季刊誌「考える人」リニューアル記念企画
おわりとはじまり展
TOBICHI2 2016年4月15日(金)~17日(日)

「考える人」のリニューアル号から
糸井重里が連載をはじめることになった、ということが
きっかけのひとつとなって、
このたび、ほぼ日とTOBICHIが
季刊誌「考える人」のリニューアルを記念して
さまざまな催しを行うことになりました。

糸井が雑誌や新聞に連載を持つことは、現在はまれで、
ここ15年のあいだでは数えるほどしかありません。
たぶん‥‥4つくらいではないでしょうか。
そのうちの2つの連載が、
同一人物の依頼によって、はじまっています。

それは、「考える人」編集長の河野通和さんです。


▲この方、河野通和(こうのみちかず)さん。
 「考える人」編集長。

糸井は「ほぼ日刊イトイ新聞」という場を持っており、
開設から17年間、毎日
「今日のダーリン」を執筆してきました。
「毎日書く場がある人」に連載を依頼するのは
きっと易しいことではないと思います。

しかし、糸井は
リニューアルした「考える人」で
「いまさらだけど、マンガっていいなぁ。」
という連載を持つことにしました。
その理由を単刀直入に訊いてみます。

「考える人」がこのたび
リニューアルすることになったいきさつは
河野通和編集長が「Webでも考える人」のこのページ
お書きになっています。
どうぞあわせてお読みください。

ほぼ日
糸井さんが、ほぼ日刊イトイ新聞以外の場所で
「連載をはじめる」というのは
あまりないことだと思うのですが、
なぜ新装の「考える人」-で
連載を持とうと思ったのですか?
糸井
「考える人」をリニューアルするというお話は
昨年の冬あたりから、
編集長の河野さんからうかがっていました。

「考える人」の2014年11月号を
見たことありますか?

河野さんが編集長になって特集したなかでも、
ぼくは特にすばらしかったと思っている
「オーケストラをつくろう」の特集号です。
あれが、河野さんの「考える人」の
ひとつの理想形なんだとぼくは思います。
(ほぼ日註:この特集号で紹介された
グスターボ・ドゥダメルについては、
河野さんのメールマガジンのバックナンバーの
「究極のハーモニーへ(No.605)」
「僕らは楽しむことをおろそかにしない(No. 559)」
に、くわしいです)

しかし、雑誌というのものにはどうしても
自分たちでつくった「枠組みの限界」が
ついてまわるものなのです。

学校の校長先生が
「みんながひとつになるような大会をすれば
学校じゅうが一気に元気になるんじゃないかな?」
と思いついたりするのと同じように、
編集長をやっていると、
自分たちの枠組みを
広げたりもみほぐしたりしたくなるときが
来るのだと思います。

今回、河野さんは、
インターネット版の「Webでも考える人」
あわせて開設されました。
しかしすでに、河野さんは
毎週メールマガジンを発行なさってきています。
あのすばらしいメールマガジン‥‥
あれを書くだけだって、
ほんとうに大変なことです。
なのに「もっと書けます」といって、
「Webでも考える人」では
もっとひんぱんに執筆する予定だそうです。
これ、すごいと思いますよ。
ぼくは、河野さんの
大きな決意のようなものを感じます。

これまでの「考える人」は、毎号たのしみにして
定期的に買ってじっくり読む、
というスタイルの読者が多かったかもしれません。
そこをやわらげるようにしたいという考えが
河野さんのなかにはあったようです。
そして、インターネットとの関係を
自分たちなりに考えたい、と
ずっと思っておられたようです。
ほぼ日
河野編集長といえば
「婦人公論」のリニューアルのときも
大冒険なさっていますよね。
河野さんは雑誌を
より「気軽に」「ライトに」するような
改革をなさっているように感じます。
糸井
そうですね。
「ライトかもしれないけれども、
到達する『深み』は同じだよ」
という、いかにも河野さんらしい姿勢が
そこには感じられます。

「考える人」は、
初代編集長が松家仁之さんで、
次が河野さんです。
このふたり、どこをどう引き継ぎしたのか
わからないけど‥‥
おそらく、これはどうしたって、
「いちから考える」ことでしかできない種類の
仕事なんじゃないかな、と思います。

松家さんの創刊時はもちろん、
そうだったでしょうね。
あの人は「芸術新潮」も兼任していましたから
大変な状況だったと思います。

つまり、ふたりとも、
「いつも出発点からはじめる」という仕事を
している人たちです。
今回のリニューアルも、まさにそういうものだと思う。
その仕事を見せてもらえるのは、
みんなにとっていい機会です。
ぼくはそれをとてもおもしろく感じます。
(「その2」につづく)
2016-4-11-MON