もくじ
第1回四つ葉のクローバー、見つけた。 2016-06-28-Tue
第2回「優等生」を生きていた。 2016-06-28-Tue
第3回「神さまの声」が聞こえた。 2016-06-28-Tue
第4回はじめて「自分」になった。 2016-06-28-Tue
第5回「好き」が仕事になった。 2016-06-28-Tue
第6回幸せのかたち、見つけた。 2016-06-28-Tue

1991年、
東京都生まれ。
フリーライター。
キャラクター絵本、
大学の広報用
パンフレット、
webマガジン等の
ライティング・
編集を経験。
ディズニーと
椎名林檎と
温泉について
考えているときが
わくわくします。

四葉少女に聞いた、
「幸せのかたち」。

担当・馬場 澄礼

3歳から四つ葉のクローバー探しをはじめて、
これまで7万本もの四つ葉を見つけてきた
『四葉少女』こと生澤愛子さん。

現在は四つ葉のクローバーを軸に
さまざまな活動をされている生澤さんですが、
すぐに「だいすきなこと」を
追いかけられるようになったわけではありません。

素直でまじめな性格上、
小さなころから
「自分の幸せ」と「社会的な幸せ」の
ギャップに悩み、
なかなか自分らしい生き方を
することができませんでした。

しかし、
そんな毎日を乗りこえて見つけられたのは、
自分にとっての「ほんとうの幸せ」。

日々想いを発信し続け、
夢をかたちにしている生澤さんから、
自分らしくハッピーに生きるための
ヒントを伺いました。

世界初、四つ葉のクローバーの個展の様子も載っています。
全6回、担当はほぼ日の塾生・馬場です。

プロフィール
生澤 愛子さんのプロフィール

第1回 四つ葉のクローバー、見つけた。

——
お久しぶりです!
今日はよろしくお願いします。
生澤
3年ぶりですね!
こちらこそよろしくお願いします。
——
3年前にお会いしたときは、
生澤さんはまだ制服を着た高校生でしたよね。
「大学受験を控えてるんです」って言いながら、
手作りの四つ葉のしおりをプレゼントしてくださって。
生澤
懐かしいです!(笑)
——
ものすごくハッピーになる
贈りものだなあとおもいました。
いまもお財布の中に入れて、
大切に持ち歩いてます(笑)
生澤
わあ、ありがとうございます!
まだ持っててくださったんですね。
——
当時は四つ葉を探せる
不思議な力があるということを、
Twitterで発信して間もない頃でしたよね。
生澤
そうなんです。
大好きな四つ葉で何かしたいなという
気持ちはあったんですど、
どうしたらいいのか分からなくて。
とりあえず身近な人に話してみたり、
SNSで地道に発信していた時期ですね。
——
それが3年経ったいまでは、
個展の開催が決まったり、
テレビやラジオの取材を受けるようになったり…
「四つ葉アーティスト」として
活躍の幅を広げられていてほんとうに素敵です!
生澤
ありがとうございます、うれしいです!
これも応援してくれている方とか、
支えてくださっている方のおかげです。

——
いままで集めた四つ葉は、
全部で7万本なんですよね。
生澤
はい、そうです。
——
四つ葉探しをはじめたのって、
何歳の頃だったか覚えてますか?
生澤
いまわたしは20歳なんですけど、
3歳のときですね。
まだ物心がついていなかったので、
母から聞いた話なんですけど…
公園で四つ葉や五つ葉のクローバーを
たくさんつんでいたみたいで。
——
そ、それはお母さまもびっくりですね!
生澤
「お母さん四つ葉がいっぱいあるよ」って、
両手にたくさんのクローバーを
握りしめていたみたいです。
でも母は全部三つ葉だろうなあと
思っていたらしいんですよ。
——
四つ葉ってすごくめずらしいですもんね。
クローバーが四つ葉になる確立って、
えーっと…1万分の1でしたっけ。
生澤
そうです。
でもほんとうに全部四つ葉とか
五つ葉だったんです(笑)
小さいころに読んでいた絵本を開いてみると、
四つ葉がたくさんはさまってるんですよ。

