2016年4月
7年間暮らした東京を離れ、
しごとのため遠く離れた
岩手県遠野市へ移住してきました。
遠野は、”日本のふるさと”とも呼ばれ
その昔、民俗学の祖・柳田國男の
『遠野物語』で有名になった
美しい原風景が残る土地です。
本州で最も寒い地域とのことで
春といえど、朝晩の寒さは厳しく
これを書いている5月の後半でも
夜は毛布をかぶって寝ているほどです。
昨年は暖冬でしたが、
はじめて遠野を訪れた12月30日は
マイナス10℃でした。
さすがの雪国育ちでも、やや二の足を
踏んでしまうような寒さで
ここは人が住める場所なんだろうか、と
己の生物としての弱さを痛感しながら
帰ってきたのを覚えています。
ただ、そんな厳しい冬を越えて
この春、遠野にやってきまして
とてもびっくりしました。
ふつうにこれは笑われると思うんですが、
木や、林や、森が、そして花が
歌ってるんですね。
もちろん声が聞こえる訳ではないのですが、
待ってました!とばかりに生命が一斉に息吹き、
里山全体を包み込む高揚感は
これまで体験したことのないもので。
これ何かに近いと思ったら、フェスですね。
みんなでシングアロングしてるんです。
すかさず彼らのwifiをキャッチし
FMトランスミッターで車のラジオから
流してみようかと思ったほどでしたが、
とにかく、それぐらいぼくにとって
遠野の春は驚きに満ちたものでした。
さて、そんな遠野での里山生活がはじまり
出会ったのが、山菜です。
道の駅にズラーッと並び
春の野菜売り場を堂々と占拠している彼ら。
俺らは栽培されてねーから。自生してるから。
という地方の強豪校のような威勢を張った姿に
頼もしさを感じてしまいます。
今回は、この遠野で出会った里山の
山菜がいかに素晴らしいか、ということを
書きたいと思います。
そして、誰にも求められていませんが、
ぼくが元高校球児で野球が好きなため
野球に例えて山菜をご紹介します。
題して、「遠野山菜オイシーズ」の
スタメンです。ではご紹介します。
<1番ショート:わらび>
まずは山菜の定番選手。
巨人の坂本勇人です。
山菜の代名詞と言っても過言ではありませんね。
あくぬきが少々手間なところは大目に見ながら、
多少結果が出なくても先頭においておきたいと
思わせる選手です。
<2番セカンド:行者にんにく>
こちらは元中日の井端です。
とにかく、いい引き立て役になってくれます。
見た目はよくありそうな植物に扮して打つ気はないのですが、
食べると主張してくるにんにく感は、
ピッチャーが投げるとささっとセーフティーバントを
仕掛けたり、右打ちをしてくるような嫌らしさがあります。
<3番ライト:うるい>
こちらは、全盛期の高橋由伸です。
まず、他の山菜には無い品があります。
慶応卒です。ホントに野球選手かなと思うな、
本当に君、自生してた?と聞きたくなるような選手です。
そして、味も癖がなく起用しやすいのは
うるいの長所です。女性ファンも多いでしょう。
<4番センター:うど>
こちらは文句なく、その出で立ち、
たくましさから和製大砲・松井秀喜です。
外見の野生感と、内面の品のある味が
同居している頼れるパワーヒッターです。
外は硬い皮で覆われていますが、
その皮もキンピラに使えますし
何より酢味噌和えなどは他の追随を許しません。
個人的にも大好きで、うど感謝デーも開催されました。
<5番ファースト:たらの芽>
うどより背は低いですが、ずっしりとした
肉厚ボディは中日・楽天で活躍した山崎武司です。
見た目とは裏腹に天ぷらにした時の贅沢な感じと
身が凝縮した感じなんかは、
外から見ると重そうなのに、軽めのバットで
ヒットを量産する山崎選手が持つギャップと似ています。
野村IT野球、見事です。
<6番サード:バッケ(ふきのとう)>
こちらは、遠野で「バッケ味噌」としても
美味しくいただいた、ふきのとうです。
バッケの良さは野球選手らしからぬ、香りですね。
これで何度ご飯をおかわりしたものか。
味噌と絶妙なタッグを組みます。
おかわり君といえば西武・中村剛也ですが、
ふきのとうの繊細さとはかけ離れているので、
年をとっても安定してイケメンな松井稼頭央と
いったところでしょうか。
<7番レフト:しどけ>
さぁ後半戦です。
これは遠野の隠れた名物、しどけです。
あまり認知度は高くありませんが、
癖の強い山菜で醤油のおひたしなんかは
最高に美味しいです。
下位打線だからといって油断すると
一発ホームランなんかも打たれる
いぶし銀・井端選手ですね。
<8番キャッチャー:こごみ>
8番は、くるくるっと先端が巻かれており
野手で唯一ヘルメットをかぶる捕手に
見えなくはありません。大きくはないですが安定感があります。
また、「屈み」とも書きまして、文字通り
屈伸を繰り返すキャッチャーですね。
もはやどれもそうですが、天ぷらにすると最高です。
昔のキャッチャーというよりも、現代的で知的な
楽天の嶋選手のようなイメージですね。
<9番ピッチャー:ゼンマイ>
さぁラストバッター&エースはゼンマイです。
わらびと並んでアクが強く素人は手を出さない方が
無難とさえ言われる山菜。そのスーッと伸びた身長の高さと
一筋縄ではいかない彼を、先発投手として起用します。
こちらは伝説の剛腕・斉藤和巳でしょう。
全盛期のストレートは誰も手が出ませんでした。
こちらは遠野ではまだ食べたことはないので、
来年、手を出せるよう、ぼく自身もレベルアップ
したいと思います。
<中継ぎピッチャー:よもぎ>
こちらはおまけですが、中継ぎピッチャーは
山菜らしくない、よもぎです。
その物腰の柔らかさと、よもぎ団子としても
子供たちにも愛されるキャラは、
元東北高校でダルビッシュ有の二番手に
君臨していたサイドスロー真壁賢守投手です。
ゼンマイはダルビッシュとも見えるので
剛腕の後ろに安定感のある軟投タイプがいるのは
バリエーションがついていいですね。
とはいえサイドスローで140km/hを超える
高校球児というのも、なかなかいませんよね。
以上が、遠野山菜オイシーズの
スターティングメンバーでした。
個人的には、まだ抑え投手、代打の切り札、
外国人選手あたりが見つかっていないので、
(外国人てもはや山菜なのか、、)
こちらは来年の楽しみにしたいと思います。
度々、街でバッグに山菜を入れている
男性を見かけたら声をかけてくださいね。
だいたい背の高さ的には高橋由伸が
顔を出していると思います。
と、山菜好きを公言してきましたが、
実はまだ山菜採りはしたことがありませんので
来年は現地のスカウティングも含め
山に入っていきたいと思います。
一応、「岳」という名前だったりしますので。
それでは、野球界のうるいこと
高橋由伸率いる巨人連敗脱出を祈念して
「わたしの好きなこと」終わりたいと思います。
それでは、また第三回のテーマでお会いしましょう。
失礼いたします。