- ——
- お久しぶりです!
今日はよろしくお願いします。 - 生澤
- 3年ぶりですね!
こちらこそよろしくお願いします。 - ——
- 3年前にお会いしたときは、
生澤さんはまだ制服を着た高校生でしたよね。
「大学受験を控えてるんです」って言いながら、
手作りの四つ葉のしおりをプレゼントしてくださって。 - 生澤
- 懐かしいです!(笑)
- ——
- ものすごくハッピーになる
贈りものだなあとおもいました。
いまもお財布の中に入れて、
大切に持ち歩いてます(笑) - 生澤
- わあ、ありがとうございます!
まだ持っててくださったんですね。 - ——
- 当時は四つ葉を探せる
不思議な力があるということを、
Twitterで発信して間もない頃でしたよね。 - 生澤
- そうなんです。
大好きな四つ葉で何かしたいなという
気持ちはあったんですど、
どうしたらいいのか分からなくて。
とりあえず身近な人に話してみたり、
SNSで地道に発信していた時期ですね。 - ——
- それが3年経ったいまでは、
個展の開催が決まったり、
テレビやラジオの取材を受けるようになったり…
「四つ葉アーティスト」として
活躍の幅を広げられていてほんとうに素敵です! - 生澤
- ありがとうございます、うれしいです!
これも応援してくれている方とか、
支えてくださっている方のおかげです。
- ——
- いままで集めた四つ葉は、
全部で7万本なんですよね。 - 生澤
- はい、そうです。
- ——
- 四つ葉探しをはじめたのって、
何歳の頃だったか覚えてますか? - 生澤
- いまわたしは20歳なんですけど、
3歳のときですね。
まだ物心がついていなかったので、
母から聞いた話なんですけど…
公園で四つ葉や五つ葉のクローバーを
たくさんつんでいたみたいで。 - ——
- そ、それはお母さまもびっくりですね!
- 生澤
- 「お母さん四つ葉がいっぱいあるよ」って、
両手にたくさんのクローバーを
握りしめていたみたいです。
でも母は全部三つ葉だろうなあと
思っていたらしいんですよ。 - ——
- 四つ葉ってすごくめずらしいですもんね。
クローバーが四つ葉になる確立って、
えーっと…1万分の1でしたっけ。 - 生澤
- そうです。
でもほんとうに全部四つ葉とか
五つ葉だったんです(笑)
小さいころに読んでいた絵本を開いてみると、
四つ葉がたくさんはさまってるんですよ。
- ——
- えー!おもしろいですね!
- 生澤
- しおれて色が変わってるんですけど、
かたちはちゃんと残ってます。 - ——
- 四つ葉をすきになった
きっかけって覚えてますか?
たとえば「幸せの象徴」ということを
知ってすきになったとか… - 生澤
- いえ、小さかったので
そういうことは知らないはずです。
純粋に四つ葉探しがたのしくて、
すきだったんだとおもいます! - ——
- へえー!すごい。
- 生澤
- 昔住んでいた社宅に
大きなお庭があって、
たくさんのお花や
果物の樹があったんです。
その影響で小さなころから
植物と触れ合うことがすきでした。 - ——
- クローバーも生えていたんですか?
- 生澤
- はい、たくさん生えてました。
植物のなかでも四つ葉は特別な存在だったんです。
触れると心がほっこりしたり、わくわくしたり! - ——
- 温かい気持ちになるんですねえ。
- 生澤
- とにかく一体感があるというか、
心がすごく安定するんです。
頭で考えるより先に
ハッピーな気持ちになります!
- ——
- たくさん三つ葉があるなかで、
どうして四つ葉を見つけられるんでしょうか。 - 生澤
- うーん、なんだろうな…
四つ葉がそこにあると、
通じ合っているような、
つながっているような気持ちになるんです。
よく「光って見える」「吸いこまれる」
という表現をしてるんですけど… - ——
- 電球のように光って見えるイメージですか?
- 生澤
- いえ、ちょっと語弊があるんですよ。
自分の中にある感覚を、
みんなに伝わるように話すと
「光っている」っていう
表現になるんですけど… - ——
- そうだったんですね!
- 生澤
- なんか四つ葉は特別に見えるんですよ。
うーんなんだろう… - ——
- なんだろう…
- 生澤
- あ、たとえばピンクの薔薇のなかに
一本だけ赤い薔薇があったら
分かるじゃないですか! - ——
- なるほど、そういう感覚が近いんですね!
分かりやすいです! - 生澤
- (笑)
わたしが四つ葉のことをすごくすきだから、
つい目で追っちゃうのかもしれないです。
- ——
- この不思議な力は、
お医者さんや科学者の方も
解明できていないんですよね。 - 生澤
- そうなんです。
共感覚じゃないかって言われたんですけど、
はっきりとした理由は分かっていないです。 - ——
- いつ頃から、この能力を自覚しはじめたんですか?
- 生澤
- 自分の感覚が人と違うことに気づいたのは、
ピアノを習いはじめた4歳のときでした。 - ——
- ピアノですか?
- 生澤
- 絶対音感があって、
一度メロディを聴くとすぐ再現できたんです。
でも同じレッスンを受けている子たちは
そうじゃなくて…
その頃から自分はちょっと人とは
違うのかもしれないと思いました。 - ——
- 五感でとらえる世界が、
他の人とは少し違うのだと。 - 生澤
- そうなんです。
不思議な力というか…
うまく言語化ができないものなので、
変におもわれないか不安でしたね。
四つ葉探しの力を自覚したのは、
たぶん小学生のときだったと思います。 - ——
- 友だちとクローバーを探す機会があったんですか?
- 生澤
- いえ、四つ葉がテレビで特別なものとして
紹介されているのを観たり、
「四つ葉ってなかなか見つけられないよね」
っていう友だちの会話を聞いたりして…
あ、わたしって変わってるんだなって。 - ——
- 個人的にはすごく素敵な
能力だとおもうのですが、
当時は戸惑いのほうが
大きかったんでしょうか。 - 生澤
- はい。
うれしいというよりも、
あんまり共感してもらえないだろうなって。
あと、特別なことができると、
周りに「自慢してる」とか
「調子に乗ってる」って
おもわれそうなので…
そういうことがすごく怖かったです。 - ——
- ああ、その気持ちは分かる気がします。
特に高校生くらいまでは集団行動がメインだから、
どうしても周りの目が気になりますよね。 - 生澤
- そうですよね。
日本は「みんなと同じがいい」という教育なので、
「人と違う自分は恥ずかしいんだ」と考えはじめて…
ランドセルを背負うようになってから、
四つ葉のことは誰にも話さなくなりました。
(つづきます)