——
えー!おもしろいですね!
生澤
しおれて色が変わってるんですけど、
かたちはちゃんと残ってます。
——
四つ葉をすきになった
きっかけって覚えてますか?
たとえば「幸せの象徴」ということを
知ってすきになったとか…
生澤
いえ、小さかったので
そういうことは知らないはずです。
純粋に四つ葉探しがたのしくて、
すきだったんだとおもいます!
——
へえー!すごい。
生澤
昔住んでいた社宅に
大きなお庭があって、
たくさんのお花や
果物の樹があったんです。
その影響で小さなころから
植物と触れ合うことがすきでした。
——
クローバーも生えていたんですか?
生澤
はい、たくさん生えてました。
植物のなかでも四つ葉は特別な存在だったんです。
触れると心がほっこりしたり、わくわくしたり!
——
温かい気持ちになるんですねえ。
生澤
とにかく一体感があるというか、
心がすごく安定するんです。
頭で考えるより先に
ハッピーな気持ちになります!

——
たくさん三つ葉があるなかで、
どうして四つ葉を見つけられるんでしょうか。
生澤
うーん、なんだろうな…
四つ葉がそこにあると、
通じ合っているような、
つながっているような気持ちになるんです。
よく「光って見える」「吸いこまれる」
という表現をしてるんですけど…
——
電球のように光って見えるイメージですか?
生澤
いえ、ちょっと語弊があるんですよ。
自分の中にある感覚を、
みんなに伝わるように話すと
「光っている」っていう
表現になるんですけど…
——
そうだったんですね!
生澤
なんか四つ葉は特別に見えるんですよ。
うーんなんだろう…
——
なんだろう…
生澤
あ、たとえばピンクの薔薇のなかに
一本だけ赤い薔薇があったら
分かるじゃないですか!
——
なるほど、そういう感覚が近いんですね!
分かりやすいです!
生澤
(笑)
わたしが四つ葉のことをすごくすきだから、
つい目で追っちゃうのかもしれないです。

——
この不思議な力は、
お医者さんや科学者の方も
解明できていないんですよね。
生澤
そうなんです。
共感覚じゃないかって言われたんですけど、
はっきりとした理由は分かっていないです。
——
いつ頃から、この能力を自覚しはじめたんですか?
生澤
自分の感覚が人と違うことに気づいたのは、
ピアノを習いはじめた4歳のときでした。
——
ピアノですか?
生澤
絶対音感があって、
一度メロディを聴くとすぐ再現できたんです。
でも同じレッスンを受けている子たちは
そうじゃなくて…
その頃から自分はちょっと人とは
違うのかもしれないと思いました。
——
五感でとらえる世界が、
他の人とは少し違うのだと。
生澤
そうなんです。
不思議な力というか…
うまく言語化ができないものなので、
変におもわれないか不安でしたね。
四つ葉探しの力を自覚したのは、
たぶん小学生のときだったと思います。
——
友だちとクローバーを探す機会があったんですか?
生澤
いえ、四つ葉がテレビで特別なものとして
紹介されているのを観たり、
「四つ葉ってなかなか見つけられないよね」
っていう友だちの会話を聞いたりして…
あ、わたしって変わってるんだなって。
——
個人的にはすごく素敵な
能力だとおもうのですが、
当時は戸惑いのほうが
大きかったんでしょうか。
生澤
はい。
うれしいというよりも、
あんまり共感してもらえないだろうなって。
あと、特別なことができると、
周りに「自慢してる」とか
「調子に乗ってる」って
おもわれそうなので…
そういうことがすごく怖かったです。
——
ああ、その気持ちは分かる気がします。
特に高校生くらいまでは集団行動がメインだから、
どうしても周りの目が気になりますよね。
生澤
そうですよね。
日本は「みんなと同じがいい」という教育なので、
「人と違う自分は恥ずかしいんだ」と考えはじめて…
ランドセルを背負うようになってから、
四つ葉のことは誰にも話さなくなりました。

(つづきます)

第2回 「優等生」を生きていた。