身体全体で感じるのだ。

ゲームの盤面と、
自身をよく見つめながら、
自分なりの決断をしていく。

このプロセスが何よりも楽しい。
ワクワク、ドキドキという言葉が
まさにぴったりな瞬間だ。

さて、ここで
ボードゲームの世界を
体験してもらえるように、
こんな話を用意してみた。
少しだけ想像してみてほしい。

 

 
あなたは今、
友人のトムとジェリーと一緒に、
森へキャンプに来ている。

近くを散策中のことだ。
偶然にも、今にも崩れそうな洞窟を見つけた。

中に入ってみると、
キラキラ輝くダイヤモンドが、
なんと3つも落ちているではないか。

「先に進めば、
もっとたくさん
ダイヤモンドがあるに違いない!」

いつも大胆なトムが興奮気味に言う。

「いや、これ以上進むと
崩れて戻れないかもしれないぞ」

常に冷静沈着なジェリーが諭す。

「じゃあ、こうしよう。
一斉にみんなで、進むか戻るか、
宣言しようじゃないか。

戻るやつらで、
今手元にあるダイヤモンドを山分けだ。
先に進めば、そこで見つけたダイヤモンドは
そいつらのものって寸法さ」

なるほど、あなた1人だけが戻る選択をすれば
3つのダイヤモンド全てがあなたのものだ。

しかし、口ぶりから察すると、
ジェリーは戻るに違いない。
そもそもジェリーは金持ちだから、
ダイヤモンドに固執しないだろう。

そして、あなたは子供のころ、
ジェリーに金持ちを自慢され、
更には仲間外れにされたことを思い出す。
今にして思えば、あれは相当な屈辱だった。
これを機に見返してやりたい気持ちが、
沸々と湧いてくる。

かといって、ジェリーが一人だけで戻れば、
彼一人でダイヤモンドを3つも持ち帰ることになる。
それもなんとなく、癪に障るものがある。

それに加えて、トムも問題だ。
大胆なトムのことだ、きっと先に進むだろう。
仮に先に進むとしても、
どこまでトムと度胸試しを続けられるだろうか。
そこまでの度胸が、あなたにはあるだろうか。

いや、しかしトムには案外臆病なところもある。
実はお化けと暗いところが大の苦手なのだ。
もしかすると、意外とすぐに戻るかもしれない。

いや待てよ、そもそも、
この洞窟は本当に大丈夫だろうか。
一歩進むだけで、崩れてしまう可能性はないのか。
よくよく目を凝らして見れば、
意外と固そうな地盤にも思える。

でも、この先に、
本当にまだダイヤモンドはあるのだろうか。

もしかすると、20個以上あるかもしれない。
そうなれば、一生遊んで暮らせるぞ。

あるいは、たった1個や2個、
全くのゼロだという可能性もある。

思考が渦のようにぐるぐると回り、
徐々に呼吸が荒くなってくる。
そんな中、あなたが導き出した答えは……。

 

 
自分ならどうするだろうと、
頭を悩ませながらも、
どこかでワクワクを感じなかっただろうか。

もしあなたが「飽き性」で、
「面倒くさがり屋」なら、
ボードゲームはきっと、
最高の遊びの一つになると思う。

無数のテーマのゲームが
飽きる暇を与えてくれないはずだ。

そして、囲碁や将棋のように
勝つために時間をかけて
戦術を覚え、練習する必要もない。

ルールを聞いて、
その場でどうすればいいか考える。
ただそれだけで、勝つことができ、
そして何より、楽しむことができるのだ。

ボードゲームに興味を持ったら、
まず何をすればいいのか。

とても簡単だ。
どこかの検索サイトで
「ボードゲーム」と
打ち込んでみよう。

そうすれば、
知らない世界がパッと広がる。

どこで、だれと、
どんなゲームを遊ぼうか。

考えているだけで、
なんだか心が
ワクワクしてくるはずだ。

(おわりです)