糸井

古賀さんにぼくが聞くのを中心に考えた方が。

古賀

そうですね。

糸井

ね。
違う方法もあると思うんですよ。
つまり、古賀さんがやってる仕事がこうですよって
いうのを話すためには、古賀さんがぼくに質問したり
しているというのも面白いと思うんですよ。
それも仕事なので。

だから両ボケというのも。

古賀

両ボケ。両ツッコミ。

糸井

うん。
あのヒゲの漫才のあれ。

古賀

笑い飯みたいな。

糸井

そう。笑い飯（笑）

古賀

笑い飯スタイルで（笑）

糸井

（笑）あとは、教材になる事も知っていて
しゃべってるわけだから、そこをぼくらがどのように
晩酌して親切なことをするのかっていうのも
芸の見せどころなんじゃないですかね。
　　　　　
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糸井

でも、
誰がどう料理するかの材料を作るにしても、
入りは「お天気がいいですね。」じゃなくて
「売れてますね。」ですよね。

古賀

ありがとうございます（笑）

糸井

これはやっぱり、
一種裏方商売のつもりで生きている人にとっては
不思議な実感で、おそらくそれは、
あんまり経験してしゃべっている人もいないと
思うんですよね。

古賀

はい。

糸井

だからその意味で、時々ツイッターされてるけど、
「漠」とした話の方が面白いような気がするなぁ（笑）
その辺、どうですか？

古賀

やっぱりおっしゃる通り、
ずっと裏方の仕事という意識でやっていて、
それで普通の作家さんとか著者さんだと
“これだけ売れたんだぞ”
っていう風にちょっと天狗になるような
瞬間とかそういうのってあるじゃないですか。

糸井

はい。

古賀

なかなか自分の立場というか、
俺はここに立っているんだみたいなところからすると
天狗にもなりようがない、みたいな生き方を
してきたんですけど、昔から100万部いけば
さすがに俺も天狗になるだろうと思ってたんですよ。

糸井

やっぱりその数字ですよね（笑）

古賀

そうですね（笑）

そのタイミングが来たら、もうちょっと偉そうに
世の中にいろいろ発信したりとか、
モノを申すみたいな活動を躊躇なくできるように
なるのかなと思っていたんですけど、
全くできないですね。実感がないのか。

糸井

躊躇していたんですか（笑）

古賀

言いたくなるだろうなとは思っていたんです。
ただ、俺の話を聞けっていうのが
僕は本当にないんですよね。
「俺の話を聞いてください」という欲求が。
「この人の話を聞いてください」なんですよ、基本的に。

糸井

うん。そうですね。
「その人が考えてることを、
僕はとても好きなんです。」とか、
それは自分のメッセージで入り込みますもんね。

古賀

はい。
こんなに素晴らしい人がいる。
こんなに面白い人がいる。みんな聞いてください！
でずっとやってきて、、
　　　　

でも、その中で何かしらの技術だったりとか
その人の声を大きくして伝える時に
こうしたらいいというメソッドは積み重ねてるので、
そこについて大声で言いたくなるだろうなと
思っていたんですけど、それがいまだに無くて、、

糸井

うん。

古賀

次のこの人というか、好きになる人だったり、
僕がマイクを渡して
「大きな声で言ってください」
みたいな人を探し回っている状態ですね。

糸井

それは、そのままストレートに伝わってきます。

古賀

そうですか（笑）

糸井

なんでしょう、なんでしょうね。
今までの人が声を高くしたり、
切り替えたりするってことが
多すぎたんでしょうかね。

古賀

そうですね。

糸井

ラーメン屋さんとかでも繁盛すると、
国の税制についてとか語り出すじゃないですか（笑）

古賀

はいはい（笑）

糸井

ぼくもそれはずっと心配してたことで、
自分の場合は、なったんですよ。きっと。
なったか、ならないかの事について考えていって、
なんなかったつもりでいたのに、
なってるんですよ。

古賀

どれくらいのタイミングでですか？

糸井

30そこそこで。

古賀

へえぇ。

糸井

天狗、天狗って言って「ならせる」のも
妙な事なんだよね。
みうらじゅんなんかをからかう時にね（笑）

古賀

ふふ（笑）

糸井

なってないと思っているのに、過剰に攻撃されたり
無視されたりするというのが聞こえてくるので、
それに対して矛と盾でいうと
盾のつもりで肩を張るんですね。

古賀

わかります。

糸井

そんなところに俺はいないよっていうか、
そこまでチンケな人間じゃない
みたいなことは言いたくなって、、
お座敷があって、座布団があると
座るってなことをするんですよね。

ちょっと気持ちが良くてやっちゃうのは、
女子大で講演してもらえませんかみたいのが
ある時に、言うことなんかあるはずないじゃないですか。

古賀

はい。思います。

糸井

なのに「やってくださいよ。」なんて言われちゃうと
悪い気しなくて、鼻の下長くして
「そう？いこうか？」なんつって。
結局のところ楽しいのは控室までで。

古賀

（笑）

糸井

いざとなったら、そんなにぼくの話を
聞く気のある人がいるとも思えないし、
これはやってはいけないようなことを
やったかなというような感じで。
　　

あとは、テレビですよね。
テレビは仕事で、帯でやってたから、
その道具立てがあると人に会えたりするという
ことがあるので、それはもうほんとにはっきりと
良かったなと思うんですね。

でも、そのおかげで余計な拍手やら、
そしりやらを受けて、、

古賀

拍手も余計ですか。

糸井

余計ですよね。
だって、そんなじゃないですよ。
褒められたくてしょうがないのは
若い時は当然ありますけど、
そんなじゃないですよね。

古賀

そんなじゃない。

糸井

過分に褒められたりするというのが、
そんなことないって言えなくなるんです。
黙ってることによって認めるみたいな。

仮に、ありきたりな言い方で言えば
「天才だね。」とか、
「言葉の魔術師だね。」
みたいなことを言われたときに、
特に否定しないんですよね（笑）

そうしちゃうのは、
1つには営業上のこともあるのかな。無意識で。
その辺、よくわかんないです。
昔に戻ってみても意識できてなかった
ことだと思いますね。

（続きます）