もくじ
第0回私の好きなもの。野菜の内側。 2016-06-02-Thu

趣味は外国人の道案内。1歳の娘がいます。

私の好きなもの 野菜のダンメン

担当・キニー

料理しますか?野菜って切ってますか?
じゃ、どういう風に?
野菜はタテに切ったりヨコに切ったりすると、
結構面白いんです。

私の好きなもの。野菜の内側。

野菜とわたしのこと

好きなもの、というお題をいただきました。
ですが、好きなものというのは、その人がどんな人で
どんなプロフィールか知らないと、
とっても聞けやしないんじゃないかと思います。
そんなわけでまずは私のことから、少しだけ書きます。

私はおいしいごはんが大好きな食いしん坊です。
作るのも食べるのも好き。
祖父母が農家(お米と野菜を作っている)で、小さい頃からたくさんの
新鮮な野菜に囲まれて育ちました。
それから、就職してから、はじめてのひとり暮らしの時。
都会ではなくて、5年間まるまる、
出身地からは遠く離れた田舎で暮らしました。
そこでも、あんまり野菜が安くて美味しいので、せっせと料理をし、
20代の最初の青春時代は、新鮮な野菜の食生活で彩られていました。

実家にいるときは冷やして切っただけの野菜とマヨネーズ、
(新鮮ならそれが一番美味しい)とか煮物とか、
そんなものを毎日食べて過ごして、
就職して忙しくなってからは、いつも野菜を入れたお味噌汁を作っていました。

普通よりちょっと野菜はいっぱい食べていると思いますが、
「野菜ソムリエ」とか「シェフ」とかそんな特別な人ではないです。
そんな私の「野菜愛」です。

玉ねぎの事

玉ねぎは我が家ではほぼ毎日ってくらい登板する、できるやつです。
炒めても甘いし、カレーハンバーグあたりには刻んで入れるのが必須だし
(ジューシーになる)
忙しい時には切ってそのままスープに入れてコンソメを入れてもいいし、
生姜と合わせて味噌汁にも入れても美味しいです。
いわゆる優等生。
どこでも活躍し、頼りになる。そういうやつです。

と、ここで問いたいのですが、
「玉ねぎの事、どこから切ってますか?」

せーの、はい。
おそらく、おおよその人が「縦に半分に切る」、と答えたと思います。
(多分9割5分くらい。私調べ」
もったいない。非常にもったいない。
あと、「切ると目にしみるからミキサーに入れちゃう」
っていう人も、もったいないです。

一度くらいでいいので、こんな風に切ってみてください。
ほら!

この美しい同心円。
数学の時間に黒板に書いてあった図形みたいじゃないですか。
見事な等間隔です。
よくよく目をこらすと、こう、みずみずしいハリがこの境界線のところに
あってそれも綺麗なんですが、
よく見すぎると、涙が出てくるので注意してください。

このキッチリ感。
いかにも、「優等生」って感じですね。
でも、優等生なのになんで見つめると涙が出てくるんだろう?

## ピーマン

ピーマンです。昔嫌いだったーという人も多いはずの
あいつです。
肉詰めが夕飯に出てきても、ハンバーグに混ぜ込まれていても
「えー、今日ピーマンなの?最悪ー」
と、私も言っていました。

まず縦に割ってみます。

この上の方にあるモジャモジャとした種のあたりが
苦いって聞いたことがあります。
種の位置がいかにも偏っていて、
あんまり均等ではないし、
結構バラバラとして独立独歩って感じです。
この辺の性格の偏り感も、
ちょっと嫌われがちな一因だったのかもしれません。
さっきの玉ねぎとは全然違います。

さて、そこで決めつけずにちょっと上の方で切ってみます。
それっ。

あれ?
均等に出てきた3つの部屋と
それぞれに入った黄色の種。
さっきと全然違う感じです。
なんというか、ちょっと嫌な奴と思っていたけど
話してみたら自分の世界観がしっかりしてて
面白いやつだった、みたいな感じです。

これ、ヘタに近い上の方を切らないと
こういう風に見えないんです。

私はこれを見るために、いつも
ヘタに近い上の方で、横に切ることにしています。
ちなみに大人になったので、
ちょっとあぶってそのままムシャムシャ食べても
大丈夫になりました。

トマト

トマト。小さい時から好きです。
冷蔵庫に冷やしてあって、切って食べるのがおやつ。
緑の葉物の中で、彩りになるし、お弁当にも絶対入ってました。
これだけ真っ赤な野菜って他になくて、華やかだし、
なんか憧れの人でした。みたいな。

そんなトマトさんですが、彼女も(トマトの一人称はどうしたって彼女です)
二面性があります。

縦に切るとハート型。さすがの女子力。

なんですけど、
オススメは横に切ってここに着目することです。
「グラデーション」
うちにあるトマトではわかりにくかったので、
ミニトマトを横に切りました。

ジャジャーン。

赤、緑、黄色。
特に黄色の種が花火みたい。キレイだなあ。

横に切るとキレイなので、
こんな感じで切って、モッツァレラと一緒に、
サラダにしたりカプレーゼにしたり、
トマトさんに関してはオシャレに食べることを心がけています。
キレイなままでいてほしいから。

忙しい時だから

今回は3つ、野菜の切り口についてお届けしました。
可愛いでしょ?なんかキレイでしょ?

今、時期じゃないので写真を載せられませんでしたが、
カブなんかもすごくキレイです。
ぱかっと割った時の、目にしみるような白さが、
冬の寒いキッチンでいいんです。

私が「野菜の切り口っていいなあ」と思うようになったのは
つい最近です。

東京に越してきて、子供が生まれて、
仕事をしながら子育てをするようになって、
本当に息つく暇がなくなってからのことです。

決まった時間に出なくちゃいけない朝。
残業から帰ってきた夜。
なんとかやらなくっちゃと包丁を握る、そんな時に、
ぱかっと、まっぷたつに割れた野菜が見せてくれる、様々な表情。
一人暮らしの時、24時間自分のために時間が使えた時には、
あんまりよく見ていませんでした。

そのまんまなやつもいたり、きっちり整然としたやつもいたり。
これを読んだ人も、野菜を楽しんでくれるようになったら嬉しいです。