もくじ
第1回アンダーグラウンドな世界 2016-06-02-Thu
第2回初めての表舞台 2016-06-02-Thu
第3回私の中の甲子園 2016-06-02-Thu
第4回返礼状 2016-06-02-Thu

都内で
働いています。
テクノロジーと
猫が好きです。
つぶやき

ほぼ日塾生のいろりです。
私は春になると、何か新しいことに
チャレンジしたくなります。

それは結構苦しさを伴っていて、
一筋縄ではいかないものだったりするのですが、
なぜか毎年やってしまいます。

どうしてこういうことが好きになったのかな?
なんで春頃なのかな?

深く自分の『好き』の源泉にダイブすると、
今から数年前にやっていた、
あるアンダーグラウンドな試みに
端を発していることに気がついたのです。

少し長くなりますが、
興味を持たれましたら
お付き合いいただけますと幸いです。

第1回 アンダーグラウンドな世界

数年前、わたしは地下の小さな
ライブハウスで歌っていた。
あがり症の私は歌うたびに
音程が迷子になり、
それを聞いて萎えるお客さんの反応を前にして
さらにあせり、どんどんキーをはずす、
と言った酷いあり様だった。

結果はさんざんだった。
タイトルをつけるなら、
自滅ライブ。
自分が恥ずかしくて死にたくなった。
「こんなライブにお金を払わせてごめんなさい、
努力して精進します」
と言った反省文をSNSに書き込む。

それを見たお客さんがコメントをくれる。
「歌が下手なのは仕方ないよ!
だけど演者のいろりちゃんが
楽しくライブをしてくれたら、
それは観客に伝わって楽しくなるから。
せめてそこから初めてみたら?」

フォローなのかはわからないけど、優しいな…
そうか、私はせめてお客さんを楽しくさせるよう
自身も楽しまないといけないのだなあ、
とひとりごちる。

その後、同じお客さんから個別にメッセージがくる。
「いろりちゃんさ、
今日ちょっとお腹見える格好してたじゃん?
そのとき思ったんだ、案外太ってるなって…
他は大丈夫だから、痩せた方が良いよ!」

(カチーン。知ってる。
そこは知っている…
知ってるから言わないで!)
そう思いつつ
「アドバイスありがとうございます」
なんて調子でかわしていると、
次のライブのときに大量のダイエットグッズを
プレゼントされた。
ファンの人から爆汗湯(発汗を促進する
ダイエット入浴剤)をもらうアイドルなんて
私ぐらいではないだろうか。

そんな地下アイドルとファンの関係性は、
はたから見ると不思議だと思う。

でも当時私はそんな空間を楽しんでいたのだ。

第2回 初めての表舞台