- キカイ
- 博士は「漢字の生態学」というのを
研究しているそうですが、
それは一体どういうものなのでしょうか? - 博士
- 漢字って動物に似ていると思わんかね?
- キカイ
- うーん‥‥、思わないです。
- 博士
- ワシは普段、動物のことを研究しているんじゃが、
レポートを執筆しているときに
ふと気付いてしまったんじゃ。
動物と漢字は似ておる!‥‥と。
そこで漢字を動物のように見立てて
調査しはじめたのが「漢字の生態学」、
略して「漢態学」じゃ。 - キカイ
- 漢字が、動物に‥‥?
具体的にはどういうところでしょうか? - 博士
- じゃあ、順を追って説明していこうかの。
- キカイ
- お願いします。
- 博士
- まずは漢字を見てみるぞい。
- キカイ
- これは「字」という漢字ですね。
- 博士
- うむ。
漢字のからだは点や線でできておる。 - キカイ
- “目”らしきものが付いているのですが‥‥。
- 博士
- これは「漢態学」における表現の一種じゃ。
こうやって見るとカワイイじゃろ? - キカイ
- 無理矢理じゃないですか。
- 博士
- オホン、ところで、
漢字は何のために存在しているかわかるかね? - キカイ
- 意味を記号化して伝えること、でしょうか。
- 博士
- そんな感じじゃな。
漢字は、単体や複数が集まることで、
メッセージを発する特性がある。
意思や思想がハッキリとしたやつらなんじゃな。
その特性を活かし、ヒトはこやつらを
伝達方法に使ってきた。
我々の生活には欠かせない存在なんじゃ。
- キカイ
- 今こうして会話している中にもいますし、
たしかに漢字って身近な存在ですね。 - 博士
- そうなんじゃ。
本の中や、街で見かける看板など、
日本中のあらゆるところに生息しておる。
我々は漢字に囲まれて暮らしておるわけじゃな。
ほら、動物っぽく思えてきたじゃろ? - キカイ
- 動物でもなければ、生物でもないですが‥‥。
- キカイ
- しかし、漢字って種類も多いし、
読み方もたくさんありますよね。 - 博士
- うむ。
漢字の呼び方には「音読み」と「訓読み」がある。
「音読み」はほかの漢字と組み合わさったときに
「訓読み」はその漢字単体で読める、
といった役割があるんじゃ。
漢字がいる場所によって呼び方が変わってしまうのは、
ちと厄介かもしれんのぅ。 - キカイ
- 動物でも、地域によって呼び方が変わったりしますね。
‥‥ハッ!
- キカイ
- 「とらえ方」?
捉え方?捕らえ方? - 博士
- 簡単にいえば、漢字の生み出し方じゃな。
同じ漢字でも、生み出された場所によって
その姿や大きさはさまざまじゃ。
そこでワシは、大きく2つの産地に分けておる。 - キカイ
- 回りくどい言い方ですが、
要するに、漢字の書き方ですね。 - 博士
- 1つは「テガキ産」。
鉛筆やペンを使って、自分の手で画いた漢字のことじゃ。
姿をそっくり真似ることで生み出されるぞい。
その際、“目”のある部分からとらえるとよい。
1つ1つ姿が若干異なるため、
見た目がとっても個性豊かなんじゃ。 - キカイ
- ああ、あの“目”は一画目にあたる部分
だったんですね。 - 博士
- そして、もう1つは「カツジショタイ産」。
本や道路交通標識など、印刷されたものに多い漢字じゃ。
さらに、フォントと呼ばれる場所によって姿が異るので、
そのバリエーションは実に豊富じゃ。
テガキ産と違って、その漢字の読み方を
入力することによって生み出されるんじゃ。 - キカイ
- そうか。
こっちは読み方を知らないと生み出せないんですね。
- 博士
- さて、基本を勉強したところで、
次からはワシの研究成果である
カワイイ漢字たちを紹介していくぞ~! - キカイ
- わ、わーい‥‥。