北野武×糸井重里 たけし、コノヤロー。 新作『アキレスと亀』をとっかかりに。
世界の北野武? いや、ビートたけし? 思えば、ずいぶん久しぶり、 というのが、たけしさんと糸井重里の関係。 最新作『アキレスと亀』をテーマに しばらくぶりに向かい合いました。 「13本連続で取材受けてんだ」と 笑うたけしさんでしたが、 旧知の相手とあってリラックスされたのか、 予定時間をオーバーする対談となりました。 どうぞおたのしみください、コノヤロー。

第1回 夫婦愛じゃないだろう。 2008-09-19
第2回 まぁ、いいか。 2008-09-22
第3回 笑いはシリアスなときに忍び寄る。
2008-09-23
第4回 客の向こう側の視点。
2008-09-24
第5回 アタマっから撮り直しだね。
2008-09-25
第6回 たけし、コノヤロー。 2008-09-26
第7回 「本気」は恥ずかしい。 2008-09-29
第8回 映画、コノヤロー。 2008-09-30
第9回 「本気」は気持ちいい。
2008-10-01
第10回 歳をとるということは。
2008-10-02
第11回 オレが作品。
2008-10-03
第12回 お笑いの若手は目で誘う。
2008-10-06
第13回 じゃ、夫婦愛。 2008-10-07


第1回 夫婦愛じゃないだろう。

糸井 できたあとの映画っていうのは、
自分であんまり観ないもんなんですか?
たけし ウーン、あんまり観たくないね。
糸井 そういうもんですか。
たけし 観るときは、たのしみたいじゃない?
だけど、編集やなんかで
散々いじくった映画だから
観てもあんまりたのしくないよね。
マァ、1ヵ月ぐらい空きゃあ、どうにか。
糸井 ふーん。
たけし だからこないだのヴェネチアは
ちょうどよかった。
1回観てみようかなって感じで観られたから。
観て、おもしろかった、すごい。
糸井 あの映画はさ、「観ておもしろい」のあと、
考えてるとまたおもしろくなってくるね。
なんていうの、「持ちがいい」っていうか。
たけし ハハハハ。
糸井 それは、明らかに意図してますよね。
たけし けっこう、解釈の仕方がいっぱいあって。
糸井 そうそうそう。
たけし この映画、映画会社は、
「夫婦愛でおしてくれ」って言うんだけど、
どー考えてもコレ、
夫婦愛じゃないだろう! っていう。
糸井 おれもそう思う(笑)。
たけし 残酷物語じゃないか、っていうね。
糸井 残酷なだけでもないですけどね。
最後に、わかりやすく、
救いのようなものがあるんで。
なんだか知らないけど、
ま、これがあるんだからいいや
ってことには、してあるじゃないですか。
たけし ウン。
糸井 あれが、たけしさんの悪いところだよね。
たけし ハハハハハ。
糸井 あれをさ、最後のところに
「おまえらさぁ、これ置いとくから」
って言って置くのと、
「オレこれ置いときたいんだよ」
って言って置くのとでは、ぜんぜん違うよね。
たけし それはね、たぶんね、前の2作が、
あまりにも、あたらなかったんでね。
糸井 (笑)
たけし もっとひどい終わり方もあったんだけど。
どーもお客さんがね、
映画館から出てくるときにね、
前の作品は、イヤーな顔して出てくるわけさ。
こんななって、うつむいて。
観て損した、みたいな顔(笑)。
糸井 (笑)
たけし すこしは、ヨカッタって感じ出しちゃえ、
ってところあるから。
糸井 ああー。
たけし っていっても、どういうふうにも
取れるようにしてあるからね。
最低限、救いがある
エンディングにしてあるんだけど、
それも考えようによっては、
このふたりがまた無茶やるんだろうな、
ってことも考えられるわけだし。
糸井 そうだね。あのふたりには
また明日があるからね。
じゃあ、もっとひどいエンディングも
用意してあったんですか。
たけし ウン。
でも、最後にこれこれこうしてって
プロデューサーに話したら、
「やめましょうよ」って言われて、
やめちゃった。
糸井 (笑)
(つづくぞ、コノヤロー)

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2008-09-19-FRI


北野武さん14作目の監督作品、
『アキレスと亀』
9月20日(土)から ロードショー。

公式サイトはこちらからどうぞ。

(C)2008 『アキレスと亀』製作委員会


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